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第9話 作戦の実行と、大きな大きな予想外 ザラ視点(2)

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「…………お、オーガスティン、さま……? どう、されたのですか……?」

 あれこれ考えてみたけれど、この状況下でそんな風になってしまう理由が分からない。なので同じくらい――オーガスティン様以上に戸惑いながら、首を傾けた。

「わたくしは、今……。そんなにも不思議そうなお顔になられることを、申し上げてしまったのでしょうか……?」
「……………………は? は……?」

 そうしたら…………??? オーガスティン様は余計に不思議がり始めたので、今一度自分の発言を振り返ってみた。


 お姉様が好意を抱き、相思相愛だったと知っておりますので……。意思はどうであれやはり、奪い取ったような形になります……。
 わたくしは、それが許せなくて……。オーガスティン様、申し訳ございません……。ですのでわたくしは、一旦――お姉様が快復するまで、身を引かせていただきます……。
 そして……。もしもその時まで、待っていただけるのであれば……。お姉様と共に交際の申し込みをさせていただきて、どちらかを選んでいただきたく思います……。


 ………………。
 なにも、おかしくありませんわ。やっぱりわたくしは、姉想いなことを悲しみを堪えて言っているだけでしたわ。
 なのに……このリアクション……。なんなんですの……?

「お、オーガスティン様。オーガスティン様っ。不思議られている理由、そちらをお教えくださいませ……っ」
「……………………あ、ああ。そ、そうだな。つい、唖然となってしまっていた。俺にも、確かめなければならないことがあるからな。言おうじゃないか」

 再度お名前を呼ぶとようやく頷きが返ってきて、息を軽く吐かれた後腕組みをされた。

「一つ、確認しておくぞ。お前はついさっき、『お姉様が好意を抱き』『相思相愛だった』と言ったよな?」
「は、はい、申し上げました。そちらが、どうかされましたか……?」
「どうかされた、じゃないだろ。お前は何を言っているんだ……? どれも大きな間違いで、一体誰の話をしているんだ……?」

 え――。

 おもわず目が点になってしまう言葉が出て、でも――。それはまだ、大したものではありませんでした。
 そのすぐあとに、それを遥かに超える衝撃が…………。オーガスティン様の口から、飛び出したのでした………………。

あの時はまだ・・・・・・、俺とレナエルは相思相愛じゃないぞ。なにせ見る目がないレナエルに気付かせるために、この俺がじきじきにデートを計画したのだからな」

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