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第4話 パーティー当日 ジゼル視点(2)

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「父親は『王族にも祝われる自分すごい』とホクホク顔で、息子は『王族たちに囲まれる自分達はすごい』と上機嫌。憐れで、見ていて虚しくなるね」

 振り返るとそこにあったのは、見覚えのある御方。白いローブ姿のリヴェド様がいらっしゃって、微苦笑を浮かべられました。

「他者を使って自分を持ち上げ出したら、人としてお仕舞だよ。もっとも彼らは、とっくに人として終わっているけどね」

 会場の最前にいるノリス様とコルベット様に視線を向けながら肩を竦め、私へと目線が戻ると、「ああ、そうだ。早くソコを伝えておかないといけないね」とご自身の身体を見回されました。

「この格好と周囲の反応で気付いていると思うけど、俺の姿や声は君にしか見えないようにしてあるんだ。そのまま喋るとおかしな人になっちゃうから、そちらは小さな声で話してね」
(承知いたしました、リヴェド様。本日はわざわざお越しくださり、痛み入ります)

 前回お会いした際は『驚かないように気を付けて』と仰られていましたし、パーティーの参加者は誰一人としてこちらを意識されてはいませんでした。ですので私はすぐにボリュームを落とし、姿勢を正して謝意をお伝えしました。

「こっちが好きでやっていること、気にしないで。……じゃあ早速だけど、始めようか。愚か者へのお仕置きをね」

 ニコニコとされていた顔が真面目なものへと変わり、リヴェド様は手のひらを上にした状態で右腕を突き出します。そうすればその手のひらには、ピンク色をした10センチほどの球体が表れました。

(? そちらは、なんなのでしょうか……?)
「これは君から抜き取った呪術・『魅了』――から、『操る』という性質を抜き取ったもの。つまり、相手を意のままに操れるアイテムだね」

 こちらの作製が、あの日仰られていた『仕込み』。リヴェド様は呪術を『加工』することができて、今日までその作業などを行ってくださっていたそうです。

「こいつを使用された人間は、1時間程度僕の操り人形になる。だからこれを使ってコルベット・バフェテンスに自白させ、はしない」
(えっ? されない、のですか……!?)

 私はてっきり、そういった使い方をするものだと思っていました。違う、のですね。

「それだけだと、お仕置きが『弱く』なってしまう。君の人生を滅茶苦茶にしようとしたのだから、もっと強烈なものにしないといけないからね。コレを使うのは、ヤツではなくあの男だよ」

 その言葉と共にピンク色の球体が独りで浮き上がり、会場の前方へと飛んでいきます。そしてそれは猛スピードで宙を駆け抜け――

 ノリス様の身体へと、吸い込まれていったのでした。


「さあ、ご注目。ショーの幕開けだよ」

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