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第7話 予想外 エステェ視点(1)

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「…………エステェよ。お前に、残念な知らせをせねばならない」

 あれから2日後。5日かけて用意した、あの作戦を使用する日。念のため自室で必要なお芝居の練習をしていたら、お父様が曇り顔でやって来た。

「残念な、お知らせ……? な、なんなのですか、お父様?」
「…………今日は、アドン様がいらっしゃる日だっただろう? それがどうやら、アドン様に私用が発生したらしくてな。来週に延期して欲しいとのメッセージが届いたのだよ」

 私が本番に備えている間にオーテラング侯爵家の使者がいらっしゃって、予定の変更を告げられたみたい。
 …………。最悪だわ……!

((来週!? さらに一週間後!? そんなに待てないわっ!))

 だからキャンセルをキャンセルさせたいけど、それは無理な話で……。来週まで、アドン様との縁を切れないようになってしまった。

「……お前はずっと、この人を心待ちにしていたもんな。気持ちは痛いほど分かるぞ」
「えっ? は、はいお父様。ショックです……」

 私が落ち込んでいる理由は違うけど、そこはどうでもいい。私は適当に反応をして、心の中で眉を寄せる。

((追加で一週間で、合わせて二週間。いくらなんでも、こんなに空くのはおかしいわよね……))

 このままだとピエール様やサネベーク子爵家の人々に怪しまれて、交際が白紙になりかねない。
 そんなのは、絶対に嫌! だから…………。だから………………

((手紙を書いて、時間を稼ぎましょう!))

 ベストな方法ではないけれど、大々的に動けないのだから仕方がない。私は大急ぎで謝罪と返信不要の旨を添えた手紙を作り、外出をした際にコッソリと送る。
 そうしてどうにか引き伸ばし、ついでにアドン様にも手紙を送っておく。

 ――早く会いたい――。
 ――会えない日々は辛く苦しい――。
 ――心が痛い――。

 今度はたとえ用事があってもキャンセルできないようにそれらを訴え、再び待つ日々が始まって――ふぅ、よかった。

「エステェ。アドン様がいらっしゃったぞ」

 それから1週間後、今度はちゃんとやって来てくれた。
 なので、いよいよ作戦を始める。まずは、いつものようにご挨拶を行って――

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