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第16話 脱出劇の裏側 俯瞰視点
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「おう、お疲れ。上手くいったな」
「皆さん、お疲れ様です。ええ、予想以上に上手くいきましたね」
顔を歪めて悔しがり、怒声を発し続けていた3人――無精ひげの男ことリック、がさつそうな男ことノーン、神経質そうな男ことフーコー。彼らは突然追跡をやめ、大男を労ったあと笑顔で握手を交わしました。
「ガリーもセレストもキアラも、死に物狂いで逃げてやがった。かかかっ、まんまと引っかかりやがったぜ」
「ああ。オレらが本気で殺そうとしてる、って思い込んでたな。実際は、そんなつもりは微塵もねえのにな」
当初――フェルア家の罠にはまり全てを失った直後は、三人は復讐の鬼と化していました。ガリー達を追い詰め拉致し、徹底的に拷問を行い殺害しようと考えていました。
ですが復讐に必要な資金を集めるべく、協力関係を結び三人で果樹園と農場で働く中で、その考え変化が生まれることになりました。
――自分が作ったものを食べて笑顔になる人を見るのは、なかなか嬉しい――。
――なかなか、じゃない。すごく嬉しいと感じている――。
――それに。平等な立場の仲間達を頼り、頼られて、全員で力を合わせて同じ方向に進んでいくのは楽しい――。
――最後の一線を越えてしまったら、きっと元には戻れない――。
――血に染まった手では、美味しい果物や野菜を作れるとは思えない――。
――仮に作れたとしても、そんなものを提供したくはない――。
知らず知らず新たな生き甲斐と喜びを見つけていた、三人。彼はそう強く思うようになり、次第に『殺害』は頭の中から消えていきます。
とはいえ、あんなことをした関係者を許すわけにはいかない。
そこで別の形で同じような目に遭わらせる方法を探すようになり、やがてフーコー達は非常に良いアイディアを生み出していたのです。
「ガリー達は今、どこかに身を潜めて『助かった!』って大喜びしてるだろうな。だが」
「嬉しい時間は、長くは続かない」
「すぐに、あることに気付いて――。ふふふ。更に、一変することになりますね」
「「「さあ。第二幕の幕開けだ」」」
「皆さん、お疲れ様です。ええ、予想以上に上手くいきましたね」
顔を歪めて悔しがり、怒声を発し続けていた3人――無精ひげの男ことリック、がさつそうな男ことノーン、神経質そうな男ことフーコー。彼らは突然追跡をやめ、大男を労ったあと笑顔で握手を交わしました。
「ガリーもセレストもキアラも、死に物狂いで逃げてやがった。かかかっ、まんまと引っかかりやがったぜ」
「ああ。オレらが本気で殺そうとしてる、って思い込んでたな。実際は、そんなつもりは微塵もねえのにな」
当初――フェルア家の罠にはまり全てを失った直後は、三人は復讐の鬼と化していました。ガリー達を追い詰め拉致し、徹底的に拷問を行い殺害しようと考えていました。
ですが復讐に必要な資金を集めるべく、協力関係を結び三人で果樹園と農場で働く中で、その考え変化が生まれることになりました。
――自分が作ったものを食べて笑顔になる人を見るのは、なかなか嬉しい――。
――なかなか、じゃない。すごく嬉しいと感じている――。
――それに。平等な立場の仲間達を頼り、頼られて、全員で力を合わせて同じ方向に進んでいくのは楽しい――。
――最後の一線を越えてしまったら、きっと元には戻れない――。
――血に染まった手では、美味しい果物や野菜を作れるとは思えない――。
――仮に作れたとしても、そんなものを提供したくはない――。
知らず知らず新たな生き甲斐と喜びを見つけていた、三人。彼はそう強く思うようになり、次第に『殺害』は頭の中から消えていきます。
とはいえ、あんなことをした関係者を許すわけにはいかない。
そこで別の形で同じような目に遭わらせる方法を探すようになり、やがてフーコー達は非常に良いアイディアを生み出していたのです。
「ガリー達は今、どこかに身を潜めて『助かった!』って大喜びしてるだろうな。だが」
「嬉しい時間は、長くは続かない」
「すぐに、あることに気付いて――。ふふふ。更に、一変することになりますね」
「「「さあ。第二幕の幕開けだ」」」
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