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第6話 戸惑う3人 アレクシア視点(2)

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「キアラ・フェルア様。貴方様はこの国『サンヴァール』の貴族法に則り、裁きを受けることとなります」

 貴族と貴族のイザコザは、国に大きな悪影響をもたらす火種となりかねない。そんな事態を回避するための法が存在していて、これからキアラには追加の聴取や裁判、厳罰が待っている。
 それが本来の、これから起きる出来事・・・・・・・・・・

「そんな……」「なんてことだ……」「なんてことなの……」
「なにを落ち込んでいるんだ? お前が――お前達が、よこしまな真似をするからそうなるんだ。どんなにショックを露わにしても許されないし、僕も許すつもりはない」
「ちっ、ちが!! 私はなにもしてい――」
「とはいえ、だ。クララ・ネイフィアはお前とは異なり、大きな優しさと寛大な心の持ち主。しっかりと反省し二度と過ちを繰り返さないと誓うのであれば、この件は水に流すと言ってくれている」

 やっぱりね。そう言い出すと思っていた。
 ボスコ様はノーダメージで解消できればよくて、クララ様はキアラを蹴落として不動のトップに就きたがっているんだもの。この時点でキアラは致命傷を負っていて追撃するメリットはあまりないから、『特例』を使ってさらに自分の評判を上げようとすると思っていたのよね。

((その流れはこちらにとっては少し不都合だけど、それでも対応は可能だわ。一部を変更しておけば上手くいくわね))

 頭の中で、今後の予定を少し修正。そのあと、改めて計画全体を見つめ直していたら――

「なんなのよその言い方!! 私はねえっ! わたしは――」
「待つんだキアラ!!」「待ってキアラ!!」

 あの子は顔を真っ赤にしながらボスコ様に詰め寄ろうとして、お父様とお母様に慌てて止められてしまう。
 この件に関しては100%捏造なものの、強力な根回しがされていて真実の証明はできない。このまま進んでしまえば厳罰を受けてしまうのだから、納得できなくても、この提案を呑む方がずっといい。

(ここで食い下がったらもっと酷いことになってしまう! 我慢するしかないんだ!)
(貴方の無実はよく分かっていて、わたくし達もなんとかしたいと思っているわ! こんな理不尽認められないわ! でもね、ごめんなさい……。わたくし達にはどうすることもできないのよ……)
(お前の収監などを防ぐには、この方法しかないんだ……。到底、納得は出来ないだろうが…………納得、してくれ……)

 そんな風に説得されている間もキアラは不満を露わにしていたものの、それが最善策。そうするしかない。

(っ! っっ!! 分かった! 嫌だけどっ、分かった!!)

 なので彼女は、血が出るくらい唇を噛みながら頷いて――
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