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第6話 戸惑う3人 アレクシア視点(1)
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「以前チラッと見かけたものが、まさか取り上げたものだったなんて……。クララ・ネイフィアからこのイヤリングの話を聞かされた時は、言葉を失ってしまった」
「うっ、嘘!! 嘘よっ!! クララ様が言ってることもボスコ様が言っていることも全部嘘っ!! そんなイヤリングなんて知らない! 私っ、知らない!!」
「この子は取り上げてなどいない!! きっ、貴様か!! そのイヤリングはっ、貴様がそこに忍ばせたんだな!?」
「思い返せば先週っ、貴方はキアラの部屋で二人きりになっていたわ!! その際にキアラに紅茶を淹れさせたっ、部屋でひとりになっていたわ!! あの時にこっそり隠したんでしょう!?」
これは二人の罠で、キアラは本当に何もしていない。なのに目撃情報まであると主張されたのだから、三人は目を剥いて反論し始めた。
「あれもこれも全部私を陥れるための作り話!! 酷いわボスコ様っ!! どうしてこんなことをするのっ!? ねえ!? ねえっ!!」
「貴様なにが狙いだ!? クララ嬢に心変わりをしたのか!? それともっ、ネイフィア家と何かしらの結託をしたのか!?」
「わたくし達を陥れて何をするつもりなのよ!? さあ! さあ早く答えなさい!!」
「…………情けない。僕はこんな人間たちと、懇意にしていたのか」
キアラ達とは、正反対。ボスコ様は淡々とため息を吐き、冷めた目で三人を見た。
「自分達の行いが露見し言い逃れできなくなってしまったら、声を荒らげて根も葉もない疑惑をかけてくるなんて。どこまでも愚かだ。やっていて恥ずかしくならないのか?」
「っっっ!! それはこっちの台詞よ!!」
「根も葉もないのは貴様の方だろうが!! 貴様こそっ、やっていて恥ずかしくないのか!!」
「一生涯大切にすると誓った人を騙してっ、お義父様お義母様と呼んでいた人達を騙してっ!! 陥れようとして!! 恥ずかしいと思わないの!?」
「…………しつこいですよ、キアラ、当主殿、当主夫人殿、いい加減に諦めてください。悪事を働いたのはそちらで、こちらは何もしていない。それはこのイヤリングやクララ・ネイフィアの証言が物語っていて――」
「だからソレも嘘だって言ってるでしょ!! ねっ、ねえ局員の皆様!! 騙されないでっっ!! この男達は嘘を吐いて――」
「僕や彼女は嘘を吐いていないということは、先日証明されている。そうですよね?」
「はい。特別対策室を設置し上層部が事実確認を念入りに行い、お二方の証言に一切の矛盾がないと結論が出ております」
この手の嘘は伯爵家クラスでは誤魔化しきれなくて、徹底的に追求されたら真実が明るみになるもの。にもかかわらず断言されているということは……。きっと私達が知らないところで、両家以外の誰かが大規模な細工をしているみたいね。
((その内容も正体も分からないけど、これも追い風になってくれる。こちらにとっては好都合だわ))
クララ様達の訴えが信用されていて、今回キアラの部屋で重要な証拠が見つかった。となれば――
「うっ、嘘!! 嘘よっ!! クララ様が言ってることもボスコ様が言っていることも全部嘘っ!! そんなイヤリングなんて知らない! 私っ、知らない!!」
「この子は取り上げてなどいない!! きっ、貴様か!! そのイヤリングはっ、貴様がそこに忍ばせたんだな!?」
「思い返せば先週っ、貴方はキアラの部屋で二人きりになっていたわ!! その際にキアラに紅茶を淹れさせたっ、部屋でひとりになっていたわ!! あの時にこっそり隠したんでしょう!?」
これは二人の罠で、キアラは本当に何もしていない。なのに目撃情報まであると主張されたのだから、三人は目を剥いて反論し始めた。
「あれもこれも全部私を陥れるための作り話!! 酷いわボスコ様っ!! どうしてこんなことをするのっ!? ねえ!? ねえっ!!」
「貴様なにが狙いだ!? クララ嬢に心変わりをしたのか!? それともっ、ネイフィア家と何かしらの結託をしたのか!?」
「わたくし達を陥れて何をするつもりなのよ!? さあ! さあ早く答えなさい!!」
「…………情けない。僕はこんな人間たちと、懇意にしていたのか」
キアラ達とは、正反対。ボスコ様は淡々とため息を吐き、冷めた目で三人を見た。
「自分達の行いが露見し言い逃れできなくなってしまったら、声を荒らげて根も葉もない疑惑をかけてくるなんて。どこまでも愚かだ。やっていて恥ずかしくならないのか?」
「っっっ!! それはこっちの台詞よ!!」
「根も葉もないのは貴様の方だろうが!! 貴様こそっ、やっていて恥ずかしくないのか!!」
「一生涯大切にすると誓った人を騙してっ、お義父様お義母様と呼んでいた人達を騙してっ!! 陥れようとして!! 恥ずかしいと思わないの!?」
「…………しつこいですよ、キアラ、当主殿、当主夫人殿、いい加減に諦めてください。悪事を働いたのはそちらで、こちらは何もしていない。それはこのイヤリングやクララ・ネイフィアの証言が物語っていて――」
「だからソレも嘘だって言ってるでしょ!! ねっ、ねえ局員の皆様!! 騙されないでっっ!! この男達は嘘を吐いて――」
「僕や彼女は嘘を吐いていないということは、先日証明されている。そうですよね?」
「はい。特別対策室を設置し上層部が事実確認を念入りに行い、お二方の証言に一切の矛盾がないと結論が出ております」
この手の嘘は伯爵家クラスでは誤魔化しきれなくて、徹底的に追求されたら真実が明るみになるもの。にもかかわらず断言されているということは……。きっと私達が知らないところで、両家以外の誰かが大規模な細工をしているみたいね。
((その内容も正体も分からないけど、これも追い風になってくれる。こちらにとっては好都合だわ))
クララ様達の訴えが信用されていて、今回キアラの部屋で重要な証拠が見つかった。となれば――
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