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第14話 一週間後~今日の過ごし方は~ シャーリィ視点(1)
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「シャリィ。強さは、このくらいでいいか?」
「はい。ちょうどよくて、とても気持ちがいいです」
私がこのお屋敷に来てから、8日目――あの日から、ちょうど1週間が経った午前9時過ぎ。私はお兄様がくださったベッドで横になっていて、お兄様に手のマッサージを行っていただいていました。
『おはよう、シャリィ』
『……おはようございます、お兄様。今日も一日、よろしくおねが――お兄様? どうかなさいましたか?』
『…………今朝のシャリィは、若干目がトロンとしてる。これは、風邪の引き始め、その更に初期段階だな』
その始まりは、今から1時間と半分ほど前。私がうなされた日から毎朝お兄様が起こしてくださっていて、いつものように朝のご挨拶をした直後でした。
穏やかだったお顔が、少し真剣なものに変わりました。
『??? 風邪、ですか……? 熱っぽさも苦しさも、ありませんよ……?』
『俺――の部下の一人が去年体調を崩していたことがあってな、それ関係でそういう分野に詳しくなってるんだよ。原因は恐らく、疲労の蓄積だな。自分自身が思っていた以上に、俺が想像していた以上に、疲れが溜まっていたみたいだ』
その方は発熱などに悩まされ、しかしながらそちらの原因は、お医者様にも分からなかった。そこでお兄様は独自に勉強をされて、その結果自然と医学に精通するようになっていたそうです。
『ごめんなシャリィ、認識が甘かった。今日は1日ゆっくり休んで、予定していた外出は明日にしような』
『とはいえ苦しさも熱もないから、暇だよな? だからベッドで免疫力が上がるマッサージをしながら、1日のんびりお喋りでもするか』
お兄様は何も悪くないのに謝ってくださり、しかもお気を遣ってくださって。私が退屈をしないように、朝食をお部屋に運んでわざわざ食べさせてくれたあとも、ずっとこうしてお傍に居てくださっているんです。
そんな理由で、先程マッサージが始まって――
「はい。ちょうどよくて、とても気持ちがいいです」
私がこのお屋敷に来てから、8日目――あの日から、ちょうど1週間が経った午前9時過ぎ。私はお兄様がくださったベッドで横になっていて、お兄様に手のマッサージを行っていただいていました。
『おはよう、シャリィ』
『……おはようございます、お兄様。今日も一日、よろしくおねが――お兄様? どうかなさいましたか?』
『…………今朝のシャリィは、若干目がトロンとしてる。これは、風邪の引き始め、その更に初期段階だな』
その始まりは、今から1時間と半分ほど前。私がうなされた日から毎朝お兄様が起こしてくださっていて、いつものように朝のご挨拶をした直後でした。
穏やかだったお顔が、少し真剣なものに変わりました。
『??? 風邪、ですか……? 熱っぽさも苦しさも、ありませんよ……?』
『俺――の部下の一人が去年体調を崩していたことがあってな、それ関係でそういう分野に詳しくなってるんだよ。原因は恐らく、疲労の蓄積だな。自分自身が思っていた以上に、俺が想像していた以上に、疲れが溜まっていたみたいだ』
その方は発熱などに悩まされ、しかしながらそちらの原因は、お医者様にも分からなかった。そこでお兄様は独自に勉強をされて、その結果自然と医学に精通するようになっていたそうです。
『ごめんなシャリィ、認識が甘かった。今日は1日ゆっくり休んで、予定していた外出は明日にしような』
『とはいえ苦しさも熱もないから、暇だよな? だからベッドで免疫力が上がるマッサージをしながら、1日のんびりお喋りでもするか』
お兄様は何も悪くないのに謝ってくださり、しかもお気を遣ってくださって。私が退屈をしないように、朝食をお部屋に運んでわざわざ食べさせてくれたあとも、ずっとこうしてお傍に居てくださっているんです。
そんな理由で、先程マッサージが始まって――
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