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第6話
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「やあ、久しぶりだねリル君。10か月間、本当にお疲れ様」
今日は晩ご飯も一緒だね。楽しみ――。そんな話をしながら家に戻ると、ソファーにいたダンディーな男性が立ち上がった。
この人は、ダイルおじ様。ロザス家の現当主で、つまりアルフレッドのお父さんだ。
「あれ? 父さんは、用事で忙しいはずじゃなかったっけ? 訪問は明日になる、って言ってなかったっけ?」
「うむ。その予定だったのだけれど、各所との調整が――別件が、滑り込んできてしまった。急遽今夜から十数日程度、お前の同席が必要になってしまったのだよ」
ダイルおじ様は「だから迎えに来た」と肩を竦め、残念そうにため息を吐いた。
ロザス家は、エルミおば様が――当主夫人がすでに亡くなっていて、おじ様の意向で――おじ様にとっておば様は最愛の幼馴染なため、再婚はなし。そのため子供はアルフレッドだけで、次期当主としての教育が本格的に始まってるんだよね。
「夕食の予定は熟知していて、なんとか回避したかった。しかしやはり、これはどうしても必要なのだよ。アルフレッド、リル君、ハズマ、リノラ、ザック君も、すまない」
「ダイルの状況は、それこそ熟知してる。気に病まないでくれ」
「この子達には、自由があるんだもの。延期の影響はないわよ」
「そうだね、次の機会を作ればいいだけ。ね、アルフ兄ちゃん、姉ちゃん」
「ああ。ザックの言う通りだ」
「次があるから、ちっとも悲しくありませんよ。頭を上げてください、ダイルおじ様」
「…………みんな、感謝する。助かるよ」
おじ様はゆっくりと頭を上げて、そのあとは短めだけど、あたしとの再会を喜ぶ時間の始まり。
こう見えて毒舌なダイルおじ様は、
「エメリック殿下が、あそこまで節操のない方だったとはな。おもわず※※※※※※※と叫びそうになったよ」
「国王夫妻も、まるで駄目だな。もうバカはにつける薬はない。思い切って※※※※※※するしかないかな? はっはっはっ」
などなど。
人様にはお聞かせできない単語をさらりと挟み、楽しい? 再会の一時は幕を閉じたのでありました。
はっはっはっ……。
「では、そろそろ失礼しよう。この埋め合わせは、後日――ふふっ。どうやら、明日には多少挽回できそうだな」
揃って外に出ていると、門の前に馬車が停まった。あれはロザス家が所有するもので、御者さんがペコリとお辞儀すると去っていった。
「父さん? 今の、なんなんだ?」
「明後日の数時間――午後の1時前後から午後の3時頃までは、場合によっては時間を取れそうだったのだよ。そこで家の者に頼んで調整を行っていて、無事確保できたというわけだ」
「なるほどな。すると、ダイル」
「ああ、ハズマ。あそこで落ち合えば、二人の時間を作れる」
おじさんの説明によると、明後日の午後1時までは、ワークスという街にいる。そのためウチに来るのは時間的に不可能だけど、中間地点で落ち合えば十分な時間を作れる。
そしてその中間付近(厳密にはややワークス寄り)には、『アオプ湖』――あたしが告白をされた、思い出の場所がある。
そこで、明後日はソコで過ごせばいい、ということみたい。
「湖畔で仲良くランチをして、思い出の地でのんびりする。2時間弱という制限はあるが、充分楽しめるのではないかな?」
「流石父さん、最高だぜっ。リルは、それでいいか?」
「もちろんっ。大賛成っ」
明後日もアルフレッドと会えて、しかもそれはアオプ湖。断るはずないよね。
「んじゃその日は、俺がランチを用意する。正午前にウチの馬車を遣すから、待っててくれよな」
「うんっ、待ってる。じゃあ、また明後日」
「おう。また明後日」
ちょっぴりあった寂しい気持ちは、お互いになし。どちらも楽しみを秘めて、手を振り合ったのでした。
今日は晩ご飯も一緒だね。楽しみ――。そんな話をしながら家に戻ると、ソファーにいたダンディーな男性が立ち上がった。
この人は、ダイルおじ様。ロザス家の現当主で、つまりアルフレッドのお父さんだ。
「あれ? 父さんは、用事で忙しいはずじゃなかったっけ? 訪問は明日になる、って言ってなかったっけ?」
「うむ。その予定だったのだけれど、各所との調整が――別件が、滑り込んできてしまった。急遽今夜から十数日程度、お前の同席が必要になってしまったのだよ」
ダイルおじ様は「だから迎えに来た」と肩を竦め、残念そうにため息を吐いた。
ロザス家は、エルミおば様が――当主夫人がすでに亡くなっていて、おじ様の意向で――おじ様にとっておば様は最愛の幼馴染なため、再婚はなし。そのため子供はアルフレッドだけで、次期当主としての教育が本格的に始まってるんだよね。
「夕食の予定は熟知していて、なんとか回避したかった。しかしやはり、これはどうしても必要なのだよ。アルフレッド、リル君、ハズマ、リノラ、ザック君も、すまない」
「ダイルの状況は、それこそ熟知してる。気に病まないでくれ」
「この子達には、自由があるんだもの。延期の影響はないわよ」
「そうだね、次の機会を作ればいいだけ。ね、アルフ兄ちゃん、姉ちゃん」
「ああ。ザックの言う通りだ」
「次があるから、ちっとも悲しくありませんよ。頭を上げてください、ダイルおじ様」
「…………みんな、感謝する。助かるよ」
おじ様はゆっくりと頭を上げて、そのあとは短めだけど、あたしとの再会を喜ぶ時間の始まり。
こう見えて毒舌なダイルおじ様は、
「エメリック殿下が、あそこまで節操のない方だったとはな。おもわず※※※※※※※と叫びそうになったよ」
「国王夫妻も、まるで駄目だな。もうバカはにつける薬はない。思い切って※※※※※※するしかないかな? はっはっはっ」
などなど。
人様にはお聞かせできない単語をさらりと挟み、楽しい? 再会の一時は幕を閉じたのでありました。
はっはっはっ……。
「では、そろそろ失礼しよう。この埋め合わせは、後日――ふふっ。どうやら、明日には多少挽回できそうだな」
揃って外に出ていると、門の前に馬車が停まった。あれはロザス家が所有するもので、御者さんがペコリとお辞儀すると去っていった。
「父さん? 今の、なんなんだ?」
「明後日の数時間――午後の1時前後から午後の3時頃までは、場合によっては時間を取れそうだったのだよ。そこで家の者に頼んで調整を行っていて、無事確保できたというわけだ」
「なるほどな。すると、ダイル」
「ああ、ハズマ。あそこで落ち合えば、二人の時間を作れる」
おじさんの説明によると、明後日の午後1時までは、ワークスという街にいる。そのためウチに来るのは時間的に不可能だけど、中間地点で落ち合えば十分な時間を作れる。
そしてその中間付近(厳密にはややワークス寄り)には、『アオプ湖』――あたしが告白をされた、思い出の場所がある。
そこで、明後日はソコで過ごせばいい、ということみたい。
「湖畔で仲良くランチをして、思い出の地でのんびりする。2時間弱という制限はあるが、充分楽しめるのではないかな?」
「流石父さん、最高だぜっ。リルは、それでいいか?」
「もちろんっ。大賛成っ」
明後日もアルフレッドと会えて、しかもそれはアオプ湖。断るはずないよね。
「んじゃその日は、俺がランチを用意する。正午前にウチの馬車を遣すから、待っててくれよな」
「うんっ、待ってる。じゃあ、また明後日」
「おう。また明後日」
ちょっぴりあった寂しい気持ちは、お互いになし。どちらも楽しみを秘めて、手を振り合ったのでした。
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