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第2話 作戦開始初月~すべてのはじまり~ ニナ視点(4)
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「えっ!? このリボンをくれるのかい!? ありがとうニナ……!!」
気になってつい立ち聞きしてたと伝えて、リュカが持ってるピンクのリボンをプレゼントする。そしたら彼は声を弾ませ、太陽みたいに眩しい満面の笑みを浮かべた。
ふぅ~、よかった。今のリュカの表情とは声色は、普段通り。毛髪の話をしていた時の、ヤバめな雰囲気はなくなった。
「ごめんよ、ニナ。大事なものを盗ってしまっていた俺を、許して欲しい」
「ううん、いいの。だってそれくらい、あたしを好きなんだって意味なんだもん。ソレ、ず~っと大切にしてね?」
「もちろん生涯大切にするよ! 常時懐に入れて持ち歩いて、部屋にいる時は一番よく見える場所に置いて――……。待てよ……」
引き続き声を弾ませていたリュカが、不意に少し俯いた。
な、なに? どうしたの?
「……………………………………………………………………。……………………………………………………………………」
「「リュカ? な、なんなの?」」
「……………………………………………どうせそうするのなら、もっと拘りたい……」
あたしとおば様の声は、全然聞こえてないみたい。ぼそりと呟いたリュカはガバッと顔を上げ、「ニナ。少しだけ、動かないでもらえるかな?」と言い出した。
「い、いいけど……。なにを、するの……?」
「ごめん、それは内緒なんだ。すぐ済ませるよ」
そう言うと彼はあたしの周りをグルっと周り、懐からペンと黒い手帳――リュカ愛用の手帳を取り出して、それはもう必死に何かを綴った。
「ありがとう。おかげ様で、細かなデータが採れたよ」
「で、データ? な、なんの?」
「そっちも内緒で、でも安心して。君に悪影響のある問題ではないよ」
「そ、そう……。え、えっと……。じゃあ、もう部屋に戻ってもいいかな?」
色々あったせいで、心も身体も疲れた。今日はもう、休みたい。
「えっ? でも、これからリボンのお礼をしたいし……。母さんにも止めてくれたお礼をしたいから、夜分だけどちょっとしたお菓子を作らせてもらいたい――」
「リュカ、わたしもニナさんに賛成よ。今夜はもう休みましょう」
リュカは料理が趣味の一つで、彼が作ってくれるものはどれも美味しい。だけど、ねえ……。
そんな余裕は、今はこれっぽっちもないのです。
「……リュカ、おやすみ。また明日ね……」
「……リュカ、おやすみなさい。お礼は、明日いただくよ……」
短時間の間に多大な疲労が生まれたあたし達は自室に戻り、倒れ込むようにしてベッドに入る。
「………………はぁ。疲れた……」
まさか、リュカにこんな一面があったなんてね――。
最後のアレ、なにしてたんだろ――。
あたしはそんなことを考えながら、そして背中に寒気を感じながら、夢の世界に落ちていったのでした。
気になってつい立ち聞きしてたと伝えて、リュカが持ってるピンクのリボンをプレゼントする。そしたら彼は声を弾ませ、太陽みたいに眩しい満面の笑みを浮かべた。
ふぅ~、よかった。今のリュカの表情とは声色は、普段通り。毛髪の話をしていた時の、ヤバめな雰囲気はなくなった。
「ごめんよ、ニナ。大事なものを盗ってしまっていた俺を、許して欲しい」
「ううん、いいの。だってそれくらい、あたしを好きなんだって意味なんだもん。ソレ、ず~っと大切にしてね?」
「もちろん生涯大切にするよ! 常時懐に入れて持ち歩いて、部屋にいる時は一番よく見える場所に置いて――……。待てよ……」
引き続き声を弾ませていたリュカが、不意に少し俯いた。
な、なに? どうしたの?
「……………………………………………………………………。……………………………………………………………………」
「「リュカ? な、なんなの?」」
「……………………………………………どうせそうするのなら、もっと拘りたい……」
あたしとおば様の声は、全然聞こえてないみたい。ぼそりと呟いたリュカはガバッと顔を上げ、「ニナ。少しだけ、動かないでもらえるかな?」と言い出した。
「い、いいけど……。なにを、するの……?」
「ごめん、それは内緒なんだ。すぐ済ませるよ」
そう言うと彼はあたしの周りをグルっと周り、懐からペンと黒い手帳――リュカ愛用の手帳を取り出して、それはもう必死に何かを綴った。
「ありがとう。おかげ様で、細かなデータが採れたよ」
「で、データ? な、なんの?」
「そっちも内緒で、でも安心して。君に悪影響のある問題ではないよ」
「そ、そう……。え、えっと……。じゃあ、もう部屋に戻ってもいいかな?」
色々あったせいで、心も身体も疲れた。今日はもう、休みたい。
「えっ? でも、これからリボンのお礼をしたいし……。母さんにも止めてくれたお礼をしたいから、夜分だけどちょっとしたお菓子を作らせてもらいたい――」
「リュカ、わたしもニナさんに賛成よ。今夜はもう休みましょう」
リュカは料理が趣味の一つで、彼が作ってくれるものはどれも美味しい。だけど、ねえ……。
そんな余裕は、今はこれっぽっちもないのです。
「……リュカ、おやすみ。また明日ね……」
「……リュカ、おやすみなさい。お礼は、明日いただくよ……」
短時間の間に多大な疲労が生まれたあたし達は自室に戻り、倒れ込むようにしてベッドに入る。
「………………はぁ。疲れた……」
まさか、リュカにこんな一面があったなんてね――。
最後のアレ、なにしてたんだろ――。
あたしはそんなことを考えながら、そして背中に寒気を感じながら、夢の世界に落ちていったのでした。
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