困った時だけ泣き付いてくるのは、やめていただけますか？

第10話 当主がいない理由 イブライム視点（３）

「ど、どうして……。なんだい……？」
「あの日の言葉、それ以降の態度も、全てが偽りだからですよ。……イブライム様、ダニエル様、アリックス様。わたしは貴方様がたが許しを請うた時から、何かしらの裏があると確信していたのですよ」

　平然と手の平を返した人間が、夢程度で改心するはずがない――。アンはすぐにそう確信し、許したふりをして……。
　ずっと、理由を見極めていた……。

「そうすれば案の定金銭による大問題が発生し、貴方がたは助けを求めてきた。困った時だけ泣き付いてくる人を、許せるはずがありません。助ける義理もありませんよ」
「だ、そうです。なので今度こそ、説明を始めさせていただきますね」

　ぁ、ぁぁ……。
　俺達が青ざめていると……。エリオッツは、右の指を１本立てて――