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第9話 三人が目指す場所は 俯瞰視点(1)
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「今まで済まなかった!! お前は大切な家族だ!!」
「わたくしと血の繋がりはないけれど!! わたくしにとって貴女は大切な子どもっ、愛する娘よ!!」
「わたしもっ、おんなじ!! お姉様はこの国で――世界で一番尊敬できる自慢のお姉様なのっ!!」
ものすごい勢いで走り出した、ドナルドとカロルとクラリス。そんな三人が目指したのは、二階にある小さな部屋――アレットの部屋。
フランクから『追い出すのをやめて謝罪をすれば許されるのでは』と言われ、それだ! と感じたためこうしているのです。
「……お父様、カロルお継母様、クラリスも。突然どうされたのですか?」
「色々と考えていてなっ、それにより愚かな真似をしていたと気付いたのだ!! 今まで悪かった!! 反省している!!」
「これまでのことは、すべて謝罪をさせてもらうわ!! ごめんなさい!! 何年間も傷付け続けてごめんなさい!!」
「もうあんなコトはしないから!! これからはアレットお姉様も一緒!! 今日からはお詫びをしてくから!! よろしくお願いします!! 仲良くしようね――仲良くしてくださいっ!!」
三人は両膝をついて胸の前で手を組み、それが済むと高速で立ち上がって再度猛ダッシュ。今度は食堂に走って自分達用に用意されていたケーキを持ってきて、恭しく差し出しました。
「わたし達がしょうもない意地悪をしたせいで、いつもアレットだけは食べられなかっただろうっ? そんなことはもうしない!!」
「さあ食べて――どうぞ召し上がってください!! このガナッシュは美味しいのよっ!!」
「ほっぺたが落ちちゃうの!! わたし達の分全部あげるし足りなかったら持ってくるからっ!! どうぞお姉様!!」
まるで王に対する所作でケーキの載った皿とフォークを渡し、素早くテーブルと椅子を用意します。そしてアレットが座り食べ始めるとみたび全力で以て動き始め、紅茶を運んで来てティーサービスを始めました。
そうして三人はその後たっぷり1時間改めての謝罪とご奉仕を行い、アレットが満足した様子を浮かべたため、一旦下がることにしました。
「あの表情を見るに、あの子は我々を許した。ならば!」
「きっと、大丈夫だわ!」
「だってもう捨てるつもりはなくって、ちゃんと謝ってもいるんだもん! 人形も怒らなくって、消える――え? 今、後ろで物音が――ぎゃあああああ!!」
残念ながら、ホッとできたのは僅か十七秒。違和感を覚えて振り向くと、あのビスクドール3体が曲がり角から三人を見ていたのでした。
ですので――
「わたくしと血の繋がりはないけれど!! わたくしにとって貴女は大切な子どもっ、愛する娘よ!!」
「わたしもっ、おんなじ!! お姉様はこの国で――世界で一番尊敬できる自慢のお姉様なのっ!!」
ものすごい勢いで走り出した、ドナルドとカロルとクラリス。そんな三人が目指したのは、二階にある小さな部屋――アレットの部屋。
フランクから『追い出すのをやめて謝罪をすれば許されるのでは』と言われ、それだ! と感じたためこうしているのです。
「……お父様、カロルお継母様、クラリスも。突然どうされたのですか?」
「色々と考えていてなっ、それにより愚かな真似をしていたと気付いたのだ!! 今まで悪かった!! 反省している!!」
「これまでのことは、すべて謝罪をさせてもらうわ!! ごめんなさい!! 何年間も傷付け続けてごめんなさい!!」
「もうあんなコトはしないから!! これからはアレットお姉様も一緒!! 今日からはお詫びをしてくから!! よろしくお願いします!! 仲良くしようね――仲良くしてくださいっ!!」
三人は両膝をついて胸の前で手を組み、それが済むと高速で立ち上がって再度猛ダッシュ。今度は食堂に走って自分達用に用意されていたケーキを持ってきて、恭しく差し出しました。
「わたし達がしょうもない意地悪をしたせいで、いつもアレットだけは食べられなかっただろうっ? そんなことはもうしない!!」
「さあ食べて――どうぞ召し上がってください!! このガナッシュは美味しいのよっ!!」
「ほっぺたが落ちちゃうの!! わたし達の分全部あげるし足りなかったら持ってくるからっ!! どうぞお姉様!!」
まるで王に対する所作でケーキの載った皿とフォークを渡し、素早くテーブルと椅子を用意します。そしてアレットが座り食べ始めるとみたび全力で以て動き始め、紅茶を運んで来てティーサービスを始めました。
そうして三人はその後たっぷり1時間改めての謝罪とご奉仕を行い、アレットが満足した様子を浮かべたため、一旦下がることにしました。
「あの表情を見るに、あの子は我々を許した。ならば!」
「きっと、大丈夫だわ!」
「だってもう捨てるつもりはなくって、ちゃんと謝ってもいるんだもん! 人形も怒らなくって、消える――え? 今、後ろで物音が――ぎゃあああああ!!」
残念ながら、ホッとできたのは僅か十七秒。違和感を覚えて振り向くと、あのビスクドール3体が曲がり角から三人を見ていたのでした。
ですので――
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