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第8話 激動と激動 俯瞰視点(3)

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「? あなた?」
「お父様? どうしたの?」
「………………カロル、クラリス。今、後ろで妙な物音がしなかったか……?」

 不意に、立ち止まったドナルド。彼は同じく足を止めた二人を順に見つめ、首を傾げました。

「「後ろ? 妙な音?」」
「あそこ――曲がり角付近で、ガサガサ…………違うな。ゴソゴソという、何かが動くような音がした気がしたのだが……。二人は、聞こえなかったようだな」

 説明すると、返ってきたのはキョトン顔が2つ。それによって聞かずとも察し、ですがドナルドは耳には自信がありました。ですのでひとり踵を返し、発生源である曲がり角を目指します。

「何かが動く、それでいて擦れる音がしていたはずなのだが……。………………ううむ。気のせいだったようだな」

 その付近には何もなく、違和感も一切ありませんでした。ですのでそのまま引き返し、二人に向けて肩を竦めました。

「待たせてすまなかった。空耳だったようだ」
「気にしないで。それにしても貴男が聞き間違いだなんて、珍しいわね」
「ね~、お父様は耳が良いのに。……もしかして、さっきあの話を聞いたせいだったりして」
「こらこら、子どもじゃないんだぞ? いつまでも引きずるはずがないだろう」
「それもそうだね。お父様ごめんなさーい」

 ドナルドがコツンとオデコを突っつき、クラリスがオデコを押さえながらチロリと舌を出し、カロルがそれを見てクスリとする。すっかり調子を取り戻している三人は歩きながら仲良く戯れ、ソレが終わる頃に自分専用の部屋の前にたどり着きました。

「では、またあとでな」
「ええ」
「うんお父様」

 そうして三人は反対方向からやって来た侍女たちを従え、それぞれ部屋に入って――

「「「っ!!!!!」」」

 ――すぐに、三人はものすごい勢いで飛び出すことになりました。
 入った途端に出てきて、全員の顔が蒼白になっている理由。それは――

「でっ出た!!」「また出た!?」「出たぁぁ!!」

 それぞれの部屋の中央で、あのビスクドールが座っていたからです。


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