28 / 28
第12話 関係者のその後~ケビン&ドニSide~ 俯瞰視点(1)
しおりを挟む
「やった! やったぞ!! こんな日が来るなんて、夢のようだ……! ついに貴族に戻れたぞ……!」
突如としてリートアル伯爵家の親子が蒸発してから、1年後のことでした。ドニの父親であり元当主であるケビンは、お屋敷の前で歓喜の涙を流していました。
自分達が身を隠している間に、隣国で――ルーフェ侯爵家で内輪もめが発生。その結果ラファエルとリアムは失脚して地位を失う羽目となる。
それによってケビンとドニを狙う『魔の手』は消え去り、ヒッソリと生きていく必要がなくなったのです。
しかも――
「兄上お待ちしておりました!」
「兄上、お帰りなさいませ! やはり兄上でなければ当主は務めりませぬ!」
――ケビンとドニが消えてからは、実弟2人がリートアル家を動かしていました。
しかしながら弟たちには荷が重く、2人は――親族全員が、『ケビン当主』を望んでいました。そのため脅威がなくなるやすぐにケビンたちの捜索が始まり、見つかるや即当主復帰の要請があり、本日付で再び当主となっていたのです。
「ふふふ、そうかっ。そうかそうかっ! わたしが必要なのだな! 任せておけ! もう心配は要らないぞ!」
「ありがとうございます!」「ありがとうございますっ!」
「「「「「旦那様っ、お帰りなさいませ!!」」」」」
「「「「「ご帰還、おめでとうございます!!」」」」」
「うむ、うむ! 我々はついに、この場所に戻って来た! ここから再び、わたしの時代の始まりだ!!」
両膝をついて歓喜する弟と使用人達。目の前で跪く者達に大きく頷き、ゆっくりと足を踏み出します。
そうしてケビンは一年ぶりに、自身の『城』へと入り――
「帰って来たぞ! ご主人様のお戻りだ――…………。え……? ここは……?」
――大笑いしていると、突如視界が暗転。真っ暗になっていた視界はすぐに復活しましたが、そうすると――これまであった景色はなくなっていて、代わりに汚らしい天井が視界に入るようになりました。
「屋敷では、ない……? ど、どうなって――………………。ま、また、あの夢を見ていたのか……」
突然リアム達が力を失い、弟達が自分を求め、当主に復帰する。
逃亡したその日からケビンは、願望溢れる夢を見るようになっていたのでした。
「……俺は当主でもないし、貴族でもないし、追われ続けている……。う、うわああああああああああああ! こういやだあああああああああああああああああああああああああああ!!」
我に返ったケビンは頭を抱えて嘆きますが、こんな日々が変わることはありません。
明日も明後日も、その先もずっと。
息子の身勝手に応え続けたことにより、ケビンは一生涯後悔しながら生きることとなるのでした――。
そして、そんなケビンがいる隣の部屋では――
突如としてリートアル伯爵家の親子が蒸発してから、1年後のことでした。ドニの父親であり元当主であるケビンは、お屋敷の前で歓喜の涙を流していました。
自分達が身を隠している間に、隣国で――ルーフェ侯爵家で内輪もめが発生。その結果ラファエルとリアムは失脚して地位を失う羽目となる。
それによってケビンとドニを狙う『魔の手』は消え去り、ヒッソリと生きていく必要がなくなったのです。
しかも――
「兄上お待ちしておりました!」
「兄上、お帰りなさいませ! やはり兄上でなければ当主は務めりませぬ!」
――ケビンとドニが消えてからは、実弟2人がリートアル家を動かしていました。
しかしながら弟たちには荷が重く、2人は――親族全員が、『ケビン当主』を望んでいました。そのため脅威がなくなるやすぐにケビンたちの捜索が始まり、見つかるや即当主復帰の要請があり、本日付で再び当主となっていたのです。
「ふふふ、そうかっ。そうかそうかっ! わたしが必要なのだな! 任せておけ! もう心配は要らないぞ!」
「ありがとうございます!」「ありがとうございますっ!」
「「「「「旦那様っ、お帰りなさいませ!!」」」」」
「「「「「ご帰還、おめでとうございます!!」」」」」
「うむ、うむ! 我々はついに、この場所に戻って来た! ここから再び、わたしの時代の始まりだ!!」
両膝をついて歓喜する弟と使用人達。目の前で跪く者達に大きく頷き、ゆっくりと足を踏み出します。
そうしてケビンは一年ぶりに、自身の『城』へと入り――
「帰って来たぞ! ご主人様のお戻りだ――…………。え……? ここは……?」
――大笑いしていると、突如視界が暗転。真っ暗になっていた視界はすぐに復活しましたが、そうすると――これまであった景色はなくなっていて、代わりに汚らしい天井が視界に入るようになりました。
「屋敷では、ない……? ど、どうなって――………………。ま、また、あの夢を見ていたのか……」
突然リアム達が力を失い、弟達が自分を求め、当主に復帰する。
逃亡したその日からケビンは、願望溢れる夢を見るようになっていたのでした。
「……俺は当主でもないし、貴族でもないし、追われ続けている……。う、うわああああああああああああ! こういやだあああああああああああああああああああああああああああ!!」
我に返ったケビンは頭を抱えて嘆きますが、こんな日々が変わることはありません。
明日も明後日も、その先もずっと。
息子の身勝手に応え続けたことにより、ケビンは一生涯後悔しながら生きることとなるのでした――。
そして、そんなケビンがいる隣の部屋では――
13
お気に入りに追加
874
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(32件)
あなたにおすすめの小説
捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。
彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。
さて、どうなりますでしょうか……
別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。
突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか?
自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。
私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。
それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。
7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
婚約なんてするんじゃなかった——そう言われたのならば。
ルーシャオ
恋愛
ビーレンフェン男爵家次女チェリーシャは、婚約者のスネルソン伯爵家嫡男アンソニーに振り回されていた。彼の買った時代遅れのドレスを着て、殴られたあざを隠すよう化粧をして、舞踏会へ連れていかれて、挙句にアンソニーの同級生たちの前で「婚約なんてするんじゃなかった」と嘲笑われる。
すでにアンソニーから離れられやしないと諦めていたチェリーシャの前に現れたのは、長い黒髪の貴公子だった。
罪なき令嬢 (11話作成済み)
京月
恋愛
無実の罪で塔に幽閉されてしまったレレイナ公爵令嬢。
5年間、誰も来ない塔での生活は死刑宣告。
5年の月日が経ち、その塔へと足を運んだ衛兵が見たのは、
見る者の心を奪う美女だった。
※完結済みです。
モラハラ王子の真実を知った時
こことっと
恋愛
私……レーネが事故で両親を亡くしたのは8歳の頃。
父母と仲良しだった国王夫婦は、私を娘として迎えると約束し、そして息子マルクル王太子殿下の妻としてくださいました。
王宮に出入りする多くの方々が愛情を与えて下さいます。
王宮に出入りする多くの幸せを与えて下さいます。
いえ……幸せでした。
王太子マルクル様はこうおっしゃったのです。
「実は、何時までも幼稚で愚かな子供のままの貴方は正室に相応しくないと、側室にするべきではないかと言う話があがっているのです。 理解……できますよね?」
[完結]離婚したいって泣くくらいなら、結婚する前に言ってくれ!
日向はび
恋愛
「離婚させてくれぇ」「泣くな!」結婚してすぐにビルドは「離婚して」とフィーナに泣きついてきた。2人が生まれる前の母親同士の約束により結婚したけれど、好きな人ができたから別れたいって、それなら結婚する前に言え! あまりに情けなく自分勝手なビルドの姿に、とうとう堪忍袋の尾が切れた。「慰謝料を要求します」「それは困る!」「困るじゃねー!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
テリエール夫妻、リメイク前では曲がりなりにも貴族で居られましたが、今作の末路で確かにこういった貴族って後継やら家督の問題とかで親族多い筈だよなー、他の親族とか居たら迷惑被ってたよなーと手を叩いて納得しました
アルク様。改めてお礼(お返事)をさせていただいております。
おっしゃる通りでして。即否定し、悪口を吐く。それは、最低なことですよね。
そんな人に、幸せが訪れるはずはなく。まともな人生も、送れるはずがありませんよね。
あの時まで順調だった人生は、それらの理由によって(性質によって)一変して。なにもかもが、崩壊してしまいました。
【妄想劇場】
>そして彼らは――
ケビンとドニが屋敷から持ち去った財産はリートアル伯爵家の資産ではなく、リートアル《伯爵位》のものだった。
つまり、伯爵領を運営するための予算なのだ。
伯爵家であることを放棄したふたりは、王家から、そして親戚から窃盗犯として追われることになる。
Vitch様。改めてお礼をさせていただきます。
妄想劇場を送ってくださり、いつも本当にありがとうございます。
あの時に手にした、財。その正体がまさか、そんな貴重なものだったとは……。
そんなことをしたら、王家も親戚も放ってはおきませんよね。
特に王家の怒りは、すさまじいものになりそうです。大罪人扱いですので、かなりのことになってしまいそうです……。