23 / 28
第9話 そんな…… ドニ&俯瞰視点(4)
しおりを挟む
「大バカには、言語が通じるようで通じないからな。これから、あの時とおんなじ――あの日以上のやり方で、話をつける」
ぐあっ!? 言下背後から押し倒され、大男に組み伏せられてしまった。
「な、なにをするっ!? あの日って! 俺をどうするつもりなのですか!?」
「お前を放っておいたら、何をするか分からない。だから何もできないようにするのさ、力ずくでな」
……。ちから、ずく……。
「あの時とは違って、今度は選択肢なんてない。……『諦めないと宣言し、絶望によって屈服させられる』未来。かつて兄さんに提示されたものを、覚えているよな?」
「お……。おぼえて、おり、ます……」
「今回はそこから前半を取り除き、後半を強化する。要するにお前はこれから、この場で消されるんだよ」
っっ。おもわずゾッとする笑みが浮かび上がり、ひぃぃぃぃぃ!?
斜め前方にいた大男がぁ!! ナイフを抜いた!!
「こっ、ここここれで刺す!? 切る!? おえを⁉ おっ、おえっ、俺に! つ、つかっ、つか使うつもりなのですか!?」
「このタイミングで出したんだ。そうするに決まっているだろ?」
「こっ、ここここは門前っ、外です!! 敷地内でもお屋敷の中でもないんですよっ⁉ こっ、こんな真似をしたら多くの人間に気付かれますよあちこちで大問題になりますよ!?」
「そのために、すでに人払いをしてある。ここは確かに外だが、実質外じゃない。心配は無用なんだよなぁ」
ニヤリ――。嗜虐的に口元が緩んで、ぁぁぁぁあ!!
近づいてくる!! ナイフを持った男が近づいてくる!!
「やっ、やめてくさっ、やめてください!! てっ、手を引くっ! 諦めますからっ!! もうリゼットには――リゼット様には近づきませんから!! お許しを!! お許しおぉぉぉお‼」
「ダメだ。お前はチャンスを逃した。一度逃げたものは、二度と戻ってこないんだよ」
うあああああああああああああ!! ぎゃあああああああああああああああああああああ‼
もうしないと言ってるのに止まらない!! ナイフが近づいてきて、だから――する! 必死になって手足をバタつかせる!! 逃げるために抵抗する!!
((このままだとタダでは済まない! それは嫌だ!!))
大丈夫っ、大丈夫! 俺は土壇場で力を発揮する男なんだっ!!
そうっ、だから!! 死に物狂いになればこんな拘束なんて――
「こら!! 大人しくしやがれ――しま!?」
――こんな拘束なんて、脱出できる!!
できた!!
「やっ、やった!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「「「「「まっ、待て!! 止まれ!! 止まりやがれ!!」」」」」」
大男達が慌てて追ってくるが、止まるはずがないっ! 立ち上がった俺は全力疾走で馬車に乗り込み、やったっっ!!
ヤツらに追いつかれる前に俺を乗せた馬車は走り出し、かろうじて難を逃れることができたのだった!!
〇〇
「……リアム様。行ってしまいましたね」
「ああ、そうだね。…………ありがとう、お前達。名演技だったよ」
猛スピードで走り去る馬車を眺めていた、リアム。隣に頷きを返した彼は臣下を労い、その後前方に――ドニに向けて、こう口を動かしのでした。
「殺害なんてものを、愛する人に見せるはずがないだろ? あれは全部嘘で、けれどお前は信じ込んでいる。だとしたら――」
ぐあっ!? 言下背後から押し倒され、大男に組み伏せられてしまった。
「な、なにをするっ!? あの日って! 俺をどうするつもりなのですか!?」
「お前を放っておいたら、何をするか分からない。だから何もできないようにするのさ、力ずくでな」
……。ちから、ずく……。
「あの時とは違って、今度は選択肢なんてない。……『諦めないと宣言し、絶望によって屈服させられる』未来。かつて兄さんに提示されたものを、覚えているよな?」
「お……。おぼえて、おり、ます……」
「今回はそこから前半を取り除き、後半を強化する。要するにお前はこれから、この場で消されるんだよ」
っっ。おもわずゾッとする笑みが浮かび上がり、ひぃぃぃぃぃ!?
斜め前方にいた大男がぁ!! ナイフを抜いた!!
「こっ、ここここれで刺す!? 切る!? おえを⁉ おっ、おえっ、俺に! つ、つかっ、つか使うつもりなのですか!?」
「このタイミングで出したんだ。そうするに決まっているだろ?」
「こっ、ここここは門前っ、外です!! 敷地内でもお屋敷の中でもないんですよっ⁉ こっ、こんな真似をしたら多くの人間に気付かれますよあちこちで大問題になりますよ!?」
「そのために、すでに人払いをしてある。ここは確かに外だが、実質外じゃない。心配は無用なんだよなぁ」
ニヤリ――。嗜虐的に口元が緩んで、ぁぁぁぁあ!!
近づいてくる!! ナイフを持った男が近づいてくる!!
「やっ、やめてくさっ、やめてください!! てっ、手を引くっ! 諦めますからっ!! もうリゼットには――リゼット様には近づきませんから!! お許しを!! お許しおぉぉぉお‼」
「ダメだ。お前はチャンスを逃した。一度逃げたものは、二度と戻ってこないんだよ」
うあああああああああああああ!! ぎゃあああああああああああああああああああああ‼
もうしないと言ってるのに止まらない!! ナイフが近づいてきて、だから――する! 必死になって手足をバタつかせる!! 逃げるために抵抗する!!
((このままだとタダでは済まない! それは嫌だ!!))
大丈夫っ、大丈夫! 俺は土壇場で力を発揮する男なんだっ!!
そうっ、だから!! 死に物狂いになればこんな拘束なんて――
「こら!! 大人しくしやがれ――しま!?」
――こんな拘束なんて、脱出できる!!
できた!!
「やっ、やった!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「「「「「まっ、待て!! 止まれ!! 止まりやがれ!!」」」」」」
大男達が慌てて追ってくるが、止まるはずがないっ! 立ち上がった俺は全力疾走で馬車に乗り込み、やったっっ!!
ヤツらに追いつかれる前に俺を乗せた馬車は走り出し、かろうじて難を逃れることができたのだった!!
〇〇
「……リアム様。行ってしまいましたね」
「ああ、そうだね。…………ありがとう、お前達。名演技だったよ」
猛スピードで走り去る馬車を眺めていた、リアム。隣に頷きを返した彼は臣下を労い、その後前方に――ドニに向けて、こう口を動かしのでした。
「殺害なんてものを、愛する人に見せるはずがないだろ? あれは全部嘘で、けれどお前は信じ込んでいる。だとしたら――」
23
お気に入りに追加
874
あなたにおすすめの小説
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
婚約者の不倫相手は妹で?
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。
完結 愛人さん初めまして!では元夫と出て行ってください。
音爽(ネソウ)
恋愛
金に女にだらしない男。終いには手を出す始末。
見た目と口八丁にだまされたマリエラは徐々に心を病んでいく。
だが、それではいけないと奮闘するのだが……
殿下に裏切られたことを感謝しています。だから妹と一緒に幸せになってください。なれるのであれば。
田太 優
恋愛
王子の誕生日パーティーは私を婚約者として正式に発表する場のはずだった。
しかし、事もあろうか王子は妹の嘘を信じて冤罪で私を断罪したのだ。
追い出された私は王家との関係を優先した親からも追い出される。
でも…面倒なことから解放され、私はやっと自分らしく生きられるようになった。
双子の妹を選んだ婚約者様、貴方に選ばれなかった事に感謝の言葉を送ります
すもも
恋愛
学園の卒業パーティ
人々の中心にいる婚約者ユーリは私を見つけて微笑んだ。
傍らに、私とよく似た顔、背丈、スタイルをした双子の妹エリスを抱き寄せながら。
「セレナ、お前の婚約者と言う立場は今、この瞬間、終わりを迎える」
私セレナが、ユーリの婚約者として過ごした7年間が否定された瞬間だった。
不治の病の私とは離縁すると不倫真っ最中の夫が言ってきました。慰謝料、きっちりいただきますね?
カッパ
恋愛
不治の病が発覚した途端、夫であるラシュー侯爵が離縁を告げてきました。
元々冷え切っていた夫婦関係です、異存はありません。
ですが私はあなたの不貞を知っておりますので、ちゃあんと慰謝料はきっちり支払っていただきますね?
それから・・・わたしの私物も勿論持っていきますから。
婚約破棄を突きつけているのは王子なのに、どうして泣いていらっしゃるのですか?
霜月零
恋愛
「ユーリット・フォングラハン伯爵令嬢。あなたとの婚約は破棄するっ」
煌びやかなパーティ会場で突如として王子は婚約者であるユーリットに婚約破棄を突きつける。
……けれど王子は自身が婚約破棄を突きつけたというのに、堪えきれずに泣き出した。
※他サイトにも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる