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第11話 無駄な努力と、吉報? セリア視点(3)

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「…………大声で、言い争いが始まった。4つ目の作戦は、ケンカを使うのね」

 持ち込んでいた本を読んでいたら、外が――階段の下あたりが、異常に騒がしくなった。
 あの人達は、お互いを強く愛している。決してケンカなんてしないから、これはお芝居なのだと確信した。


『シリルっ!! ママもっ!! なんであたしを無視するの!?』
『だから考え事をしていたって言ってるだろ!? 無視じゃなくて、聞こえていなかったんだよっ!』
『お母さんもそうだと言っているでしょっ! ソフィ―っ、セリアが心配でストレスが溜まっているのは分かるの! セリアのことが不安で、おもわずイライラしてしまうその気持ちは分かるわっ。でも、それを八つ当たりしちゃダメでしょうっ! お母さんにはともかく、シリルさんにちゃんと謝りなさいっ!』


「……迫真の演技ね。折角だし、もう少し聞いてみましょうか」

 そうして私は3人のお芝居に耳を傾け、やがて3人はヒートアップ。今度は取っ組み合いを始めた。


『あたしとシリルの間に立ったのが悪いんだよ!! 邪魔したママが悪いんだよバーカ!!』
『それはソフィ―に同意です。邪魔をしないでくれ!!』
『バカ? くれ? 母と義母に向かってなんなのその口に利き方は!! いいわっ!! この機会にアナタ達の性根を叩き直してあげる!!』


 そういった争いも、本気で行っている。部屋にいる私に違和感を抱かせないよう、全力で突き飛ばしたり掴みかかったりしている。


『このっ!! このっ!! このっっ!! あたしに謝れっ!!』
『ふざけるな! 謝るのはお前だろうがっ!!』
『謝るのは両方よ!! 力関係を叩き込んでやるわ!!』


 激しさは更に増していて、何も知らない頃の私なら、扉を開けて飛んで行っているほどになっている。
 だけど――。
 今の私は、全てを知っている。
 だから、すぐに動きはしない。

((今日は3人の作戦に乗って、『明日外に出る』『その足でピクニックに行こう』と伝える予定だった。でも))

 これが、知らないフリをして反撃をする、最後の機会。そのため、お礼・・の気持ちを込めて、外に大声の理由を確認するのは10分後にする。

((私は悩み疲れて熟睡してしまっていて、なかなか気付かないの。ソフィ―、シリル、アンナ。気が付くまで、お芝居を頑張ってね))






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