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第6話 セリア説得作戦スタート(アンナの挑戦編) アンナ視点(2)
しおりを挟む「セリアがそうやって落ち込んでいたら、天国にいるイザベラさんも悲しむわ。わたしは彼女と付き合いが長いから、分かるの。『自信を持って』『違うよ』って、言っているわ」
扉の向こう側へと、こう告げたあと――。会心の台詞を告げた後、わたしは心の中でニヤリと口を緩めた。
セリアはわたしの本心に気付いていないし、あの子はイザベルが絡むと弱い。母親が心配していると言ったら、間違いなく言う事を聞くわ。
「セリア。アナタは、イザベラさんの実の子ども。しっかりと向き合ってみれば、わたし以上に分かるはずよ。お母さんの想いが」
「………………。……………………」
「お母さんの姿を、お顔を、思い出して。あの頃にかけてもらった言葉を、思い出してみて。……姿は見えなくても絶対に、愛娘の成長をずっと見守ってくれてる。そんなイザベラさんは、今のアナタを見てどう思ってると思う?」
「………………アンナお母様の、言う通りです。『自信を持って』『違うよ』と思ってくれていて、お空の上では否定をしてくれていると思います」
予想通り。あとはコレを踏み台にして、外に出してピクニックをさせる。
イザベラ、ありがとう。また、お前を利用させてもらったわ――
「でも……」
――哀れに死んだ元ライバルを嘲笑っていたら、力ない戸惑いの声が聞こえてきた。
? でも?
「セリア。でも、なあに?」
「…………違うかも、しれない……。私が都合のいいように考えているだけなのかも……。って、感じる部分もあるんです……」
「どっ、どうして!? 理由はなに!?」
母親が絡むと、盲目的になるはずなのにっ。どうなっているの!?
「理由は、指輪です。あの指輪はお母様の形見の一つで、ずっと大切にしていたのに……。2年前突然、部屋から消えました……。そんなことが起きたのは、もしかしたら愛想を尽かしていたんじゃないか……。実はそんな理由で消えたとずっと思っていて、否定してくれていると信じたいけど信じられないんです……っ」
「か、かたみ……。ゆびわ……」
「あの指輪が戻ってきてくれたら、信じられる。すぐにここから出れるんですけど……。だから、一歩を踏み出せないんです……」
「………………………………」
弱弱しくて不安げ。どんどんしぼんでいく声を、わたしは愕然として聞いていた。
なぜなら……。
なぜなら……っ。
指輪が消えたのは、わたしが部屋に忍び込んで盗んで売ったから。
その指輪が戻ってくることは、絶対にないのだから…………。
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