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第6話 セリア説得作戦スタート(アンナの挑戦編) 俯瞰視点(1)
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「ママ。お願いねっ!」
「ええ、任せて頂戴。あの女を外へと出して、ソフィ―の仇を取るわ」
セリアが部屋に籠りはじめてから、4日後。ソフィ―が吐いて寝込んだ、次の日の午前9時過ぎ。ハミンズ邸内にあるアンナの私室では、部屋の持ち主であるアンナが力強く頷いていました。
可愛い可愛い娘を傷付けられて、アンナは激怒していました。
そのため用意していた作戦に改良を加え、策は更にクオリティーが高いものへ進化。今の彼女は、理不尽な怒りと自信に満ち満ちていたのです。
「あんなバカ姉はさっさと引っ張り出して、牢にぶち込まなきゃだよっ! ママ頑張ってっ! あたしの仇を取ってっ!」
「今日必ず外に出して、説得して、2日後にはピクニック。なにがなんでも、スケジュール通りに動かすわ」
シリルがやって来るまでに準備を整えて、その日で仕留める。アンナはそれを実現すると娘に約束し、出発。大嫌い、忌々しい存在・セリアがいる2階を目指します。
((ソフィ―を酷い目に遭わせた、ゴミ。わたし達の生活に不要な、ゴミ。憎らしいあの女が遺した、ゴミ。今度こそ、この家から排除してやるわ……!!)
セリアの母である、前妻イザベル。アンナの中には、彼女に対する特別な感情がありました。
『アンナ様。ごきげんよう』
『イザベル様。ごきげんよう』
イザベルとアンナは、同地方に存在する男爵家の娘。家同士の交流はないため親しくはありませんでしたが、社交界ではよく顔を合わせていました。
そして。その際には必ず、アンナにとって不愉快なことが起きていました。
『イザベルさん。よろしければ、僕とお話しをしてくれませんか?』
『イザベルさんっ。俺と一曲踊ってください!』
イザベルは清廉潔白であり、そんな心が具現化したような美しい容姿の持ち主。そのためいつも参加者に囲まれおり、そうでなかったアンナは、いつも妬んでいたのです。
『わたしの方が魅力的なのに……っ。イザベルばかり許せない……! 見てなさいよ……っ!』
そうしてトラブルを装い、イザベルに怪我を負わせたり――額の隅に一生消えない傷を作ったり、
『イザベルが、結婚……!? だったら……っ。だったら……!! アイツから幸せを……っ。夫を奪ってやる……!!』
ハミンズ家の後妻に、なったりしました。
アンナは、夫ドナルドを愛してなどいません。イザベルから全てを奪うために誘惑して生前から浮気をし、完全にドナルドを奪い取るため死後に結婚をしていたのです。
((イザベルが死んで、残るあの女の『生きた証』は、娘だけ。今日必ず、改めて、処刑台への第一歩を踏み出させてやるわ))
何度も奥歯を噛み締め、そうしていると目的地に到着。扉の前にたどり着いたアンナは目をギラつかせながら、コンコンとノックを3回。本性とは真逆の穏やかで不安げな声音を作り、作戦を始めたのでした。
「セリア、大切なお話があるの。聞いて頂戴」
「ええ、任せて頂戴。あの女を外へと出して、ソフィ―の仇を取るわ」
セリアが部屋に籠りはじめてから、4日後。ソフィ―が吐いて寝込んだ、次の日の午前9時過ぎ。ハミンズ邸内にあるアンナの私室では、部屋の持ち主であるアンナが力強く頷いていました。
可愛い可愛い娘を傷付けられて、アンナは激怒していました。
そのため用意していた作戦に改良を加え、策は更にクオリティーが高いものへ進化。今の彼女は、理不尽な怒りと自信に満ち満ちていたのです。
「あんなバカ姉はさっさと引っ張り出して、牢にぶち込まなきゃだよっ! ママ頑張ってっ! あたしの仇を取ってっ!」
「今日必ず外に出して、説得して、2日後にはピクニック。なにがなんでも、スケジュール通りに動かすわ」
シリルがやって来るまでに準備を整えて、その日で仕留める。アンナはそれを実現すると娘に約束し、出発。大嫌い、忌々しい存在・セリアがいる2階を目指します。
((ソフィ―を酷い目に遭わせた、ゴミ。わたし達の生活に不要な、ゴミ。憎らしいあの女が遺した、ゴミ。今度こそ、この家から排除してやるわ……!!)
セリアの母である、前妻イザベル。アンナの中には、彼女に対する特別な感情がありました。
『アンナ様。ごきげんよう』
『イザベル様。ごきげんよう』
イザベルとアンナは、同地方に存在する男爵家の娘。家同士の交流はないため親しくはありませんでしたが、社交界ではよく顔を合わせていました。
そして。その際には必ず、アンナにとって不愉快なことが起きていました。
『イザベルさん。よろしければ、僕とお話しをしてくれませんか?』
『イザベルさんっ。俺と一曲踊ってください!』
イザベルは清廉潔白であり、そんな心が具現化したような美しい容姿の持ち主。そのためいつも参加者に囲まれおり、そうでなかったアンナは、いつも妬んでいたのです。
『わたしの方が魅力的なのに……っ。イザベルばかり許せない……! 見てなさいよ……っ!』
そうしてトラブルを装い、イザベルに怪我を負わせたり――額の隅に一生消えない傷を作ったり、
『イザベルが、結婚……!? だったら……っ。だったら……!! アイツから幸せを……っ。夫を奪ってやる……!!』
ハミンズ家の後妻に、なったりしました。
アンナは、夫ドナルドを愛してなどいません。イザベルから全てを奪うために誘惑して生前から浮気をし、完全にドナルドを奪い取るため死後に結婚をしていたのです。
((イザベルが死んで、残るあの女の『生きた証』は、娘だけ。今日必ず、改めて、処刑台への第一歩を踏み出させてやるわ))
何度も奥歯を噛み締め、そうしていると目的地に到着。扉の前にたどり着いたアンナは目をギラつかせながら、コンコンとノックを3回。本性とは真逆の穏やかで不安げな声音を作り、作戦を始めたのでした。
「セリア、大切なお話があるの。聞いて頂戴」
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