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第5話 その日の夜のお話~勝利の小さな宴と、予想外の来訪者~ セリア視点(4)

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(今の音は、クラウ――従者からの、連絡さ)

 一体、なんなんだろう……? そう考えていたら、その正体を説明してくださった。
 れん、らく……?

(家の力を使って動くと、親族外野が色々と口を出してきて厄介なんだよ。それを回避するべく、今は私設の部隊と共に動いている――家族にも秘密にしていて、個人として動いているんだ。そのためいつまでも部屋を空けていると、気付かれてしまうんだよ。無論父や母には悟られても問題はないけれど、敵を欺くには味方から、というわけさ)
(そう、だったのですね。そんな中を縫ってくださり、痛み入ります)
(俺の性分、我が儘だ、気にしないでくれ。……セリア。自室から出ることは、外出は可能なのか?)
(いえ、できません。3人が――敵がもしも別の作戦を立てていた場合は、詰んでしまいますので)
(……そうか。なら明日、またこの時間に来る。それまで独りで凌げるか?)
(はい。問題ありません)

 次に来るのは、継母アンナ。対策はバッチリしてあります。

(それはよかった。では、俺は去るよ)

 ファルラン様は僅かに口元を緩め、静かに窓を開ける。そして窓を軽々と乗り越え、戻られる――戻られるその前に。


(セリア、君は独りじゃない。一緒に困難を乗り越えようじゃないか)


 無条件で安心できてしまう笑顔を向けてくださり、器用に地面を降りて去られたのでした。





 ――逆行から3日目。今日は、色々なことがありました――。

 アルフォンス・ファルラン様。
 貴方様の存在、お言葉は、大きな力になります。
 私を見つけてくださり、わざわざ動いてくださり、ありがとうございます。

 その後私はそんなことを思いながら、眠り――。
 なぜ、なのかな?
 出会った時は、なんにも感じなかったはずなのに。独りでに、別れの際の笑顔が――ファルラン様のお顔が出てきて、それは夢にも現れたのでした。






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