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第13話 予想外と予想外 カミラ視点(1)

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「なっ!? ……………………」
「な!? ……………………」

 突然、ウィリアム達が行方不明になってしまった。二人が乗っていた馬車も同乗していた護衛達も、見つからない。どんなに調べても、ライザニック子爵邸を発ったあとの足取りが掴めない。
 そう聞かされたわたくしとお父様は、言葉を失ってしまった。
 急に、それも馬車ごと消えてしまうだなんて……。どうなっているんですの……!?

「ライザニック卿によると、去り際に『寄るところがある』と言っていたそうなんです……。ただ兄達が寄りそうな場所を虱潰しに当たっても、訪れた気配はまったくなかったのですよ……」
「ど、どうなっているのだ……。お、襲われた……? 移動中に何かしらのトラブルに巻き込まれ――……。それはあり得んな……」

 ウィリアム達は有能な護衛を連れているし、最新鋭の武器である銃も積んでいる。何かしらがあっても撃退できる上に、そもそもそんなことが起きていたら周囲も気付きますわ。

「だとすると…………。あまり言いたくはありませぬが……。その……」
「ええ……。故に、事故を念頭に置いて調べさせております」

 そういった出来事は、優秀な護衛でも銃でも防げない……。ウィリアム達の場合は、その可能性が一番高いですわね……。

「卿が口にしていた『寄るところ』。そこへ向かう途中に何かしらがあり……。誰一人として連絡を取ることができない、そんな状況に陥っていると踏んでおります」
「「……………………」」
「現在は、親族も含め動ける者全員で調査をしております。ただ……行動の予想が一切できない故に、どのくらい時間がかかるものやら想像がつか――なんだ!? どうしたノーラン!?」

 髭を長く伸ばした中年の男性――この家の三男である男性が、血相を変えて飛び込んで来た。
 ノックなしで、扉を力任せに開け放つ……。この表情……。もしかして――

「……………………」
「ど、どうしたんだノーランっ。なにがあったのだ!?」
「……………………あ、兄上、分かった! 行方不明の原因が分かったんですよっ! 二人は……。ふたりはっ!」

 ――思った通り、でしたわ……。ノーラン様の口から出た言葉は、まさに今、頭をよぎったものだった…………。


「崖から転落している! たった今っ、落下の痕跡が見つかったと連絡が入ったんですっ!!」
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