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第10話 婚約発表パーティー~カミラside~ カミラ視点(3)
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「ま、まちがい……? な、なにを言っている――」
「お前はキャロラインに復讐をしようとしていて、同じようにキャロラインから最愛の人を奪おうとしていた。でもそいつは根本的に間違っていて、お前は無駄なことをしていた。それどころかキャロラインにプラスになることをしていた。そう言っているんだよ」
表情と口調がががらりと変わったデイヴィッドは、わけの分からないことを言い出した。
本性を一度も明かさずに動いていたのに、どうしてこの男が目的を知っているんですの……!? 何も間違っていないのに、間違っていてプラスになるってどういうことなんですの……!?
「気になって仕方がないだろうから教えてやるよ。まず前者。俺がお前の計画であり本質に気が付いたのは、およそ7か月前。俺はれ――とにかく俺はウィリアムの周辺を色々と調べていて、ヤツが婚約を解消したことが切っ掛けになってそいつに気付けたんだ」
「……………………」
「次に後者。お前は、キャロラインがウィリアムを慕い強く愛していると思っていただろ? お前が見て聞いたものは、すべてお芝居。キャロラインはウィリアムに微塵も好意を抱いてはいないんだよ」
「……………………」
そもそも婚約の切っ掛けは、借金による脅迫で……。慕っておかないとウィリアム様は怒りだして面倒くさいから、ずっと演技をしていた……。
「あの女は、好きじゃないどころか大嫌いだった……? う、嘘ですわっ。そんなの出任せですわ!」
「いいや、全て事実。これがその証拠だ」
「? 紙? なんの紙で――んなっ!?」
デイヴィッドが懐から取り出したのは、婚約リングに関する制作の依頼書。キャンセルとなっているけど、その日付は去年になっていて……。
キャロラインとデイヴィッドは……。ウィリアム様と関係を結ぶ直前まで、婚約リングを贈り合う準備をしていた……。
「表には出ていないがサンオーレア家にはフェルオ家に理不尽な借金があって、その影響で決まっていたものの俺達の婚約話を進められなかったんだ。ありがたいことに俺達は相思相愛で、キャロラインはウィリアムを愛してなんていないんだよ」
「………………………………」
嘘みたいな内容だけど、ここに書類があるし……。なにより――
『おめでとうございますっ! ウィリアム様、カミラ様、おめでとうございますっ!』
『デイヴィッドは優しくて、真のある人。一緒に居ると、無条件で笑顔が零れてしまうんです。そんな彼と指輪の交換ができるなんて、夢のようです』
わたくしのパーティーと自分のパーティーでの振る舞いの、説明がついてしまう。
だから……。事実で……。
キャロラインは、ウィリアム様を愛してはいなかった……!!
「お前はキャロラインに復讐をしようとしていて、同じようにキャロラインから最愛の人を奪おうとしていた。でもそいつは根本的に間違っていて、お前は無駄なことをしていた。それどころかキャロラインにプラスになることをしていた。そう言っているんだよ」
表情と口調がががらりと変わったデイヴィッドは、わけの分からないことを言い出した。
本性を一度も明かさずに動いていたのに、どうしてこの男が目的を知っているんですの……!? 何も間違っていないのに、間違っていてプラスになるってどういうことなんですの……!?
「気になって仕方がないだろうから教えてやるよ。まず前者。俺がお前の計画であり本質に気が付いたのは、およそ7か月前。俺はれ――とにかく俺はウィリアムの周辺を色々と調べていて、ヤツが婚約を解消したことが切っ掛けになってそいつに気付けたんだ」
「……………………」
「次に後者。お前は、キャロラインがウィリアムを慕い強く愛していると思っていただろ? お前が見て聞いたものは、すべてお芝居。キャロラインはウィリアムに微塵も好意を抱いてはいないんだよ」
「……………………」
そもそも婚約の切っ掛けは、借金による脅迫で……。慕っておかないとウィリアム様は怒りだして面倒くさいから、ずっと演技をしていた……。
「あの女は、好きじゃないどころか大嫌いだった……? う、嘘ですわっ。そんなの出任せですわ!」
「いいや、全て事実。これがその証拠だ」
「? 紙? なんの紙で――んなっ!?」
デイヴィッドが懐から取り出したのは、婚約リングに関する制作の依頼書。キャンセルとなっているけど、その日付は去年になっていて……。
キャロラインとデイヴィッドは……。ウィリアム様と関係を結ぶ直前まで、婚約リングを贈り合う準備をしていた……。
「表には出ていないがサンオーレア家にはフェルオ家に理不尽な借金があって、その影響で決まっていたものの俺達の婚約話を進められなかったんだ。ありがたいことに俺達は相思相愛で、キャロラインはウィリアムを愛してなんていないんだよ」
「………………………………」
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『デイヴィッドは優しくて、真のある人。一緒に居ると、無条件で笑顔が零れてしまうんです。そんな彼と指輪の交換ができるなんて、夢のようです』
わたくしのパーティーと自分のパーティーでの振る舞いの、説明がついてしまう。
だから……。事実で……。
キャロラインは、ウィリアム様を愛してはいなかった……!!
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