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第8話 今夜は最高の夜に―― カミラ視点(3)

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((…………え? あれは……。まぼ、ろし……?))

 引き続きニコニコして、明るく拍手を行う。そんなありえない姿を目の当たりにしたわたくしは、おもわず目を擦り始めた。

((だ、だってっ! 目の前で最愛の人が別の女を褒めてっ、その女が最愛の人からもらった愛をたっぷりと語ったのよっ。あんな風にへらへらしていられるはずがありませんわ!!))

 そう。絶対にそう。わたくしの希望的観測なんかじゃない。
 誰であろうとも、あのように振る舞えるはずがない。

((だ、だったら、やっぱりあの光景は幻ですわねっ。目を擦って開けてみたら、別の光景が広がってますわよねっ!))

 なので念のため7回しっかりと目を擦って、閉じた目を開けてみる。そうしたら、当初予想した光景が広がって――

「おめでとうございます! おめでとうございますっ!」

 ――広がって、いない……。
 いくら目を擦っても瞬きしても、ある光景はおんなじ。スピーチの開始前と何一つ変わらない、むしろ開始前より明るくなっているキャロラインが居る……。

((な、なんなんですの……!? どうなってますの……!?))

 分からない。分からないっ。分からない!
 あり得ないことが起きているから、何一つ分からなくって――

「ん? どうしたんだカミラ? 急に震えだしてどうし――なっ!?」
「ぇ? ウィリアム様、どうされまぶっ!?」

 ――頭が沸騰して視界がぐるっと回転し、前のめりに倒れて顔を打ち付けてしまった。

「「「「「っ!? きゃああああああああああああ!?」」」」」
「「「「「「カミラ様がっ!! カミラ様がっ!!」」」」」
「おっ、おい! 大丈夫か!! 大丈夫かっ!?」
「……………………だ、大丈夫、でございます。よ、喜び過ぎにより、眩暈がしただけですので……。打ち所が良かったようで痛みはなく、御心配には及びませんわ。ご、ご迷惑をおかけしました」

 本当は、顔中がズキズキしてとても痛い。けど今のわたくしに、痛がっている余裕なんてない。

((あんなにも攻撃したのに……。キャロラインはなぜあんなにヘラヘラしてますの……!?))

 それを早く知りたいから急いで立ち上がって問題なしをアピールし、パーティーを再開させて来賓の方々と言葉を交わしてゆく。そうして計3時間にも及ぶ婚約パーティーが終わるやキャロラインに声をかけ、追及するべく約束していた個室へと早歩きで向かったのだった。

 おかしい。おかしすぎますわ。
 いったいなんなんですの……!?

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