13 / 22
第4話 理由~転生と恋~ ジョルジュ視点(3)
しおりを挟む
((違う……。彼女は、本当に星空と会話を楽しんでいるんだ))
お互い1メートル~2メートルほど離れた場所で腰を下ろし、言葉を交わしながら空を眺めて30分ほどが経った頃だった。俺は星空を見上げるマリエス・フィンザートンを、おもわず目を見開いて見つめていた。
((前回は本心を隠し、他意なしを演じていると――俺を油断させようとしているのだと、思っていた。でも、それは間違いだった))
『私はあちらに見える「かんむり座」が好きなんです。他の星座に比べると少し地味なのですが、初めて教わった星座なので1番なのですよ』
『ハランテワ様。貴方様にとっての1番はなんなのでしょうか?』
『からす座がお好きなのですね……っ。分かります……っ! ギェナー、綺麗ですよねっ』
『いつかもっと近くで――望遠鏡越しではなくって、実際に近づいて見てみたいです。地上ではなく空から見たらどんな風に見えるのかな? よくそんなことを考えて、寝る前によく想像して絵を描いています』
『はいっ、私もございますっ。図鑑などを見れば絵がありますが、どうしても実際に見たものには敵いませんから。ついつい、いつでも全部の星座を見られたらなと思ってしまいますっ』
『えっ!? その逸話は知りませんでしたっ。よっ、よろしければお教えくださいっ!』
一緒に過ごしている際の彼女は活き活き、キラキラしていて、他意はないのだと簡単に理解できた。
彼女の中に、打算なんてない。目に見えているすべてが本心で、俺を『鑑賞仲間』と思ってくれているのだと――俺と過ごす時間を、純粋に楽しんでいるのだとよく分かった。
((……こんな女性が、いただなんてな。…………マリエス・フィンザートン、いいな))
だから、そうなるのは必然的だった。俺は彼女に惹かれるようになり、こういった時間を繰り返すたびにその感情は大きく強くなっていって。
ありがたいことにやがて彼女も、この時間を切っ掛けとして、俺を異性として見てくれるようになっていて。
「俺は、貴方に惹かれています。結婚を前提として交際をしてはいただけないでしょうか?」
「…………喜んで。ジョルジュ様。私もお慕いしております」
俺達は恋人になり、婚約者となって――。
俺は生まれて初めて、真実の愛を贈り合える相手と出逢えたのだった。
なので――
お互い1メートル~2メートルほど離れた場所で腰を下ろし、言葉を交わしながら空を眺めて30分ほどが経った頃だった。俺は星空を見上げるマリエス・フィンザートンを、おもわず目を見開いて見つめていた。
((前回は本心を隠し、他意なしを演じていると――俺を油断させようとしているのだと、思っていた。でも、それは間違いだった))
『私はあちらに見える「かんむり座」が好きなんです。他の星座に比べると少し地味なのですが、初めて教わった星座なので1番なのですよ』
『ハランテワ様。貴方様にとっての1番はなんなのでしょうか?』
『からす座がお好きなのですね……っ。分かります……っ! ギェナー、綺麗ですよねっ』
『いつかもっと近くで――望遠鏡越しではなくって、実際に近づいて見てみたいです。地上ではなく空から見たらどんな風に見えるのかな? よくそんなことを考えて、寝る前によく想像して絵を描いています』
『はいっ、私もございますっ。図鑑などを見れば絵がありますが、どうしても実際に見たものには敵いませんから。ついつい、いつでも全部の星座を見られたらなと思ってしまいますっ』
『えっ!? その逸話は知りませんでしたっ。よっ、よろしければお教えくださいっ!』
一緒に過ごしている際の彼女は活き活き、キラキラしていて、他意はないのだと簡単に理解できた。
彼女の中に、打算なんてない。目に見えているすべてが本心で、俺を『鑑賞仲間』と思ってくれているのだと――俺と過ごす時間を、純粋に楽しんでいるのだとよく分かった。
((……こんな女性が、いただなんてな。…………マリエス・フィンザートン、いいな))
だから、そうなるのは必然的だった。俺は彼女に惹かれるようになり、こういった時間を繰り返すたびにその感情は大きく強くなっていって。
ありがたいことにやがて彼女も、この時間を切っ掛けとして、俺を異性として見てくれるようになっていて。
「俺は、貴方に惹かれています。結婚を前提として交際をしてはいただけないでしょうか?」
「…………喜んで。ジョルジュ様。私もお慕いしております」
俺達は恋人になり、婚約者となって――。
俺は生まれて初めて、真実の愛を贈り合える相手と出逢えたのだった。
なので――
36
お気に入りに追加
705
あなたにおすすめの小説
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した
押し付けられた仕事、してもいいものでしょうか
章槻雅希
ファンタジー
以前書いた『押し付けられた仕事はいたしません』の別バージョンみたいな感じ。
仕事を押し付けようとする王太子に、婚約者の令嬢が周りの力を借りて抵抗する話。
会話は殆どない、地の文ばかり。
『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。
婚約破棄していただきます
章槻雅希
ファンタジー
貴族たちの通う王立学院の模擬夜会(授業の一環)で第二王子ザームエルは婚約破棄を宣言する。それを婚約者であるトルデリーゼは嬉々として受け入れた。10年に及ぶ一族の計画が実を結んだのだ。
『小説家になろう』・『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載。
愛想の無い姉と婚約破棄して可憐な妹と婚約したいとのことですがあなたみたいなアンポンタン姉妹揃ってお断りです
ハツカ
ファンタジー
姉との婚約を破棄して、妹と婚約したいですって?
私達は姉妹揃って、あなたのこと嫌いなんだけど?
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?
まりぃべる
ファンタジー
私の両親は典型的貴族。見栄っ張り。
うちは伯爵領を賜っているけれど、借金がたまりにたまって…。その日暮らしていけるのが不思議な位。
私、マーガレットは、今年16歳。
この度、結婚の申し込みが舞い込みました。
私の結婚支度金でたまった借金を返すってウキウキしながら言うけれど…。
支度、はしなくてよろしいのでしょうか。
☆世界観は、小説の中での世界観となっています。現実とは違う所もありますので、よろしくお願いします。
国外追放なんて簡単にはできません
章槻雅希
ファンタジー
とある王国での、卒業パーティでの婚約破棄騒動後、国外追放になった令嬢を国境まで送り届ける兵士たちの話。
ほぼ1場面の小話です。
婚約破棄の場面は出てきません。
『小説家になろう』に重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる