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第4話 理由~転生と恋~ ジョルジュ視点(2)
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「ハランテワ様。こちらで空を眺めても、構いませんでしょうか?」
それはココ、王立リザインドワール学院に入学してから1か月ほどが経った頃。院内にある中庭の端っこ――昨日見つけたばかりのスポットで絶景を楽しんでいると、不意に声をかけられたのだった。
「貴方は…………同じクラスの、フィンザートン様。もちろんですよ。こちらは僕の指定席ではありませんので」
本音を言うとひとりがよかったが、この場を占領する資格なんてない。そこで頷きを返し、そうしたら彼女は丁寧に会釈をし、持参していたシートを芝に敷いて腰を下ろした。
「私、星が大好きなんです。ハランテワ様も、お好きなのですか?」
「ええ。むかしから――小さな頃から、星が大好きなのですよ」
いつの時代も他意のある人間に囲まれていて、とにかくひとりで落ち着きたかった。最初はそんな理由で始めて、いつしか煌めく星々に魅了され、最大の趣味となっていたのだ。
「そうなのですね、実は私も同じなんです。お屋敷にいた頃は妹や侍女といつも眺めていて、星座に関するお喋りをしながら見上げることが大好きなんです」
「へぇ、そうなのですか。素敵な趣味ですね」
とか言って、俺に近づく口実を作ろうとしているんだろ?――。あの頃の俺は異性が信用できなかったから、こんな風に感じていた。
そして、
「本日はありがとうございました。おかげで素敵な時間となりまして……。よろしければ、またご一緒させてはいただけませんか?」
ほらな――。思った通り足がかりにしようとしてきた――。彼女がこう提案してきたことによって、確信をした。
「ええ。僕も楽しかったので、機会があればまたご一緒しましょう」((あと一回付き合って、その際に『やっぱりひとりの方が良い』とやんわり告げて追い返すか))
ハランテワ家に生まれている以上、評判を落としたり敵を増やしたりして『家』に迷惑をかけるわけにはいかない。そこで仕方なく穏便に遠ざけられるやり方でいくと決め、その翌々日に、再び話しをしながら星座を眺めるようになったのだけれど――。
その夜俺は、彼女に対する印象が180度変わることになるのだった。
それはココ、王立リザインドワール学院に入学してから1か月ほどが経った頃。院内にある中庭の端っこ――昨日見つけたばかりのスポットで絶景を楽しんでいると、不意に声をかけられたのだった。
「貴方は…………同じクラスの、フィンザートン様。もちろんですよ。こちらは僕の指定席ではありませんので」
本音を言うとひとりがよかったが、この場を占領する資格なんてない。そこで頷きを返し、そうしたら彼女は丁寧に会釈をし、持参していたシートを芝に敷いて腰を下ろした。
「私、星が大好きなんです。ハランテワ様も、お好きなのですか?」
「ええ。むかしから――小さな頃から、星が大好きなのですよ」
いつの時代も他意のある人間に囲まれていて、とにかくひとりで落ち着きたかった。最初はそんな理由で始めて、いつしか煌めく星々に魅了され、最大の趣味となっていたのだ。
「そうなのですね、実は私も同じなんです。お屋敷にいた頃は妹や侍女といつも眺めていて、星座に関するお喋りをしながら見上げることが大好きなんです」
「へぇ、そうなのですか。素敵な趣味ですね」
とか言って、俺に近づく口実を作ろうとしているんだろ?――。あの頃の俺は異性が信用できなかったから、こんな風に感じていた。
そして、
「本日はありがとうございました。おかげで素敵な時間となりまして……。よろしければ、またご一緒させてはいただけませんか?」
ほらな――。思った通り足がかりにしようとしてきた――。彼女がこう提案してきたことによって、確信をした。
「ええ。僕も楽しかったので、機会があればまたご一緒しましょう」((あと一回付き合って、その際に『やっぱりひとりの方が良い』とやんわり告げて追い返すか))
ハランテワ家に生まれている以上、評判を落としたり敵を増やしたりして『家』に迷惑をかけるわけにはいかない。そこで仕方なく穏便に遠ざけられるやり方でいくと決め、その翌々日に、再び話しをしながら星座を眺めるようになったのだけれど――。
その夜俺は、彼女に対する印象が180度変わることになるのだった。
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