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第4話 2つ目 ステラ視点(4)

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「お前たち心にもないことを言うな!! 顔を見れば分かるぞ!!」「思ってもないことを言うんじゃない!! わたしの目は誤魔化せんぞ!!」「適当なことを言わないで頂戴!! わたくしには分かるわ!!」「殿下も陛下も妃殿下もいい加減にしてください!! どうして嘘を吐くのですか!?」

 四人が次にすることは、他者の批判。蹴落とし。
 どうしても言い訳が似てきてしまい主張だけでは差がつきにくくなるため、競争相手を蹴落とすことで自分を優位にしようとし始めた。


「お前達は単に助かりたいと思って言っているだけじゃないか!! よくもまあそんなことができるな!!」
「それはこっちの台詞だ!! 国王の目は誤魔化せんぞ!! お前達は自分が生き残りたいから言っているだけだ!!」
「勝手に決めつけないで頂戴!! それはわたくし以外が思っているものでしょう!!」
「違う!! 本当に反省しているのはわたしだけ!! だってあんなにも嬉々として捏造した人達がすぐ反省するはずがないものっ!!」

「ふざけるな!! そういうお前は婚約者が居ながら俺に近づいて来た非常識極まりない人間だろうが!! お前みたいなヤツが反省するはずがない!! 父上と母上だって地位に胡坐を掻く下衆でっ、反省するはずがない!!」
「元凶が分かったような口を利くな!! いいかエドゥアル!? この大問題はお前の裏切りから始まったんだぞ!! 元凶が一番反省しているはずがあるか!! 加えてお前達二人はわたしよりも捏造工作に乗り気だった!! お前達もエドゥアルと同じだ!!」
「何を言っているのよ一番賛成していたのは貴方でしょう!? その次がスザンヌでっ、わたくしは最後まで葛藤してたわ!! エドゥアルは論外でっ、わたくしが唯一善と悪のはざまで揺れ動いていた人間よ!!」
「嘘つき!! 全員うそつきっ!! 三人ともわたしが戸惑うくらい罪悪感なしでやっていたじゃないの!! そんな人達が反省するはずないもの!! そんな嘘を吐いて恥ずかしくないの!?」


 こんな風に全員仲良く、自分以外を非難。一様に目を剥いてライバルを蹴落とそうとするものの、決め手に欠けていつまで経っても『差』がつかない。
 でもお姉様の拘束には制限時間があるから、速やかに自分以外を蹴落とさないといけない。

((そんな切羽詰まった焦りと大きな苛立ちが、あり続けたのなら――。この人達はもうすぐ))
「っっ!」「っっ!」「っっ!」「っっ!」

 我慢の限界を、迎えてしまう。
 これまで口を必死に動かしていた四人は、揃って一番近くにいる相手へと詰め寄って――

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