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第8話 エルザ編 5日目 一緒と吉報と依頼 エルザ視点(1)
しおりを挟む「エルザ、ここで並ぶのも久しぶりだね。今日は、よろしくお願いします」
「お別れになった前日が最後でしたから、9か月ぶりですね。ユーゴさん、こちらこそよろしくお願いします……!」
2回目にお会いした日から2日後の、夕方。ユーゴさんと私は、我が家のキッチンで頭を下げ合っていました。
私の趣味の一つがお料理で、ユーゴさんは『エルザと共通の趣味を持ちたいな』と言ってくださり、私達は頻繁にここでお料理を作ってました。そこで前回の別れ際にユーゴさんが提案をしてくださり、今日は『よくやっていたもの』であり『同じ趣味となっていたもの』を使い、楽しみつつ回復させてゆく事になっているんです。
「今回のメニューは、エルザにお任せしていたよね。今夜は何を作るのかな?」
「オムライス、オニオンスープ、レタスとスプラウトのサラダ。私達が、初めて一緒に挑戦したメニューです」
あの頃のユーゴさんは、お料理初心者。包丁なども、ほぼ扱った経験がありませんでした。そこで比較的簡単でありながら、しっかりとした夜のご飯になる献立をセレクトしていたのです。
「そっか。それならますます、良い方向に進みそうだね。じゃあ、まずは手を洗って……」
「ユーゴさんにはまず、玉ねぎを切っていただきます。こういう風に、薄切りでお願いしますね」
あの日のように目の前でトントンと切って、一度実演。その様子を見てもらったあと、ユーゴさんに挑戦していただきます。
「実際にやってもらっているから、勝手がよくわかる。助かるよ」
今もユーゴさんにそういった記憶はありませんので、お料理に関する実力も当時のソレとなっています。ですが生来の呑み込みの早さは存在しているため、トントントントントン。耳障りの良い音が響き、あっという間に玉ねぎの下準備は終わりました。
「ユーゴさん、ありがとうございます。お次は、こちら。フライパンで、それらが飴色になるまで炒めます」
「了解しました。任せて」
ヘラを使って玉ねぎ達を炒め、程よいタイミングで私がコンソメや塩、黒コショウを投入。2人で味見をして味を調え、これでスープは完成です。
今回のサラダは冷水で洗って盛り付け、スパイスとオリーブオイルをかけるだけのシンプルなもの。ですので2品目はすぐに完成となり、次は最後のお料理。今夜のメインとなる、オムライスに取り掛かります……!
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