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第7話 その頃タチアナは 俯瞰視点(2)
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((204号室、わたくしが居る部屋……!? 捕まえるって、どういうこと……!?))
角を曲がろうとしていたタチアナは急いで身を隠し、息を潜めて声が聞こえて来た方向へと――20代前半の女性2人へと意識を集中させました。
「捕まえるって……。あの部屋にいる人、犯罪者なの……?」
「さっきアンナの友人の息子が、オーナーに話してるのを偶然聞いちゃったのよ。事情はよく分からないんだけどね、もうすぐ貴族様たちが捕まえに来るんですって」
「治安局の人じゃなくて、貴族様が……? そ、それで。なんであたし達で捕まえることになるの?」
「この件を上手く利用すれば、貴族様に大きな貸しをつくれるの。かなりの謝礼を手に入れられるのよ」
偶然ニックの話を聞いて密かに監視していたら、怪しい動きをしたため咄嗟に捕まえた――。自分達が動かなかったら恐らく逃げられていた――。
そう伝えて恩を売り、大金を得る。そのようなことを考えていたのです。
「じっとしてたら何も得られなくって、ちょっと動いただけでお金がどっさり。こんなにも差があるのよ」
「………………」
「1人なら失敗するかもしれないけど、2人なら絶対に捕まえられる。だったら、やるしかないんじゃない?」
「…………そう、ね。そうだわ」
欲しいと思っていたものを買える。それによって片方も協力を決め、抵抗された時用に武器を取りに事務所スペースに入り――
((逃げないと!!))
――2人の姿が見えなくなった瞬間、角から飛び出し全力で出口目指して走り始めました。
((いつ気付かれた!? 誰に気付かれた!? 何があったの!?))
思い当たる節がなくパニック寸前になりながらも、生きるべく足は決して止めない。タチアナは勢いよく『ラックローズ』を飛び出し、死に物狂いでとにかく遠くへと移動を始め――
角を曲がろうとしていたタチアナは急いで身を隠し、息を潜めて声が聞こえて来た方向へと――20代前半の女性2人へと意識を集中させました。
「捕まえるって……。あの部屋にいる人、犯罪者なの……?」
「さっきアンナの友人の息子が、オーナーに話してるのを偶然聞いちゃったのよ。事情はよく分からないんだけどね、もうすぐ貴族様たちが捕まえに来るんですって」
「治安局の人じゃなくて、貴族様が……? そ、それで。なんであたし達で捕まえることになるの?」
「この件を上手く利用すれば、貴族様に大きな貸しをつくれるの。かなりの謝礼を手に入れられるのよ」
偶然ニックの話を聞いて密かに監視していたら、怪しい動きをしたため咄嗟に捕まえた――。自分達が動かなかったら恐らく逃げられていた――。
そう伝えて恩を売り、大金を得る。そのようなことを考えていたのです。
「じっとしてたら何も得られなくって、ちょっと動いただけでお金がどっさり。こんなにも差があるのよ」
「………………」
「1人なら失敗するかもしれないけど、2人なら絶対に捕まえられる。だったら、やるしかないんじゃない?」
「…………そう、ね。そうだわ」
欲しいと思っていたものを買える。それによって片方も協力を決め、抵抗された時用に武器を取りに事務所スペースに入り――
((逃げないと!!))
――2人の姿が見えなくなった瞬間、角から飛び出し全力で出口目指して走り始めました。
((いつ気付かれた!? 誰に気付かれた!? 何があったの!?))
思い当たる節がなくパニック寸前になりながらも、生きるべく足は決して止めない。タチアナは勢いよく『ラックローズ』を飛び出し、死に物狂いでとにかく遠くへと移動を始め――
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