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第1話 タチアナ? ロズリーヌ視点(2)
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「『猫のニムール』。ソレはタチアナが、かつて俺だけに――嬉々として勝手に明かしてきた、子どもの頃に読んでトラウマになった怖い本に出てくる幽霊の名前でして。目の前にいるのがタチアナなら、そのようなリアクションにはならないのですよ」
タチアナさんという方は、その名前を聞いただけで鳥肌が立つそう。わたしの肌だけではなく態度にも一切変化がなく、言い分を信じていただけたみたいです。
「まさか、こんなことがあるだなんて……。失礼ですが、改めて伺います。貴方様の情報をお教えください」
「承知いたしました。わたしは――」
フルネーム。年齢。家族の情報。経緯。などなど。明かすことのできる情報は包み隠さず全てお伝えしました。
「気が付いたらこちらにいて、こんな姿になっていたのです。ここは一体どこで、タチアナという方は何をしたのですか?」
「ここは王都にある、貴族用――それも死刑が確定した囚人が収容される牢です。タチアナは――ルレーラ侯爵令嬢タチアナは『駒を使って自身が忌み嫌っている令嬢に毒を盛った罪』と『その実行犯2人を口封じした罪』によって、2か月前に死刑が宣告されたのですよ」
同じく侯爵家の令嬢であるゼナイド様という方に長年嫉妬していて、その方が公爵家の嫡男様と婚約することになった――自分より格上になると知って、怒りが理不尽に爆発。人前に出れないようにしようと、ことに及んでしまったそうです……。
「申し遅れましたがわたくしはこの国『ローランズ』に属するゼスルッズ侯爵家の嫡男、オディロンと申します。わたくしはタチアナと1年前に政略的な婚約をしておりまして、この国の貴族法に則り処刑場への連行役を務めております」
囚人と化した婚約者をギロチンの前まで連れて行くことによって、関係性を完全に絶つ。この国にはそういった貴族向けの『新たな婚約を結びやすくする』ための儀式が存在していて、その目的でこの方は目の前にいらっしゃるそうです。
「タチアナの刑の執行は今日、これから行われることになっておりまして。……そうであるが故に、非常に厄介な状況となっております」
「厄介……。やはり……」
「はい……。タチアナの姿をした別人なのだとハッキリ証明しないと、執行を止められないのですが……。その方法が、今のところ見当たらないのです」
なぜかタチアナさんの中に別人が入っていて、当の本人はいない。
それを証明しなければならないのに、あまりに非現実的なことが起きてしまっているため、そちらを『明確』に証明することは難しい……。とのことでした……。
タチアナさんという方は、その名前を聞いただけで鳥肌が立つそう。わたしの肌だけではなく態度にも一切変化がなく、言い分を信じていただけたみたいです。
「まさか、こんなことがあるだなんて……。失礼ですが、改めて伺います。貴方様の情報をお教えください」
「承知いたしました。わたしは――」
フルネーム。年齢。家族の情報。経緯。などなど。明かすことのできる情報は包み隠さず全てお伝えしました。
「気が付いたらこちらにいて、こんな姿になっていたのです。ここは一体どこで、タチアナという方は何をしたのですか?」
「ここは王都にある、貴族用――それも死刑が確定した囚人が収容される牢です。タチアナは――ルレーラ侯爵令嬢タチアナは『駒を使って自身が忌み嫌っている令嬢に毒を盛った罪』と『その実行犯2人を口封じした罪』によって、2か月前に死刑が宣告されたのですよ」
同じく侯爵家の令嬢であるゼナイド様という方に長年嫉妬していて、その方が公爵家の嫡男様と婚約することになった――自分より格上になると知って、怒りが理不尽に爆発。人前に出れないようにしようと、ことに及んでしまったそうです……。
「申し遅れましたがわたくしはこの国『ローランズ』に属するゼスルッズ侯爵家の嫡男、オディロンと申します。わたくしはタチアナと1年前に政略的な婚約をしておりまして、この国の貴族法に則り処刑場への連行役を務めております」
囚人と化した婚約者をギロチンの前まで連れて行くことによって、関係性を完全に絶つ。この国にはそういった貴族向けの『新たな婚約を結びやすくする』ための儀式が存在していて、その目的でこの方は目の前にいらっしゃるそうです。
「タチアナの刑の執行は今日、これから行われることになっておりまして。……そうであるが故に、非常に厄介な状況となっております」
「厄介……。やはり……」
「はい……。タチアナの姿をした別人なのだとハッキリ証明しないと、執行を止められないのですが……。その方法が、今のところ見当たらないのです」
なぜかタチアナさんの中に別人が入っていて、当の本人はいない。
それを証明しなければならないのに、あまりに非現実的なことが起きてしまっているため、そちらを『明確』に証明することは難しい……。とのことでした……。
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