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第20話 助けて アマンディーヌ視点(2)

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「「「「そんな……。どうして……」」」」
「理由はとてもシンプルです。貴方がたに支援をしたくないからです」

 物心ついた時から今日まで、一度も家族として接してもらえませんでした。しかも人としても扱われず、いつもゴミや汚物同然の扱いを受けていました。
 なのに困った途端に『家族』と言い出し、援助を求む理由として心にもないお詫びをあげました。
 そんなことをする人達に、差し伸べる手などありません。

「いくらお願いをされても、この気持ちは変わりません。お引き取りください」
「そ、そう言わずに! 頼むアマンディーヌ!」
「そんなこと言わないで! 嘘なんて思わないで! 本当に反省しているのよ!」
「信じて頂戴! この目を見てっ!」
「心から、お詫びをしたいと思っているんですっ。お詫びをするっ、チャンスをくださいっ!」
「……これまでのことは水に流しますよ。ですのでお詫びは結構です。お引き取りください」

 改めてはっきりと告げ、踵を返します。そうしてわたしは――

「っ! この恩知らずが!! 育ててやった恩を忘れやがって!!」
「18年間生きてこられたのは誰のおかげか分かってるの!? わたくし達が面倒を見てあげなければとっくに死んでたのよ!?」
「貴女がそんな髪の毛に生まれなかったらそんな態度を取らなかったわ!! なにもかもアマンディーヌのせいじゃないの!!」
「自分の責任のくせに逆ギレだなんて!! どうしようもないクズ!! やっぱりアンタは疫病神よ!!」

 案の定でした。180度態度が変わった人達からの罵声を背中に受けながら、馬車を目指して歩を進めていきます。

「死んでしまえ!! 我々の人生を滅茶苦茶にした罰を受けてっ、死んでしまえ!!」
「死ぬくらいじゃ足りないわ!! 地獄に落ちて永遠に苦しみなさい!!」
「この女が生まれてきたことを後悔するくらい苦しみますように……!! 苦しんで苦しんで……!! 世界の誰よりも絶望しますように……!!」
「出来る限り惨たらしく死にますように……!! 悲惨な人生を歩みますように……!! あの恩知らずに、最悪の死が訪れますように……!!」

 わたしは18歳の誕生日を迎えて追い出されるまで、毎日これ以上の暴言と暴力をこの身と心に受けてきました。
 ですので今更、なにも感じません。
 ただただ淡々と、両足を交互に前へと動かし続けて――

「ごめんね、アマンディーヌ。ひとつだけ、彼らにお礼をさせてもらうね」

 ――不意に、待機されていたはずのジェレミーさんがいらっしゃりました。
 えっ? お礼……?


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