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第19話 元家族の、空白の1年間 俯瞰視点
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「はーっはっはっは!! 疫病神がいなくなればこの程度朝飯前だ!!」
「ええ! このくらい当然だわ!」
「わたくし達は本来、とても大きな運を持っていたんですもの」
「当たり前の結果ですね、お父様お母様お姉様」
アマンディーヌがお屋敷を去った、その僅か一週間後。イレトーン子爵邸では、家族4人が満面の笑みを浮かべていました。
その理由は、父ピエールが握り締めている宝くじ。不幸をもたらす黒髪がいなくなった記念に買ったものが、なんと二等に当籤していた――1000万ギールズが当選したのです。
「いずれ本来の調子になるとは思っていたが、ここまで早いとはな。モニック、ルイ、エマ! これから日常は一変するぞ!」
「お金はドンドン入って来るし、良いこともドンドン起きるわね!」
「ようやく、楽しい生活が始まりますわね!」
「今まであの人のせいで、全然楽しめなかった。その分もた~っぷり楽しみましょうねっっ!」
悪いことが起きるのは、アマンディーヌのせい。良いことが起きても、アマンディーヌがいなければもっと良いことが起きていた。
4人はそのように考えていて、アマンディーヌが居なければ薔薇色の人生が始まると――何をやっても上手く行くのだと信じ込んでおり、今回の当選によって確信してしまいました。
ですので――
「今の我々なら宝くじもポンポン当たるし、投資だってうまく行くだろう。どんどん増やしていこう!」
――より楽しい人生を楽しむために必要な『お金』を大量に得るため、嬉々としてお金を消費していきます。
「一等も夢ではない。当たれば99000000ギールズ得をするのだ。100万ギールス分買おう」
「ハイリスクハイリターン? 今の我々なら恐るるに足らずだ! 100万――いや、その額ではリターンが少ない。300万投資しよう!」
信じられない額を迷わず使い、
「貴方、どれも外れだったわ。投資も上手くいかなかったみたいよ」
「まあ、そんなこともある。いわば大きな跳躍のために力を溜めているだけ。次で爆発するだろうさ」
「そうね、わたくしもそう思っていたの。もう1回挑戦しましょう」
失敗しても自信満々に、また100万と300万を使います。
「……む、また外れた。投資も、また損失が出たか……」
「1000万あった当選金は、もう200万しかないわね。どうしましょうか、貴方」
「たった200万では、ロクな勝負が出来ん。どうせあとで何倍にもなって返ってくるんだ。ちょっとくらい使っても問題はない」
先祖たちが蓄えた財産に手を出し、みたび400万消費。
そんな挑戦も当たり前のように失敗して、またまた400万消費します。
「おかしいですわね。どうなってるんですの……!?」
「なに、そのうち当たるさ。きっと次はドカンとくるだろう!!」
「そうですわね! そうに決まってますわ!」
アマンディーヌが居なくなれば何をやっても上手くいく――。そんな確信があるため、4人は懲りずにドンドンお金を使っていきます。
ですがもちろん、それは勘違い。
アマンディーヌが不幸をもたらしていたという事実はなく、アマンディーヌがいなくなっても沢山の幸福が降り注ぐことはありません。
ですので、何度繰り返しても『ドカンとくる』ことはなく――
「……困った……。大変なことになった……」
「もう、どうしようもない……。こんなことに……なってしまうだなんて……」
「……どうしましょう……」
「どうしたら、いいんの……!?」
――4人は財を食い潰した上に多額の借金まで作ってしまい、大変なことになってしまっていたのでした。
「ええ! このくらい当然だわ!」
「わたくし達は本来、とても大きな運を持っていたんですもの」
「当たり前の結果ですね、お父様お母様お姉様」
アマンディーヌがお屋敷を去った、その僅か一週間後。イレトーン子爵邸では、家族4人が満面の笑みを浮かべていました。
その理由は、父ピエールが握り締めている宝くじ。不幸をもたらす黒髪がいなくなった記念に買ったものが、なんと二等に当籤していた――1000万ギールズが当選したのです。
「いずれ本来の調子になるとは思っていたが、ここまで早いとはな。モニック、ルイ、エマ! これから日常は一変するぞ!」
「お金はドンドン入って来るし、良いこともドンドン起きるわね!」
「ようやく、楽しい生活が始まりますわね!」
「今まであの人のせいで、全然楽しめなかった。その分もた~っぷり楽しみましょうねっっ!」
悪いことが起きるのは、アマンディーヌのせい。良いことが起きても、アマンディーヌがいなければもっと良いことが起きていた。
4人はそのように考えていて、アマンディーヌが居なければ薔薇色の人生が始まると――何をやっても上手く行くのだと信じ込んでおり、今回の当選によって確信してしまいました。
ですので――
「今の我々なら宝くじもポンポン当たるし、投資だってうまく行くだろう。どんどん増やしていこう!」
――より楽しい人生を楽しむために必要な『お金』を大量に得るため、嬉々としてお金を消費していきます。
「一等も夢ではない。当たれば99000000ギールズ得をするのだ。100万ギールス分買おう」
「ハイリスクハイリターン? 今の我々なら恐るるに足らずだ! 100万――いや、その額ではリターンが少ない。300万投資しよう!」
信じられない額を迷わず使い、
「貴方、どれも外れだったわ。投資も上手くいかなかったみたいよ」
「まあ、そんなこともある。いわば大きな跳躍のために力を溜めているだけ。次で爆発するだろうさ」
「そうね、わたくしもそう思っていたの。もう1回挑戦しましょう」
失敗しても自信満々に、また100万と300万を使います。
「……む、また外れた。投資も、また損失が出たか……」
「1000万あった当選金は、もう200万しかないわね。どうしましょうか、貴方」
「たった200万では、ロクな勝負が出来ん。どうせあとで何倍にもなって返ってくるんだ。ちょっとくらい使っても問題はない」
先祖たちが蓄えた財産に手を出し、みたび400万消費。
そんな挑戦も当たり前のように失敗して、またまた400万消費します。
「おかしいですわね。どうなってるんですの……!?」
「なに、そのうち当たるさ。きっと次はドカンとくるだろう!!」
「そうですわね! そうに決まってますわ!」
アマンディーヌが居なくなれば何をやっても上手くいく――。そんな確信があるため、4人は懲りずにドンドンお金を使っていきます。
ですがもちろん、それは勘違い。
アマンディーヌが不幸をもたらしていたという事実はなく、アマンディーヌがいなくなっても沢山の幸福が降り注ぐことはありません。
ですので、何度繰り返しても『ドカンとくる』ことはなく――
「……困った……。大変なことになった……」
「もう、どうしようもない……。こんなことに……なってしまうだなんて……」
「……どうしましょう……」
「どうしたら、いいんの……!?」
――4人は財を食い潰した上に多額の借金まで作ってしまい、大変なことになってしまっていたのでした。
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