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第16話 感謝 アマンディーヌ視点
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「どういたしましてと、改めてごめんなさいと、おめでとう。3つ返さないといけないね」
ありがとうございます――。
オディール様達の件に関すること。先ほどの、噂の否定に関すること。
それらについての感謝の言葉を伝えさせていただくと、ジェレミー様は微苦笑を浮かべられました。
「僕の周りにオディールやジャンみたいな人間がいなければ、余計な問題は発生しなかった。あの頃から何度も迷惑と不安を与えてしまったね」
「そんなっ、ジェレミー様は関係ありませんよっ。周囲に誰がいるのかなんて、ご自身で決められることではありませんから」
わたしの髪の毛と、おんなじ。運によるもので、責任があるはずがありません。
「そんな人達から、護っていただけた。嬉しく、また、幸せに感じています」
「いつも、ありがとう。状況的にすぐは動けなかったけど、やっと完全に片を付けることができた。ホッとしているよ」
今わたし達が立っている場所から見えて、11時の方向にあるもの。停まったままになっているザイロルエ家の馬車を一瞥し、肩を竦められました。
「片をつけられると言ったら、髪の毛に関する点もそうだね。上手く言って良かったよ」
「すべて仰られていた通りに進んで、あっという間に会場内の雰囲気が――わたしを見る目が変わりました。改めて感嘆を覚えていました」
「ローレック卿やサドゥヴァン卿は、使えると思った人間には優しいんだ。性格はかなり難がある方々だけど影響力は本物だからああなるし、ココ以外でも色々とやってくれる。時間に比例して外でも過ごしやすくなるよ」
気に入っている人間には優しく、気に入らない人間には厳しい。お二方は特に、非常に気難しい方と伺っていました。
ですがそれさえも、巧みにコントロールしてしまえる。
この歳でここまでの処世術をお持ちな方は、稀有ですよね。
「帽子なしで堂々と色んな場所を歩ける、そんな当たり前のことがやっとできるようになる。一緒に色んな場所に行こうね」
「はいっ! 行きましょうっ、一緒にっ」
澄み切った水と水鳥が有名な『ローランデルス湖』や、夜の絶景を眺められる『エチューターの丘』などなど。この国で人気のあるスポットや穴場なスポットを教わっていて、お互いに二人で訪れてみたい場所がたくさんありました。
そんな場所に大好きな人と、しかもすっきりとした視野で楽しめるだなんて。わたしにとっては、夢のようなことです。
「じゃあ早くその日を実現するために、ささっと後始末をしておかないといけないね。少ししたら出るよ」
「いってらっしゃいませ。よろしくお願い致します」
そちらは、オディール様達への処遇についてです。
あの場でお二人に宣告したものを実行するため、ジェレミー様はおじ様と共に馬車に乗り込んで――
ありがとうございます――。
オディール様達の件に関すること。先ほどの、噂の否定に関すること。
それらについての感謝の言葉を伝えさせていただくと、ジェレミー様は微苦笑を浮かべられました。
「僕の周りにオディールやジャンみたいな人間がいなければ、余計な問題は発生しなかった。あの頃から何度も迷惑と不安を与えてしまったね」
「そんなっ、ジェレミー様は関係ありませんよっ。周囲に誰がいるのかなんて、ご自身で決められることではありませんから」
わたしの髪の毛と、おんなじ。運によるもので、責任があるはずがありません。
「そんな人達から、護っていただけた。嬉しく、また、幸せに感じています」
「いつも、ありがとう。状況的にすぐは動けなかったけど、やっと完全に片を付けることができた。ホッとしているよ」
今わたし達が立っている場所から見えて、11時の方向にあるもの。停まったままになっているザイロルエ家の馬車を一瞥し、肩を竦められました。
「片をつけられると言ったら、髪の毛に関する点もそうだね。上手く言って良かったよ」
「すべて仰られていた通りに進んで、あっという間に会場内の雰囲気が――わたしを見る目が変わりました。改めて感嘆を覚えていました」
「ローレック卿やサドゥヴァン卿は、使えると思った人間には優しいんだ。性格はかなり難がある方々だけど影響力は本物だからああなるし、ココ以外でも色々とやってくれる。時間に比例して外でも過ごしやすくなるよ」
気に入っている人間には優しく、気に入らない人間には厳しい。お二方は特に、非常に気難しい方と伺っていました。
ですがそれさえも、巧みにコントロールしてしまえる。
この歳でここまでの処世術をお持ちな方は、稀有ですよね。
「帽子なしで堂々と色んな場所を歩ける、そんな当たり前のことがやっとできるようになる。一緒に色んな場所に行こうね」
「はいっ! 行きましょうっ、一緒にっ」
澄み切った水と水鳥が有名な『ローランデルス湖』や、夜の絶景を眺められる『エチューターの丘』などなど。この国で人気のあるスポットや穴場なスポットを教わっていて、お互いに二人で訪れてみたい場所がたくさんありました。
そんな場所に大好きな人と、しかもすっきりとした視野で楽しめるだなんて。わたしにとっては、夢のようなことです。
「じゃあ早くその日を実現するために、ささっと後始末をしておかないといけないね。少ししたら出るよ」
「いってらっしゃいませ。よろしくお願い致します」
そちらは、オディール様達への処遇についてです。
あの場でお二人に宣告したものを実行するため、ジェレミー様はおじ様と共に馬車に乗り込んで――
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