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第15話 二つ目の正体 アマンディーヌ視点(1)
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「お口汚し、失礼いたしました。皆様にはもう一点、お付き合いをいただきたく思います」
ステージ上で会場を見渡し、丁寧に一礼をされたあと。ジェレミー様は、肩越しに手招きをされました。
「「「「「???」」」」」
「皆様に紹介をさせていただきたい人いるのですよ。その人は――パーティーが始まった時からずっと、ステージの脇にいた彼女。アマンディーヌです」
促され登壇したわたしは、眼鏡とウィッグを取る。そうすると皆様の前に黒色の髪の毛が現れ、それを合図にして二種類の驚きが生まれました。
ひとつめは、実際に初めて黒い髪の毛を見た驚き。もうひとつは――
「「「「「なぜここに……!?」」」」」
縁を切って追い出された者が、どうして居る? の、驚き。
皆様にとってわたしの存在は大きな衝撃だったようでして、瞬く間に会場は騒がしくなりました。
「先ほど申し上げましたが、正義感溢れる人のおかげで悪巧みを把握できていた――不調などは真っ赤な嘘なのだと把握できていました。ですのでこちらも嘘を吐かせてもらい、縁を切ってもいないしお屋敷から追い出してなどいなかったのですよ」
「「「「「……なるほど」」」」」
「ですので彼女はずっと、常に傍におりまして――。それにより、二つの噂は迷信だと証明されることとなりました」
ジェレミー様はわたしに視線を送ったあと、右の人差し指と中指を立てました。
「『黒髪を持つ人間は、周囲の人間に体調不良などの不幸をもたらしてしまう』。切っ掛けとなったオディール達の不調はお芝居ですので言わずもがななのですが、その後に発生したキャロライン叔母さんたちの不調。あちらの異変は追放の宣言とともに治ってゆきましたし、今日まであちこちで元気な姿が目撃されていますよね?」
「「「「「そうです、わね」」」」」
「原因とされているアマンディーヌと縁を切っていないしお屋敷に居続けているのに、回復してすっかり元気になった。あれは『自分も不調になるはず』といった心理が引き起こしていただけ、アマンディーヌの髪にそういった力はないという証左となるのですよ」
「「「「「たし、かに……」」」」」
「納得して、いただけたようですね。ではここからは、もう一つの噂について言及をさせていただきたいと思います。……ローレック卿、サドゥヴァン卿」
ステージの最前列にいらっしゃる、ふくよかな男性とたくさんの髭を蓄えられた男性。そんなお二方へと、視線を向けられて――
ステージ上で会場を見渡し、丁寧に一礼をされたあと。ジェレミー様は、肩越しに手招きをされました。
「「「「「???」」」」」
「皆様に紹介をさせていただきたい人いるのですよ。その人は――パーティーが始まった時からずっと、ステージの脇にいた彼女。アマンディーヌです」
促され登壇したわたしは、眼鏡とウィッグを取る。そうすると皆様の前に黒色の髪の毛が現れ、それを合図にして二種類の驚きが生まれました。
ひとつめは、実際に初めて黒い髪の毛を見た驚き。もうひとつは――
「「「「「なぜここに……!?」」」」」
縁を切って追い出された者が、どうして居る? の、驚き。
皆様にとってわたしの存在は大きな衝撃だったようでして、瞬く間に会場は騒がしくなりました。
「先ほど申し上げましたが、正義感溢れる人のおかげで悪巧みを把握できていた――不調などは真っ赤な嘘なのだと把握できていました。ですのでこちらも嘘を吐かせてもらい、縁を切ってもいないしお屋敷から追い出してなどいなかったのですよ」
「「「「「……なるほど」」」」」
「ですので彼女はずっと、常に傍におりまして――。それにより、二つの噂は迷信だと証明されることとなりました」
ジェレミー様はわたしに視線を送ったあと、右の人差し指と中指を立てました。
「『黒髪を持つ人間は、周囲の人間に体調不良などの不幸をもたらしてしまう』。切っ掛けとなったオディール達の不調はお芝居ですので言わずもがななのですが、その後に発生したキャロライン叔母さんたちの不調。あちらの異変は追放の宣言とともに治ってゆきましたし、今日まであちこちで元気な姿が目撃されていますよね?」
「「「「「そうです、わね」」」」」
「原因とされているアマンディーヌと縁を切っていないしお屋敷に居続けているのに、回復してすっかり元気になった。あれは『自分も不調になるはず』といった心理が引き起こしていただけ、アマンディーヌの髪にそういった力はないという証左となるのですよ」
「「「「「たし、かに……」」」」」
「納得して、いただけたようですね。ではここからは、もう一つの噂について言及をさせていただきたいと思います。……ローレック卿、サドゥヴァン卿」
ステージの最前列にいらっしゃる、ふくよかな男性とたくさんの髭を蓄えられた男性。そんなお二方へと、視線を向けられて――
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