上 下
25 / 39

第15話 二つ目の正体 アマンディーヌ視点(1)

しおりを挟む
お口汚し・・・・、失礼いたしました。皆様にはもう一点、お付き合いをいただきたく思います」

 ステージ上で会場を見渡し、丁寧に一礼をされたあと。ジェレミー様は、肩越しに手招きをされました。

「「「「「???」」」」」
「皆様に紹介をさせていただきたい人いるのですよ。その人は――パーティーが始まった時からずっと、ステージの脇にいた彼女。アマンディーヌです」

 促され登壇したわたしは、眼鏡とウィッグを取る。そうすると皆様の前に黒色の髪の毛が現れ、それを合図にして二種類の驚きが生まれました。
 ひとつめは、実際に初めて黒い髪の毛を見た驚き。もうひとつは――

「「「「「なぜここに……!?」」」」」

 縁を切って追い出された者が、どうして居る? の、驚き。
 皆様にとってわたしの存在は大きな衝撃だったようでして、瞬く間に会場は騒がしくなりました。

「先ほど申し上げましたが、正義感溢れる人・・・・・・・のおかげで悪巧みを把握できていた――不調などは真っ赤な嘘なのだと把握できていました。ですのでこちらも嘘を吐かせてもらい、縁を切ってもいないしお屋敷から追い出してなどいなかったのですよ」
「「「「「……なるほど」」」」」
「ですので彼女はずっと、常に傍におりまして――。それにより、二つの噂は迷信だと証明されることとなりました」

 ジェレミー様はわたしに視線を送ったあと、右の人差し指と中指を立てました。

「『黒髪を持つ人間は、周囲の人間に体調不良などの不幸をもたらしてしまう』。切っ掛けとなったオディール達の不調はお芝居ですので言わずもがななのですが、その後に発生したキャロライン叔母さんたちの不調。あちらの異変は追放の宣言とともに治ってゆきましたし、今日まであちこちで元気な姿が目撃されていますよね?」
「「「「「そうです、わね」」」」」
「原因とされているアマンディーヌと縁を切っていないしお屋敷に居続けているのに、回復してすっかり元気になった。あれは『自分も不調になるはず』といった心理が引き起こしていただけ、アマンディーヌの髪にそういった力はないという証左となるのですよ」
「「「「「たし、かに……」」」」」
「納得して、いただけたようですね。ではここからは、もう一つの噂について言及をさせていただきたいと思います。……ローレック卿、サドゥヴァン卿」

 ステージの最前列にいらっしゃる、ふくよかな男性とたくさんの髭を蓄えられた男性。そんなお二方へと、視線を向けられて――


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

妻と夫と元妻と

キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では? わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。 数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。 しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。 そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。 まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。 なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。 そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて……… 相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不治の誤字脱字病患者の作品です。 作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。 性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。 小説家になろうさんでも投稿します。

旦那様、最後に一言よろしいでしょうか?

甘糖むい
恋愛
白い結婚をしてから3年目。 夫ライドとメイドのロゼールに召使いのような扱いを受けていたエラリアは、ロゼールが妊娠した事を知らされ離婚を決意する。 「死んでくれ」 夫にそう言われるまでは。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。 妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。 しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。 父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。 レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。 その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。 だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。

(完結)王家の血筋の令嬢は路上で孤児のように倒れる

青空一夏
恋愛
父親が亡くなってから実の母と妹に虐げられてきた主人公。冬の雪が舞い落ちる日に、仕事を探してこいと言われて当てもなく歩き回るうちに路上に倒れてしまう。そこから、はじめる意外な展開。 ハッピーエンド。ショートショートなので、あまり入り組んでいない設定です。ご都合主義。 Hotランキング21位(10/28 60,362pt  12:18時点)

処理中です...