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第2話 出逢いと出逢い アマンディーヌ視点(2)

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「君は、彼らを――殺気を感じ取れるんだね?」

 顎に手を当てていた男の子は、後方にいらっしゃる5人の男性を一瞥しました。

「それをできるのはその道のプロ、その中でもほんの一握りの熟練者だけなのに、君は明らかにそうじゃない。理由を教えてもらってもいいかな?」
「は、はい。森で過ごしている間に、自然と身についたんです」

 365日、一日の多くを森で過ごしていること――。
 森の中で食物連鎖に触れ続けていること――。
 貴族の娘であることと帽子の下の髪の毛のこと以外は、すべてを正直に打ち明けました。

「ああなるほど。言われてみると、自然界には殺気が満ち溢れているね。……そっか。そっかそっか。だとしたら」
「??? ???」
「女の子ちゃん。君は、多くの危険を――いくつものリスクを承知の上で、助けてくれたんだ。尾行して殺気を放つなんて厄介すぎる相手が近くにいて、それを邪魔したら自分も目をつけられてしまうのに。最悪自分も酷い目に遭う可能性があるのに、なんの縁もない見ず知らずの僕を助けようとしてくれたんだね?」
「え? …………は、はい。そ、そうです」

 一瞬言われていることが理解できず、少し空いて頷きを返しました。

「知っている知らないは、関係ありません。目の前に困っている人が――すごく困ったことになりそうな人がいたら、助けるのは当たり前です」
「……そうなんだね。メリットよりデメリットの方が多いだろうに、そうするんだ?」
「? 人を助ける時って、そんなことを気にしますか? 自分にできることがあるのならするのが当たり前だと、わたしは思っています」

 動くのが当然だと考えていて、メリットデメリットを考えたことはありませんでした。
ですので、おもわずキョトンとしていると――

「あははっ。はははははっ。すごいよ君っ! 君はすごい!」

 ――突然お腹を抱えて笑い出し、おまけに拍手までくれるようになりました。

「え? え? え……?」

 それはあまりにも予想外な行動で、驚いていると――

「ええ!?」

 ――その直後でした。その驚きとは比較にならないほどの、大きな大きな驚きが生まれる言葉が飛び出したのでした。


「僕は、君の心に惚れてしまった。結婚を前提に交際をしてもらえませんか?」


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