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エマとルシアンのその後 第1話 不思議な人~エマの場合~ エマ視点

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 現在交際をさせていただいている、ルシアン・レインズ様。この方は、本当に不思議な方。

『おや、雨ですね。エマ様、どうぞお入りください』
『ルシアン様、ありがとうございます。……あの、ルシアン様』
『大丈夫ですよ。肩が少し濡れたくらいでは、風邪は引きませんよ』

 たとえば、隣国でのデートで天気が悪くなった時。
 ルシアン様はそれが当然であるかのように、私を中心にしてパラソルを差してくださったり。

『ルシアン様、お越しくださりありがとうございます。本日は前回お約束した、リフィア湖私が好きな場所にご案内いたします』
『……………………いいえ、それは次の機会にしましょう。エマ様、今日はゆっくりお休みください』
『えっ!? 休む必要はありませ――』
『今日のエマ様は、疲れていらっしゃいますよ。若干の体調不良、恐らくは微熱がおありなのですよね? 俺の事は気になさらず、お休みください』
『でっ、ですがっ。ルシアン様は、わざわざ来てくださって――』
『エマ様の健康より大事なものは、ありませんよ。……俺のために無理をしてくださり、ありがとうございます。そのお気持ち、とても嬉しいですよ』

 たとえば、体調不良を隠していた時。
 ルシアン様は一目でそれを見抜かれ、即答と明言をし、心から微笑んでくださったり。

 お会いするたびに、私はお優しい部分を知っていって。毎回、ルシアン様の新たな魅力が増えていく。

 お付き合いを始めた時点で、すでに素敵な部分が沢山あって。
 こんな方は見たことがない。そう感じていたのに。

 どんどんと増えていって。きっと――ううん。間違いない。これからも、ずっと続いていく。
 だから。

『??? ルシアン様? なにか、嬉しいことがあったのですか?』
『ええ。素敵な方と一緒に居られて、幸せだなと。改めて、感じていました』

 ルシアン様。私も、同じですよ。
 貴方に選んでいただけたことが、貴方と過ごせることが、何よりも幸せで。
 だから、だから――

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