上 下
11 / 39

11*男の嫉妬は…可愛いです

しおりを挟む



「‥‥‥‥お嬢?何してんすか?」

いつの間にか真後ろに悠二が物凄い怒りのオーラを放って立っている

「あ、おはよう。別に?ちょっと朝の散歩に行こうとしたらずっとノアさんが居てくれたみたいだからお礼にチョコを渡してただけだよ?」

あっけらかんと言われて悠二はキョトンとした
ノアの方を見ても何事もなかったかのように無表情に戻っている
さっきまであんなに笑ってたくせに。なんだか腑に落ちない

「ってか、お前。寝起き悪すぎ!悪人ヅラが二割り増しで悪人ヅラになってるぞ!」

「すんません。顔洗ってきますんで俺の部屋で少し待って居てください」

悠二はさっと雛の手を取って自分の部屋に引っ張っていく
引っ張られてもなにも抵抗もなく大人しくついていく雛に悠二は少し顔がにやけてしまう
すると悠二とは反対の方から腕を取られて引っ張られる

「雛様。独身の女性が無闇に男性と二人きりになってはいけません。」

「え?でも、悠二だし‥‥」

「気心が知れて居ても男は男です。」

真剣に言われて雛も口を噤んでしまう

「あ”ぁ”?俺が何かするとでも?」
人を殺しそうな目でノアを睨みつける
「万が一の可能性がないわけではありません。」
シラっと悠二の睨みなんかどこ吹く風こちらも悠二を睨んでいる
二人が睨み合って雛を挟んでいる

「ちょ、ちょっと!二人とも離れて!!」

堪らず二人を大声で止める


「悠二、直ぐに頭に血がのぼるのをどうにかしろ。じゃないとお前が勘違いされて私が悲しくなる。私の為に、冷静になれ」

「ぐっ‥‥すんません。気をつけます。」

言い聞かせて悠二がショボンとするのを見届けて

「ノアさん、心配してくれて有り難うございます。でも、悠二は大丈夫です。私が嫌がることは絶対しませんから。それは、誰よりも信頼出来ますから。」

雛に言い切られてこちらも心なしかショボンとしてしまう

「ですぎた真似をしました。申し訳ございません。」

「いいんです。私のことを思ってのことだと思いますので。でも、喧嘩はダメですよ?」

「はい。気をつけます」

(この二人はどこか似ているところがあるのかも知れないな。ふふ)

いつの間にか笑って居てまた悠二に腕を少し引っ張られて雛は我に帰ると悠二に笑顔を向ける

「行こう。早くしないと朝ごはんの時間になっちゃう!」

今度は雛が悠二の腕を引っ張って悠二の部屋に向かう
その後ろにノアもついて来た
悠二は少し不満に思いつつもこれ以上雛を怒らせると何を仕出かすか分からないから我慢することにした

二人は部屋に入ってノアはまたドアの前で止まって姿勢正しくドアの前で立っている

「お嬢、少し待っててください!顔洗って、着替えて来ます!」

「わかった~早くな」

「はい!」

悠二はばたばたと急いで洗面所に向かって行った

雛は悠二のベッドの上でゴロゴロしてることにする
枕の下に硬いものがあって取り出すと‥‥


拳銃(チャカ)


(うををををををい!!!なんちゅうモン持って来てんだよ!!!!)

変な汗が吹き出る

「お嬢?どーかしましたか?」

着替え終わった悠二がヒョコッと顔を出す

「悠二ぃぃぃ!これ!なんで持って来てんだよ!」

「え?だってお嬢の護衛として家でましたから‥‥」

「え”、たった駅までの道のりを毎日『コレ』持ってでてたの?」

「はい!何かあると大変ですから。」

キラッキラの笑顔ので言われて青ざめて頭を抱える

「気付かなかった‥‥」

「そりゃ~余計な心配させたくないんで気付かせなかったんですよ~」

「あっそ‥‥って、なんで今も持つんだよ!?」

「だって、部屋に誰か入って見つかったらやばいでしょう?」

「た、確かに。」

「大丈夫、使うことは早々無いですから」

にこりと微笑まれてなんだか悠二の言った通りな気持ちになってしまう。

(言いくるめられた気がする・・。)

ちょっと腑に落ちないものの部屋に隠して万が一、知らない人に見つかって弄られて怪我でもしたらそれこそ大変だし‥‥持ち歩くのは仕方ない‥‥のか?


「お嬢、お散歩いくんでしょう?行きましょう」

そう言って手を出されれば自然と握ってしまうんだからとりあえず私は悠二に弱い。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お隣さんはヤのつくご職業

古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。 残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。 元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。 ……え、ちゃんとしたもん食え? ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!! ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ 建築基準法と物理法則なんて知りません 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。 2020/5/26 完結

学年一の美少女に嘘告されたので付き合うことにしました。〜いつのまにか、本気で惚れさせていた件〜

塩コンブ
恋愛
高校2年生、基山 紅葉は嘘で同じく2年で学年一の美少女、橘 暦月に告白される。嘘告と知りながらも丁度欲しかったとこだしまぁいいか、くらいの気持ちで付き合っていたのだが………… あれ?いつのまにか本気で惚れられている気がするのだけれど… ※小説家になろうでも投稿しています

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない

たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。 何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...