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5*侍女って、忍者か何かなのかな?

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侍女頭のイレーナに部屋まで案内してもらい部屋に入るとそこにはもう、雛の荷物が置いてあった。一通り部屋を案内してもらい、一息つくとどこからともなくお茶が用意されていてビビる。

(え、イレーナさんずっと近くにいたよね?え、イレーナさん何者?すごっ!)

「お嬢~部屋広いしお風呂もトイレも別だしお湯もすぐ出るみたいだし冷蔵庫もあってすごい良いところですね!」

呑気に出された茶菓子を食べてニコニコと話しかけてくる

「って、あんたの部屋は別でしょう!?何で此処で寛いでるのよっ!」

悠二の食べていた茶菓子を奪い取って食べてやる

「えぇ~?俺は、お嬢と一緒にこの部屋に住みますよ?ベットは1つだからソファーで寝ますし。っても、このソファー俺が使ってたソファーより気持ちよくて寝心地よさそうだし!元々一緒に住んでたんだし、こんなに部屋も広いし今までとあまり変わらないじゃないですか~」

ソファーに横になりながらへラリと笑ってこっちを見る。

(うっ、可愛いかよ。くそー)

「未婚の男女が一緒の部屋で寝るのは‥‥悠二様には隣のお部屋が用意されてますので‥‥」

困ったように侍従のサミュエルが言うが聞く耳を持とうとしない。

「要らないですって。俺はお嬢と一緒の部屋でいいから。」

「悠二、あんまりサミュエルさんを困らすなよ。暫くは此処で過ごすんだから。面倒ごとを増やすな。ちゃんと言われた通りにしろ。悪いようにはしないみたいなんだし。」

「‥‥どうしても、ダメですか?」

「ダメだ。」

「‥‥ぶー」

「~~もう!どうせ寝るとき以外はこっちにくるんだろうから寝る部屋が別でもあまり変わらないだろ!?」

雛に言われて顎に手を当てて無駄にカッコ良く考える素振りをする

「確かに、そうですね!常にお嬢の隣にいることにはかわりないですね!」

ニコーっとキラキラした笑顔で言われて眩しくて目を細めてしまうのは、仕方無いと思う。
(可愛いよー!うちの子可愛いよーー!!)
「わかったらさっさと案内してもらえ。」

「えぇ~?お嬢も一緒に来て下さいよ~」

急に手を取られてソファーから立たされる

「わかったから!もぅっ!ほら、行くぞ!」

「はいっ!」

大きな犬が尻尾をブンブン降っているような気がしてならない。
これで良いんだろうか‥‥

「サミュエルさん、世話がやける奴ですみません。なにかやらかしたらすぐ私を呼んで下さい。」

「いやいや、悠二様は本当に雛様が大切なんですね。微笑ましいことです。」

(大切‥‥まぁ、大切にはされている。と言うか、こいつの場合は家族愛的な気がするんだけど。自分がお兄ちゃんって言ってたし。)

隣に移動して部屋の中に案内されるこっちにも、悠二の荷物が置いてあった

「うわぁ~!こっちの部屋も広い!良かったな!悠二!」
(ん?なんだか浮かない顔‥‥?)

悠二はなんだか雰囲気がピリついている

「悠二?」

何かあったのかと声をかけるとすぐにいつもの懐っこい表情に戻った

「何でもありません。気のせいでした!」

「‥‥本当に?」

悠二の表情を読み取るようにジッと顔を見る

「も~そんな可愛い顔をしてると‥‥」

急に抱きかかえられて顔が耳の近くになる
いきなりのことであっけにとられるが

『この部屋、監視しやすいようになっているみたいです。窓の位置とか外から見やすいですし。あと、壁の絵がなんか気になるんすよね。お嬢の部屋には感じなかったんで大丈夫とは思いますが‥‥少し調べないとですね。』

耳のすぐ近くでこそこそ話されて擽ったいような変にゾクゾクしてしまって話が頭にちゃんと入ってこない

「ふ‥‥んっ、わか、ったから!」

顔を真っ赤にして悶えている雛を見て

ピチャ‥‥チュ‥

「ひゃあ!」

悠二に耳を舐められて軽くキスされた

「~~~っ!!!!ばっ!!!かやろう!!!」

グーパンチで思いっきり悠二の顎を捉える。
思いっきり食らって雛を持つ手が解けて我に返ったようにすぐに土下座した

「す、すんません!!お嬢が可愛すぎてつい‥‥」

「つ、ついじゃねぇ!!」

顔を真っ赤にして左耳を抑えて悠二から距離を取る

「っ私は部屋に戻る!!」

「あ、俺も‥‥」

「来んな!!!馬鹿!!」

雛は怒ってドアを思いっきり力強く締めて大きい音が部屋に響く

悠二は自分の行動が信じられないと言うように頭を抱えるのであった



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