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 第八話 前進! 前進! 前進! 情報収集!!!

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 「レンタングル・ウォーカー全機、整備に問題ありません!」

 「こちらグランド1、了解だ。第000335派遣中隊、前進を開始する!」

 「おおおーーー!!!」

 俺の指示を受け、旅団規模に膨れ上がった000335派遣中隊が前進を開始した。

 横一文字陣形のレンタングル・ウォーカー10機を前面に押し出し、その合間にドローン兵随伴歩兵部隊を乗せたトラック十数台が続く。

このトラックは、簡易的なワゴンブルク戦法用を取らせるため、防御力を高めた機種である。

 その後方、中央に三連レールガン砲を擁するアイアン01。

 両翼にお嬢ちゃんたちのストームシューター隊が二手に別れて続く。

 全員が狙撃用装備で遠距離の攻撃が可能だ。

 そのまた後方に、指揮官である俺とグラントスプリンター隊が三台の装甲車に分乗し、輜重兵隊とその物資を防衛するように展開。

 そして、最後方にはベーシックなドローン歩兵隊を乗せた装甲車が続いた。

 本部ギルドの幹部トラファルガーから借り受けたドローン部隊に、予備のパワードスーツを着せて強化した人型兵器たちであった。

 これら、トラファルガーから借り受けたドローンは、どの機体も支援砲撃のための高価なおいくら万円の武装を身に付けている。

 これは、俺たちグランドスプリンター隊と輜重兵隊が、監視用ドローンの発進や、それ以外の攪乱用の物資を展開させるからである。
 迫る敵を支援砲撃で迎撃し、その邪魔をさせないための措置である。

 我が隊が、いくら旧世紀の旅団規模まで戦力を上昇させたとはいえ、油断は禁物。

 その任務は、重要な情報収集である。

 作戦の目的地である敵の新ハイブ周辺部は、現在、電波攪乱や気象の限定的な操作によって長距離からの索敵、レーダーや衛星による情報収集が困難な状況なのである。

 前線司令部は、飛行撮影、索敵を任務とする飛行型ドローンを多数、敵の新ハイブ周辺部へと送り込み、情報収集に勤めたのだが、無事に帰還するドローンはいない状況だった。

 そこで、飛行ドローン隊に代り、その情報収集任務に任ることになったのが、俺たち000335派遣中隊という訳だ。

 だからこそ、強化ドローン隊は支援砲撃モードとなり、情報収集に任る俺たちグランドスプリンター隊、輜重兵隊の支援に回る装備をしているのだ。

 「前進! 前進! 前進! 急ぐぞ!」

 装甲車から上半身を露出した俺は、定期的に空元気を込めてそう叫び、自分自身と隊員たちを鼓舞しながら目的地へと向かう。

 「ぜったい、生きて帰るんだ~♪」

 「大金稼いで豪遊だ~♪」

 「俺たちゃ陽気なローンレンジャー♪」

 「みんなが借金まみれだぜ~♪」

 「明後日、振り込み最終日♪」

 「お金を稼がにゃ首吊りだ♪」

 「涙は敵だ、笑おうぜ♪」

 「生きてりゃ何とかなるもんだ♪」

 他のグランドスプリンター隊員が、俺の叫びに合わせて調子っぱずれの声を出して歌う。

 「はは! うまいうまい!」

 「こちらストーム07、悪くないよ」

 「お嬢ちゃんたちもノリが良いな。ほら、続けるぞ」

 「了解、借金100億あるけれど~♪」

 「異獣を倒せば解決だ~♪」

 「1万倒せば懐に~♪」

 「300億は入ります♪」
 
 お嬢ちゃんたちのリクエスト通りに歌う俺たち。

 そうする事で、みんな不安を吹き飛ばしていた。

 こうして俺たちは、命を賭した任務へと、気分よく向かうのだった。

 そうして、約四時間が経過した頃。

 「前方に放った索敵ドローン(斥候役)からの報告! 敵、巨大蟻型、飛行蜂の大軍を確認との事です! 敵の斥候と思われます! グランド01、指示を求めます!」

 索敵を担当していたアイアン02から、俺の乗る装甲車と、防御ヘルメットと一体型のインカムに、その様な連絡が送られてきた。

 「了解! 索敵ドローンを全機別方向に離脱させろ。逃げられれば良いし、敵を引き付ける囮になってくれるのも良い。全隊員戦闘準備! 砲撃用意! 敵陣を噛み破る!」

 「アイアン02了解! 復唱します。索敵ドローン全機離脱! 別方向!」

 「こちらストームチーム、狙撃準備完了! グランド01支持を求む!」

 「了解! 全ドローン隊のトリガーをストーム07に。空中、地上問わず、敵に一斉射撃による先制攻撃を求む!」

 「こちらストーム07、了解した。射程に入り次第、全砲門を持って先制狙撃を開始する」

 「了解! アイアン戦車隊、グランドチーム、残った地、空、両方の敵に対応してくれ。グランド隊、装甲車を前方に廻せ! いくぞ!」

 「了解です!」

 「ウラーーー!」

 「おおおーーー!!!」

 俺は、努めて冷静に支持を出し最前線へと向かった。

 そんな俺の戦闘スタイルは、装甲車から上半身を露出させ、長距離ライフル雷電の二挺持ちに肩のマイクロミサイルポッドである。

 信頼できるいつものスタイルだった。

 前線指揮官は、時にはこうして前に出て、部隊員を鼓舞して見せねばけれならないのだ。

 緒戦なら猶更なのである。

 (俺が後方でブルってる訳にはいかねぇ。前に出るぜ!)

 そう考え、怖気を振り払う俺。

 その後に、部下たちの乗る車両も続いた。

 この様にして、俺たち000335派遣中隊による、偵察任務に到るための最初の戦端が開かれた。 


 
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