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 第四話 ハイブに到る道を切り開け! 行くぞお嬢ちゃん! 野郎ども!

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 お嬢ちゃんたちストームシューター隊が、強力な武装の威力で次々と飛行狒々共の生体バリアを突き破り、地上へと撃ち落としていく。

 その間にも、俺たち強化歩兵グランドスプリンターが覗くスコープが映す地点へと、続々と標的が迫ってきていた。

 標的たる蟻共の体表装甲を見れば、体内電気信号通電による装甲強化が実行されて、体色が黒色から赤色へと変化していた。
 イザナギ・インダストリー開発の高威力の得物でなければ貫けない装甲だ。

 そのため、高威力を実現したイザナギ製の武器の銃声が響き渡るまでの過去の戦場は、地獄だった。
 
 当時、対応を迫られた成都軍は、対戦車砲や高射砲を地上に引き倒しての迎撃や、テルミット焼夷弾による重爆撃を周辺一帯に敢行し、人為的に巻き起こした火災旋風に包んで焼き殺す以外に、巨大蟻の迎撃手段がなかったのだ。

 頼みの綱であった人海戦術は通用せず、歩兵隊の陣地は次々に巨大蟻に突破され、軍人、市民問わずに大量の華人が殺されパニックになった。
 それに、個人用の武装、アサルトライフルやミサイルランチャーの効果が限定的であったことが拍車をかけた。それらの武器が蟻に効果的ではないと知らない市民主導の義勇兵たちは、只々、無意味な迎撃行動、突撃だけを繰り返し、命を散らせたのだった。

 だが、自国防衛のために立ち上がって散っていった中華市民たちは、時間稼ぎだけにはなった。

 南京、広州経由で、イザナギ製の武装を装備した日本軍、百済軍、アメリカ軍による国際連盟軍が到着。現地志願の義勇兵を取り込み反転攻勢に出ることができたのだ。

 その多大な犠牲の甲斐あって、俺たちはこの地で戦っていられる。 

 [こちらアイアン01、三連装電磁投射砲、斉射開始します!]

 俺たち強化歩兵の攻撃範囲に巨大蟻が入る前に、前方への射程範囲が段違いの、電磁投射砲装備型戦車の斉射が始まった。

 フィィィィィ………ジュチュ―――――ン!!!

 ズドドドドドドッ…ゴッ! ズパンッ! ズパンッ! ズパンッ! ズパンッ! ズパンッ! ズパンッ……… 
 
 三連装の電磁砲から、ローレンツ力によって投射された弾丸が、大地を鳴動させながら迫ってくる巨大蟻の一群を薙ぎ払い、突き抜けていく。
 そんな光景が俺の得物のスコープ越しに見えた。戦列を突き抜ける一撃で、巨大蟻の半分が壊滅させられたが、それでも群れの突撃は止まらない。
 まさに恐れ知らずのバーサーカーの一団だった。
 

 「来たぞ! 撃て!」

 「了解!」

 ピイイイイイイイイッ!  ピイイイイイイイイッ!  ピイイイイイイイイッ!

 ピイイイイイイイイッ!  ピイイイイイイイイッ!  ピイイイイイイイイッ!

 俺たち強化歩兵隊も、次々とレーザーライフル、レイ・フォース1の引き金を引いていく!

 ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!

 ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!

 ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! 

 その一撃一撃が、巨大蟻の頭部はじめ他の部位を貫き、欠損させ、確実に敵の数を減らしていく。

 初陣にしてはパーフェクトに近い成績だ。褒めてやるルーキー!

 また、飛行する有翼狒々の一群も、ストームシューター隊によって残り数匹へと撃ち落とされていた。どうやら、お嬢ちゃんという優れたお手本が目の前にいるために、シューター隊の新兵たちも本来以上の実力を発揮しているようだ。何しろ目の前のお手本通りに狙撃さえすれば、敵が墜ちていくのだ。
 真似しない選択肢はない。

 「よし! 俺たちはやれるぞ!!」

 「ああ! 俺たち、初陣にしちゃ良い戦果だよな!!!」

 「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死んでここからいなくなれ!」

 「ふふ…ふふふふふ!」

 「撃つべし撃つべし撃つべし!!!」


 [?…待て! こちらアイアン02.後方に新たな群れを確認した………どんどん増えてくる…飛行型…約1000…地上型は…5000…教官っ…どっ、どうすればっ!]
 
 第一陣の敵を、俺たちは近付かせることなく無事に殲滅させた。これなら一休みできるぞと、攻撃隊全員が思い始めた、その矢先の敵の増加であった。
 敵の前列群後方に、新たに数十の群れが出現したのだった!

 (ヤバイ! 予想以上に多い! 周辺から集まっていやがったな。ここは…)

 この場合、味方の指揮の崩壊が一番ヤバイ! 

 戦場では、怖気づいてしまう奴から死んでいく。

 軍隊が一番数を減らすプロセスは、逃走を図る段階で、敵から追撃を受けることだ!

 指揮官は嘘でも良いから冷静に対応し、戦線を維持して兵を戦わせ続けねばならない。

 怖気て逃げ出し、敵に後ろを見せれば、一方的に敵の攻撃に晒されてしまう!

 「…狼狽えるな! 敵の数が多いのは当初から想定している! 全部隊引き撃ち体勢! 前衛兵科、武器を両手持ちに持ち替えろ! 良かったな! 前方どこに撃っても当たるぞ! 稼ぎ放題で借金がすぐに返せるぞ!」 

 「! 強化歩兵隊了解! パワードスーツブースター逆方向に固定!」

 「引金のセーフティー解除忘れるな! 一定の距離を取って位置取りしろ! フレンドリーファイア対策だ! アイアン01、一足早く、後方の群れに砲撃を開始しろ!」

 [アイアン01了解!]

 フィィィィィ………ジュチュ――――ン!!!

 長射程の三連砲を撃つ放つ、電磁投射装備型。砲火音が轟いて後、次の指示を出す俺。
 
 「アイアン02! 本体に支援迎撃要請! 敵座標、未来予想位置を送信! それとドローンを後退をさせろ! あの数じゃ囮にならん! 敵は数で俺たちを圧し潰す気だ!」

 [りょっ、了解!]

 俺は、そこまで支持を出した時点で、巨大蟻前衛群の最後の一匹の頭を打ち抜いた。ボッ!とスコープ越しの映像で巨大蟻の頭が吹き飛ぶ!
 そこで俺は予備の光線銃ライデンをアンロック状態にして、両手持ちの二挺ライフルの構えを取った。それも決して動揺を見せぬ様に、冷静にゆっくりとした動作でやりきる。

 「各自、ミサイルポッドの弾薬も躊躇なく使え! そのために大量購入してあるんだ! 使い終わった者から順番に、輸送車の換装システムで補給しろ!」

 「サー! イエッサー!」

 「敵戦列が1キロまで近付いたら引き撃ち戦法を開始する! ミサイルポッドの第一波攻撃を抜けてきた相手から、十字砲火で確実に撃破しろ! 敵1・5キロで撃ち方始め!」

 俺がその様に陸上部隊に檄と指示を飛ばしている頃、ストームシューター隊を率いるお嬢ちゃんも、部下たちに指示を飛ばしていた。敵の数の多さに狼狽える嘴の黄色い雛鳥たちに冷静に命令を下していった。

 「私たちはフォーメーション・ブルームで、引き続き敵飛行型の迎撃に邁進します。飛行型の数は地上型の五分の一です。決して殲滅できない数ではありません。まずは大量殲滅用のハルノオウギで飽和攻撃を仕掛け、漸減攻撃の後、精密射撃に以降します。引き時は強化歩兵とタイミングを合わせて行います。それと飛行時のエネルギー残量に気をつけて。ストーム01、何か質問は?」

 「あっ、ありません」

 「では、総員、ハルノオウギの準備が終わり次第、攻撃開始します」

 そこまで言って、ホバートラックに着陸したお嬢ちゃんは、自分用のハルノオウギのセーフティロックを解除した。雛鳥ちゃんたちも、その後に続く。

 「フォーメーション・ブルーム!」

 「ブルーム!」×4
 
 そうしてストームシューターのお嬢ちゃんたちは、花開くように展開してその攻撃態勢を整えた。見事な動きだ。こいつは俺たちグランドスプリンターも、負けちゃいられない。

 「お前ら、お嬢ちゃんたちはやる気十分だ。男の俺たちが負けちゃいられねぇ! 気張れよ!」

 「サー! イエッサー!」

 「全武装仕様自由! 肩部ロングレンジ砲、徹甲炸裂焼夷弾装填! 背部ミサイルポッド、セーフティ、アンロック!」

 「来たぞ! 気圧されるな! 勝って俺たちがハイブへの道を切り開くんだ! って――――!」
 
 「おおおお―――――!!!!!!」


 ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ! ヒュウゥゥ―――ゥゥゥン!

 
 「みんな合わせて! 撃て―――!!」

 「了解です、ストーム07! 続けー!」


 パシュゥ! パシュゥ! パシュゥ! パシュゥ! パシュゥ! パシュゥ! パシュゥ! パシュゥ!


 俺たち第000335中隊は、この一撃一撃が勝利に繋がると信じ、必死に弾を撃ち放った!
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