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子育て
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出産して一か月が経過した。
メイは眠っている。物思いに耽ることのできる貴重な時間。
昭和50年にいた時との違いを改めて感じさせられる。
何より違うのは、オムツのこと。
歩の時も保の時も、オムツはウンチを「ちり紙」で拭いてトイレに捨ててから風呂場で手作業で洗い流し、それから洗濯機にかけていた。もちろん他の洗濯物とは別だから、洗濯だけで午前中いっぱいかかるのが当たり前。
その上、小学校低学年の双子の学校のことまでやらなければならず、気の休まるときが無かった。2年生くらいまで授業参観などほとんど行くことができなかった。
夫はほとんど何もしてくれない。海外出張が多くてほとんど家にいることすら無かった。性格の合わない夫がいないことは精神的には楽だったが、すべてを自分でやらなければならない。
運転する人のいない自動車が何か月も庭に鎮座していた。
慶子は時間が無くて常にイライラし、上の子たちには当たり散らしてしまうことも多かった。
平成ではそもそも洗う必要さえない。ウンチだけトイレに流したら後は「燃えるゴミ」の日まで溜めておいて出すだけ。
自動車の運転ができるから、買い物に行くのも楽。ベビーシートを取り付けた車に折り畳み式のベビーカーを積んでおけば買い物に行くのすら何の問題も無い。自動車の運転ができるだけでこんなに楽になるものかと思う。
年齢が年齢なので乳が出るか心配だったが、問題は無かった。自ら認める貧乳からはメイが飲みきれないくらい溢れ出てくる。女性が行くような場所には授乳室があることが多いし、無くてもほとんどの場合どこか使える部屋に案内してくれる。昭和にいた時は十分乳が出たにも関わらず、外出用に哺乳瓶が欠かせなかった。
今はそんな必要はない。一応哺乳瓶も買ったけど、戸棚に仕舞ったままになっている。
メイは元気な子だった。病弱だった保の時とは手の掛りようも違う。どうしても敬子が留守にしなければならないときはユウさんの両親のどちらかが来て面倒を見てくれる。
ふと思った。歩、泰代、保も結婚していてもおかしくない齢。今頃は家庭を持っているのだろうか。
調べることもできるだろうけど、やってはいけない気がする。ここでは慶子ではなく敬子なのだから。
メイが目を覚まして泣き始めた。オムツは濡れていない。おっぱいか。胸元を開けて抱きかかえる。
メイはすぐに敬子の乳首に吸い付く。まさかこの歳になってまた授乳することがあるとは思ってもみなかった。
理由は分からないが、右側の乳首しか吸わない。全く吸われないため、左は敬子が自分で搾って捨てている。
左側の乳房はお役目御免であることが生まれて間もなく分かったので、ユウさんの自由にさせている。性欲旺盛なユウさんもこれで何とか収まってくれている模様。
これが昭和の夫だったら嫌で嫌で仕方が無かったと思うが、ユウさんの場合は「愛されている」と感じる。やはり好きでもない相手と見合い結婚したのと、自分の意志で結婚したのとは大きく違う。
昭和の家では夫と上の二人の子は同じ部屋で寝ていた。保が生まれてから慶子は世話をするため、それまで親子4人同じ部屋で寝ていたのを、別の部屋で保と二人だけで寝るようにしたのだが、体が弱い保は3歳になっても添い寝が欠かせない。それが日常化してしまい、性生活も無くなった。
別にそれが嫌だったわけではない。もともと好きでもない人だから。
ここでは違う。愛し合って結婚したユウさんと、生まれてきたメイ。ユウさんは夜泣きで起こされても嫌な顔一つしない。次の日仕事があっても、深夜に起きてオムツ交換をやってくれる。
「こんな人もいたんだ」
ひょっとして、結婚前田舎で付き合っていた上司もそんな人だったのかもしれないけど、男性によっては結婚後本性を現すというから、本当のところは分からない。今頃は誰かと結婚して家庭を作り、多分孫もいることだろう。
メイは眠っている。物思いに耽ることのできる貴重な時間。
昭和50年にいた時との違いを改めて感じさせられる。
何より違うのは、オムツのこと。
歩の時も保の時も、オムツはウンチを「ちり紙」で拭いてトイレに捨ててから風呂場で手作業で洗い流し、それから洗濯機にかけていた。もちろん他の洗濯物とは別だから、洗濯だけで午前中いっぱいかかるのが当たり前。
その上、小学校低学年の双子の学校のことまでやらなければならず、気の休まるときが無かった。2年生くらいまで授業参観などほとんど行くことができなかった。
夫はほとんど何もしてくれない。海外出張が多くてほとんど家にいることすら無かった。性格の合わない夫がいないことは精神的には楽だったが、すべてを自分でやらなければならない。
運転する人のいない自動車が何か月も庭に鎮座していた。
慶子は時間が無くて常にイライラし、上の子たちには当たり散らしてしまうことも多かった。
平成ではそもそも洗う必要さえない。ウンチだけトイレに流したら後は「燃えるゴミ」の日まで溜めておいて出すだけ。
自動車の運転ができるから、買い物に行くのも楽。ベビーシートを取り付けた車に折り畳み式のベビーカーを積んでおけば買い物に行くのすら何の問題も無い。自動車の運転ができるだけでこんなに楽になるものかと思う。
年齢が年齢なので乳が出るか心配だったが、問題は無かった。自ら認める貧乳からはメイが飲みきれないくらい溢れ出てくる。女性が行くような場所には授乳室があることが多いし、無くてもほとんどの場合どこか使える部屋に案内してくれる。昭和にいた時は十分乳が出たにも関わらず、外出用に哺乳瓶が欠かせなかった。
今はそんな必要はない。一応哺乳瓶も買ったけど、戸棚に仕舞ったままになっている。
メイは元気な子だった。病弱だった保の時とは手の掛りようも違う。どうしても敬子が留守にしなければならないときはユウさんの両親のどちらかが来て面倒を見てくれる。
ふと思った。歩、泰代、保も結婚していてもおかしくない齢。今頃は家庭を持っているのだろうか。
調べることもできるだろうけど、やってはいけない気がする。ここでは慶子ではなく敬子なのだから。
メイが目を覚まして泣き始めた。オムツは濡れていない。おっぱいか。胸元を開けて抱きかかえる。
メイはすぐに敬子の乳首に吸い付く。まさかこの歳になってまた授乳することがあるとは思ってもみなかった。
理由は分からないが、右側の乳首しか吸わない。全く吸われないため、左は敬子が自分で搾って捨てている。
左側の乳房はお役目御免であることが生まれて間もなく分かったので、ユウさんの自由にさせている。性欲旺盛なユウさんもこれで何とか収まってくれている模様。
これが昭和の夫だったら嫌で嫌で仕方が無かったと思うが、ユウさんの場合は「愛されている」と感じる。やはり好きでもない相手と見合い結婚したのと、自分の意志で結婚したのとは大きく違う。
昭和の家では夫と上の二人の子は同じ部屋で寝ていた。保が生まれてから慶子は世話をするため、それまで親子4人同じ部屋で寝ていたのを、別の部屋で保と二人だけで寝るようにしたのだが、体が弱い保は3歳になっても添い寝が欠かせない。それが日常化してしまい、性生活も無くなった。
別にそれが嫌だったわけではない。もともと好きでもない人だから。
ここでは違う。愛し合って結婚したユウさんと、生まれてきたメイ。ユウさんは夜泣きで起こされても嫌な顔一つしない。次の日仕事があっても、深夜に起きてオムツ交換をやってくれる。
「こんな人もいたんだ」
ひょっとして、結婚前田舎で付き合っていた上司もそんな人だったのかもしれないけど、男性によっては結婚後本性を現すというから、本当のところは分からない。今頃は誰かと結婚して家庭を作り、多分孫もいることだろう。
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