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ビースト共和国
機嫌を直す
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僕が人族じゃなかったら相当きつい損害なのに、車両の上に乗り、移動するのだから、命知らずの者達もたくさんいたものだ。
天井に乗っていた者は皆、雨に濡れている。今は冬で寒いし、風邪をひいてしまうのに……。僕は肉紙幣一〇〇枚支払ったあと、テシャネイロ街に脚を踏み入れた。海辺よりも内陸よりの位置にあり、住んでいる者が多い。そのため、建物も多く、獣族の行き来が多かった。
テシャネイロ街に到着した僕達は、鼻を鳴らし、あの青年がいないかルパとミアに調べてもらう。匂いや音に反応しないため、隠れているか、遠くにいるのか、諦めたのか、わからないがこのビースト共和国に他の神獣使いがいることがわかってしまった。
「ニクス、昨日、何かに襲われてた……。大丈夫だった?」
ルパは僕に向って訊いてきた。
「うん。問題なかったよ。ルパ達が襲われなくてよかった。もし、昨日と同じ匂いや音が近づいてきたら教えて」
「わかった。ニクスが襲われないように、覚えておく」
ルパは頷きながら了承した。
今、僕達はビースト共和国南東部に位置するテシャネイロ街にいる。海岸があることから、ザンティアコ街からほぼ反対側に位置する街のようだ。
「ニクス、あの丘に立っている像、なに」
ルパは丘の上に立っている像を指さした。
「あれは、ビースト共和国の神様の像だよ。この街を見守るように作られたんだって」
「へー、そんなことをするなんて、なんかここにいる獣族って私達とは別の種族みたい……」
「まあ、昔の指導者は人族だし、人みたいに集団で暮らして街を作っていたらそうなっていくんだと思うよ」
「ふーん。そんなことより、お腹空いた! アザート食べたい」
「んっと……、ここはもうフエノズアイレズ街じゃないから、アザートは無いかもしれない」
「えっ! そ、そんな!」
ルパはアザートが大のお気に入りだたのか、そうとうしょんぼりしていた。僕は新しいお肉屋さんを冊子で探していたので、そのお店に向かう。
「ルパ、着いたよ。ジュラズゴと言う料理が食べられるお店だ」
「ジュラズゴ……。なにそれ」
「肉食べ放題って意味らしいよ」
僕はルパが喜びそうな言葉を言う。
「うおおおっ! 早く行こう!」
ルパは僕の手を取り、お店の中にづかづかと入っていく。ミアも後方から僕達と一緒に入った。すると、お店の中で大きな肉を皿に乗せながら店の中を回っている獣族の男性が数名見えた。
「えっと……。ジュラズゴとは肉の塊を塩で調理し、焼けた部分を切り取って食すビースト共和国の郷土料理か」
僕は冊子を見ながらルパに言う。このお店では椅子に座り、通り掛かった男性が皿に乗せ持っているお肉を切り取って食すらしい。料金は一食ずつ払う方法と一回支払えば食べ放題の肉紙幣二枚の種類があり、食べ放題の方を三名分購入した。
肉の種類が豊富で魔物の肉はもちろん、牛や豚、鳥、羊の肉まで巡回しており、肉の質も良さそうだった。
僕達はお金を払ったあと、テーブル席に座る。
「角ウサギの肉! 角ウサギの肉!」
ルパは匂いからわかるのか、角ウサギの肉を持って巡回している男性の方を向きながら吠える。定員さんはルパの方に歩いてきて、角ウサギの肉を皿の上に置いた。すでに焼かれており、すぐに食べられる。
「いただきます! はむ……。んんんっ! 角ウサギの肉だ!」
ルパは久しぶりに食べた大好物の味に尻尾を振りまくっていた。
「機嫌を直してくれた?」
僕は微笑みながらルパに視線を向ける。
「し、仕方ないから許してあげる」
「じゃあ、私は牛の肉を食べたいと思います」
ミアは牛肉を貰い、食す。僕は鶏肉を食し、朝食にしては多めの量を胃に入れる。プルスには骨を与え、食してもらった。
朝食を終えた僕達はルパとミアがうげっと言いそうな場所に来た。
「ふう、ついた! テシャネイロ美術館」
「うげっ!」
案の定ルパとミアの反応が同じだった。
「二人共、芸術は好きでしょ。僕がちょっと好きすぎるのが問題だけど、テシャネイロ街の美術館はここだけで良いから、楽しませて」
「はぁ、まあ、私達ばかり楽しいのも何か違うし、ニクスが楽しんでくれたらそれはそれで嬉しいし、別にいいよ」
ルパはしょうがないなと言う感覚で了承してくれた。
「ありがとう、ルパ。ミアも付き合わせてごめん」
「いえ、私はニクスさんの召使ですから、ご主人の行く場所にはいかないといけないと言う規則がありますし、我慢します」
ミアは少々仕事状態になっていた。嫌な気分を仕事と言う気持ちで乗り切ろうとしているのだろう。そんなに嫌なのかな……。
「本当は仕事の雰囲気を出さないでほしいけど……、そうしないと楽しめないなら仕方ない。じゃあ、行こうか」
僕はルパとミアの二名を連れて、テシャネイロ美術館に入る。
ブラメンコ公園内にあるビースト共和国を代表とする建築家が考えた創造的な建物が特徴的の美術館。建物そのものがすでに美しい。
どこから絵を描いても様になる造形に惚れ惚れする。ルパとミアは何がいいのかと言う表情を浮かべた。ルパ達には理解してもらえないのはまあ仕方がない。
自然の絶景も素晴らしいが、知識ある者が芸術と言う概念を理解し、美しさを作ると言う想像もまた、心躍るとおもうのだけど……。まあ、芸術を見て感動する者は少ないのかもしれない。見かけは巨大な倉庫だが、石を巧みに使い、地面から一定の距離を上げて建物を作っている。芸術を口で言うのはとても難しい……。
天井に乗っていた者は皆、雨に濡れている。今は冬で寒いし、風邪をひいてしまうのに……。僕は肉紙幣一〇〇枚支払ったあと、テシャネイロ街に脚を踏み入れた。海辺よりも内陸よりの位置にあり、住んでいる者が多い。そのため、建物も多く、獣族の行き来が多かった。
テシャネイロ街に到着した僕達は、鼻を鳴らし、あの青年がいないかルパとミアに調べてもらう。匂いや音に反応しないため、隠れているか、遠くにいるのか、諦めたのか、わからないがこのビースト共和国に他の神獣使いがいることがわかってしまった。
「ニクス、昨日、何かに襲われてた……。大丈夫だった?」
ルパは僕に向って訊いてきた。
「うん。問題なかったよ。ルパ達が襲われなくてよかった。もし、昨日と同じ匂いや音が近づいてきたら教えて」
「わかった。ニクスが襲われないように、覚えておく」
ルパは頷きながら了承した。
今、僕達はビースト共和国南東部に位置するテシャネイロ街にいる。海岸があることから、ザンティアコ街からほぼ反対側に位置する街のようだ。
「ニクス、あの丘に立っている像、なに」
ルパは丘の上に立っている像を指さした。
「あれは、ビースト共和国の神様の像だよ。この街を見守るように作られたんだって」
「へー、そんなことをするなんて、なんかここにいる獣族って私達とは別の種族みたい……」
「まあ、昔の指導者は人族だし、人みたいに集団で暮らして街を作っていたらそうなっていくんだと思うよ」
「ふーん。そんなことより、お腹空いた! アザート食べたい」
「んっと……、ここはもうフエノズアイレズ街じゃないから、アザートは無いかもしれない」
「えっ! そ、そんな!」
ルパはアザートが大のお気に入りだたのか、そうとうしょんぼりしていた。僕は新しいお肉屋さんを冊子で探していたので、そのお店に向かう。
「ルパ、着いたよ。ジュラズゴと言う料理が食べられるお店だ」
「ジュラズゴ……。なにそれ」
「肉食べ放題って意味らしいよ」
僕はルパが喜びそうな言葉を言う。
「うおおおっ! 早く行こう!」
ルパは僕の手を取り、お店の中にづかづかと入っていく。ミアも後方から僕達と一緒に入った。すると、お店の中で大きな肉を皿に乗せながら店の中を回っている獣族の男性が数名見えた。
「えっと……。ジュラズゴとは肉の塊を塩で調理し、焼けた部分を切り取って食すビースト共和国の郷土料理か」
僕は冊子を見ながらルパに言う。このお店では椅子に座り、通り掛かった男性が皿に乗せ持っているお肉を切り取って食すらしい。料金は一食ずつ払う方法と一回支払えば食べ放題の肉紙幣二枚の種類があり、食べ放題の方を三名分購入した。
肉の種類が豊富で魔物の肉はもちろん、牛や豚、鳥、羊の肉まで巡回しており、肉の質も良さそうだった。
僕達はお金を払ったあと、テーブル席に座る。
「角ウサギの肉! 角ウサギの肉!」
ルパは匂いからわかるのか、角ウサギの肉を持って巡回している男性の方を向きながら吠える。定員さんはルパの方に歩いてきて、角ウサギの肉を皿の上に置いた。すでに焼かれており、すぐに食べられる。
「いただきます! はむ……。んんんっ! 角ウサギの肉だ!」
ルパは久しぶりに食べた大好物の味に尻尾を振りまくっていた。
「機嫌を直してくれた?」
僕は微笑みながらルパに視線を向ける。
「し、仕方ないから許してあげる」
「じゃあ、私は牛の肉を食べたいと思います」
ミアは牛肉を貰い、食す。僕は鶏肉を食し、朝食にしては多めの量を胃に入れる。プルスには骨を与え、食してもらった。
朝食を終えた僕達はルパとミアがうげっと言いそうな場所に来た。
「ふう、ついた! テシャネイロ美術館」
「うげっ!」
案の定ルパとミアの反応が同じだった。
「二人共、芸術は好きでしょ。僕がちょっと好きすぎるのが問題だけど、テシャネイロ街の美術館はここだけで良いから、楽しませて」
「はぁ、まあ、私達ばかり楽しいのも何か違うし、ニクスが楽しんでくれたらそれはそれで嬉しいし、別にいいよ」
ルパはしょうがないなと言う感覚で了承してくれた。
「ありがとう、ルパ。ミアも付き合わせてごめん」
「いえ、私はニクスさんの召使ですから、ご主人の行く場所にはいかないといけないと言う規則がありますし、我慢します」
ミアは少々仕事状態になっていた。嫌な気分を仕事と言う気持ちで乗り切ろうとしているのだろう。そんなに嫌なのかな……。
「本当は仕事の雰囲気を出さないでほしいけど……、そうしないと楽しめないなら仕方ない。じゃあ、行こうか」
僕はルパとミアの二名を連れて、テシャネイロ美術館に入る。
ブラメンコ公園内にあるビースト共和国を代表とする建築家が考えた創造的な建物が特徴的の美術館。建物そのものがすでに美しい。
どこから絵を描いても様になる造形に惚れ惚れする。ルパとミアは何がいいのかと言う表情を浮かべた。ルパ達には理解してもらえないのはまあ仕方がない。
自然の絶景も素晴らしいが、知識ある者が芸術と言う概念を理解し、美しさを作ると言う想像もまた、心躍るとおもうのだけど……。まあ、芸術を見て感動する者は少ないのかもしれない。見かけは巨大な倉庫だが、石を巧みに使い、地面から一定の距離を上げて建物を作っている。芸術を口で言うのはとても難しい……。
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