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実家に向かう
ルパの知り合い
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「ん~。女がお店に入るのもおかしな話だよな~。ニクス君、入ってきて~」
「えぇ……。僕がですか? こんなお店に全く以て興味ないですよ……」
「…………」
シオンとルパ、青虎の視線が僕の下半身に寄せられる。
僕は何事かと思い、ローブで隠した。特に何もなっていなかったが、いったい何なんだ。
「ま、偵察しに行ってもらうだけだから。私はお忍びで入り込むよ。『迷彩』」
僕の目の前にいたシオンさんは突然消えた。どうやら、青虎さんの加護のようだ。
「じゃ、お店の中を探してくるね~。女の子を見つけたら連絡して。鉄首輪をしている女の子がいたらその子が攫われた子だと思うから、保護してね」
「わ、わかりました……」
シオンさんは一人でお店の中に入っていった。
「ルパ、外で待ってる?」
「行く! ニクスが他の女に鼻の下を伸ばさないか見てる!」
「はは……、だ、大丈夫だよ。多分……」
僕は獣族の少女を連れながら昼間の娼婦館に入った。何気に初めて入る。
「いらっしゃいませ。今日はようこそお越しくださいました」
綺麗な黒い燕尾服を着ている男性が礼儀正しくお辞儀をして来た。
「え、えっと……。昼間でもやっているんですね……」
「はい。夜の方が多くの方に来店していただいております。ですが、昼間の方が料金が安くなっておりますし、好きな娘を選べますよ」
「そ、そうですか……」
僕は男性から、小冊子を渡された。名前と意気込みしか乗っておらず、顔はわからない。ただ、種族名は書いており、人が七割、獣族が三割だ。
ルパは僕の持っている小冊子を奪い、眺める。
「え……。嘘……」
「どうしたの、ルパ?」
「ニクス、この子にして」
ルパは名前を指さして僕にみせた。
獣族の娼婦で、年齢は一六歳。意気込みに頑張ります、としか書かれておらず、選ばれる気が全く感じられない。
だが、僕はルパの切実な視線を見て、了承する。料金は金貨一枚。他の方を見るに安い値段だ。
「じゃ、じゃあ。ミア・アーレンという子をお願いします」
「了解しました。では、一九号室でお待ちください」
「わかりました」
僕は一九号室という場所に向かう前に、少女を探す。
ルパに匂いでも嗅がせておけば見つけられたと思うのだが、どこもかしこも部屋だらけで居場所がわからない。
――プルス、少女の居場所ってわかる?
「ん~、そうですね。気配からするに、多くの者が集まっている場所にいると思います。先ほどの男性が向かっている場所ですね」
「なるほど……」
僕は受付をしていた男性の背後についていく。娼婦の待合室とでも言うべき場所を確認した僕は一九号室に向った。
部屋に入ると大きなベッドがあり、カーテンが閉められているガラス製の窓が一枚。お風呂とトイレも完備されており、良い部屋だった。
「ルパ、何でミアって子を選んだの?」
「名前、知ってた。奴隷の時あったことあると思う。沢山の夢を語ってた……。私は聞き流してたけど、どうしているのか気になったの」
「そうなんだ……。同じ人物かはわからないけど同じ相手なら世間はほんと狭いね」
僕はルパの知り合いだと思われる子が来るのを待った。少しして、扉を叩く音がする。
「どうぞ」
「し、失礼します……。今回は……、選んでくださり、どうもありがとうございます……」
バスケットを持った女性……というか、女の子が入って来た。
身長は一四九センチメートルくらい。短髪の茶虎色が綺麗で耳がフサフサだが緊張からか立っている。
尻尾は細く、長い。身体つきは身長に見合わず、胸とおしりがものすごく大きい。
少しつり上がった猫目に、橙色っぽい綺麗な瞳、小さくもスッと高い鼻、顔が小さく誰が見ても可愛いといいそうだ。
服装は薄いキャミソールを着ており、布地が少ない下着を履いている。
「ミア……。やっぱり、ミアだ。うぅぅ……、ミア~!」
少女が入って来たさい、一番に動いたのはルパだった。
涙目になっても、匂いと顔で本人だと判断できたようだ。
「え、ど、どういうこと……。一九番ちゃん……」
ミアは目を丸くして慌てていた。いったいどういう状況なのか全くわかっていないようだ。
「うわぁ~ん! ミア、よかった~。生きてたんだね~!」
「え、えぇ……、えっと本当に一九番ちゃんなの?」
「うん。私だよ。奴隷番号一九番。名前は言ってなかったね……。私の名前はルパ。奴隷時代は沢山お世話してくれたのに、辛く当たってごめんね」
ルパはミアにあったとたん、自己紹介をして頭を下げて謝った。
「ルパちゃん……。鉄首輪もしてないし、すごく元気そう……。よかった、奴隷商に買われて行ったとき以来だよね」
ミアの首には鉄首輪がつけられていた。奴隷として今も働いているようだ。
「えっと、ルパちゃん。あの男の人は?」
「あの男は私の親友。今、一緒に旅をしてるの。旅をしている途中に胡散臭い女に会って攫われた子共を追ってここまで来たの」
「攫われた子共。もしかして、さっき部屋に着た子かな……」
ミアは少女に見覚えがあるそうだ。やはり、待合室にいると言うのは間違いないらしい。
「居場所はわかった。はてさてどうするか……」
僕は顎に手を置いて考えた。この後、少女を無理やり取り返すと言う手は流石に犯罪だ。なら、店主に会って交渉するしかない。
「じゃあ、ルパ。店主にあって交渉しに行くよ」
「えぇ! せっかくミアに会えたのに、こんなすぐお別れなんて嫌~!」
ルパはミアに抱き着いて離れなかった。
「はぁ、仕方ない。えっと、ミアでいいかな?」
「は、はい。好きなように呼んでください」
ミアは頭をぺこりと下げて了承してくれた。
「初めまして、僕の名前はニクス・フレイズ。ルパの親友だよ。こっちの赤いヒヨコがプルス。火を吐くんだ」
僕はプルスを手の平の上に乗せてミアに見せた。
「ぴよ~。プルスです。食べ物じゃありませんよ」
プルスは羽を広げて紳士に挨拶をした。
「えぇ……。僕がですか? こんなお店に全く以て興味ないですよ……」
「…………」
シオンとルパ、青虎の視線が僕の下半身に寄せられる。
僕は何事かと思い、ローブで隠した。特に何もなっていなかったが、いったい何なんだ。
「ま、偵察しに行ってもらうだけだから。私はお忍びで入り込むよ。『迷彩』」
僕の目の前にいたシオンさんは突然消えた。どうやら、青虎さんの加護のようだ。
「じゃ、お店の中を探してくるね~。女の子を見つけたら連絡して。鉄首輪をしている女の子がいたらその子が攫われた子だと思うから、保護してね」
「わ、わかりました……」
シオンさんは一人でお店の中に入っていった。
「ルパ、外で待ってる?」
「行く! ニクスが他の女に鼻の下を伸ばさないか見てる!」
「はは……、だ、大丈夫だよ。多分……」
僕は獣族の少女を連れながら昼間の娼婦館に入った。何気に初めて入る。
「いらっしゃいませ。今日はようこそお越しくださいました」
綺麗な黒い燕尾服を着ている男性が礼儀正しくお辞儀をして来た。
「え、えっと……。昼間でもやっているんですね……」
「はい。夜の方が多くの方に来店していただいております。ですが、昼間の方が料金が安くなっておりますし、好きな娘を選べますよ」
「そ、そうですか……」
僕は男性から、小冊子を渡された。名前と意気込みしか乗っておらず、顔はわからない。ただ、種族名は書いており、人が七割、獣族が三割だ。
ルパは僕の持っている小冊子を奪い、眺める。
「え……。嘘……」
「どうしたの、ルパ?」
「ニクス、この子にして」
ルパは名前を指さして僕にみせた。
獣族の娼婦で、年齢は一六歳。意気込みに頑張ります、としか書かれておらず、選ばれる気が全く感じられない。
だが、僕はルパの切実な視線を見て、了承する。料金は金貨一枚。他の方を見るに安い値段だ。
「じゃ、じゃあ。ミア・アーレンという子をお願いします」
「了解しました。では、一九号室でお待ちください」
「わかりました」
僕は一九号室という場所に向かう前に、少女を探す。
ルパに匂いでも嗅がせておけば見つけられたと思うのだが、どこもかしこも部屋だらけで居場所がわからない。
――プルス、少女の居場所ってわかる?
「ん~、そうですね。気配からするに、多くの者が集まっている場所にいると思います。先ほどの男性が向かっている場所ですね」
「なるほど……」
僕は受付をしていた男性の背後についていく。娼婦の待合室とでも言うべき場所を確認した僕は一九号室に向った。
部屋に入ると大きなベッドがあり、カーテンが閉められているガラス製の窓が一枚。お風呂とトイレも完備されており、良い部屋だった。
「ルパ、何でミアって子を選んだの?」
「名前、知ってた。奴隷の時あったことあると思う。沢山の夢を語ってた……。私は聞き流してたけど、どうしているのか気になったの」
「そうなんだ……。同じ人物かはわからないけど同じ相手なら世間はほんと狭いね」
僕はルパの知り合いだと思われる子が来るのを待った。少しして、扉を叩く音がする。
「どうぞ」
「し、失礼します……。今回は……、選んでくださり、どうもありがとうございます……」
バスケットを持った女性……というか、女の子が入って来た。
身長は一四九センチメートルくらい。短髪の茶虎色が綺麗で耳がフサフサだが緊張からか立っている。
尻尾は細く、長い。身体つきは身長に見合わず、胸とおしりがものすごく大きい。
少しつり上がった猫目に、橙色っぽい綺麗な瞳、小さくもスッと高い鼻、顔が小さく誰が見ても可愛いといいそうだ。
服装は薄いキャミソールを着ており、布地が少ない下着を履いている。
「ミア……。やっぱり、ミアだ。うぅぅ……、ミア~!」
少女が入って来たさい、一番に動いたのはルパだった。
涙目になっても、匂いと顔で本人だと判断できたようだ。
「え、ど、どういうこと……。一九番ちゃん……」
ミアは目を丸くして慌てていた。いったいどういう状況なのか全くわかっていないようだ。
「うわぁ~ん! ミア、よかった~。生きてたんだね~!」
「え、えぇ……、えっと本当に一九番ちゃんなの?」
「うん。私だよ。奴隷番号一九番。名前は言ってなかったね……。私の名前はルパ。奴隷時代は沢山お世話してくれたのに、辛く当たってごめんね」
ルパはミアにあったとたん、自己紹介をして頭を下げて謝った。
「ルパちゃん……。鉄首輪もしてないし、すごく元気そう……。よかった、奴隷商に買われて行ったとき以来だよね」
ミアの首には鉄首輪がつけられていた。奴隷として今も働いているようだ。
「えっと、ルパちゃん。あの男の人は?」
「あの男は私の親友。今、一緒に旅をしてるの。旅をしている途中に胡散臭い女に会って攫われた子共を追ってここまで来たの」
「攫われた子共。もしかして、さっき部屋に着た子かな……」
ミアは少女に見覚えがあるそうだ。やはり、待合室にいると言うのは間違いないらしい。
「居場所はわかった。はてさてどうするか……」
僕は顎に手を置いて考えた。この後、少女を無理やり取り返すと言う手は流石に犯罪だ。なら、店主に会って交渉するしかない。
「じゃあ、ルパ。店主にあって交渉しに行くよ」
「えぇ! せっかくミアに会えたのに、こんなすぐお別れなんて嫌~!」
ルパはミアに抱き着いて離れなかった。
「はぁ、仕方ない。えっと、ミアでいいかな?」
「は、はい。好きなように呼んでください」
ミアは頭をぺこりと下げて了承してくれた。
「初めまして、僕の名前はニクス・フレイズ。ルパの親友だよ。こっちの赤いヒヨコがプルス。火を吐くんだ」
僕はプルスを手の平の上に乗せてミアに見せた。
「ぴよ~。プルスです。食べ物じゃありませんよ」
プルスは羽を広げて紳士に挨拶をした。
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