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38話:コーラシル砦攻防戦2
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砦に到着し作戦を言い渡されたのでルーナにも作戦を伝え、ルーナが索敵、私が狙撃という今までの役割は変更せずに行くことになった。
「とはいえ、ミリア様は一度お休みなってください。明日陽が出てからは忙しくなるでしょう」
「そんなに進軍速度が速いかしら?」
「斥候が来る可能性が高いでしょう。それを撃ち漏らさず倒すことも仕事かと」
なるほど、情報を持って帰らせないわけか。
斥候が帰ってこないことが私がいるということの証明になりそうな気もするけれど…
「どちらにせよ帝国軍が砦を攻める位置に来るには最低でも、さらに1日は猶予があるはずです」
「それまでにどれだけ相手を減らせるか…ね」
「ミリア様、とはいえ気楽にいきましょう。ミリア様以外にも腕の立つものがおりますから」
たしかに、この砦にはお母様のおかげでマスケットによる200m程度の狙撃が出来るものがいる。
ライフルを持っていれば500m以上の狙撃だって可能だろう。
それにこっちは砦から撃ち下ろす形になるので余計に有利だ。
むしろ1発外したって再度撃てばいいぐらいの気持ちでいるべきだろう。
私はとにかくこの日の夜は体を休めることに注力した。
*****
翌朝は快晴だった。
雲一つない青空…肉眼では難しいが遠くの方で煙が上がっている。
帝国軍の駐留場所だろうか?
私とルーナは砦の塔の上に陣取り周囲を警戒する。
帝国方面からコーラシル川を超えるためには船かここコーラシル砦しかないので、主戦場はここ以外にあり得ない。
そして、コーラシル砦の対岸は平原が広がっており木々はほとんどない。
大変見晴らしがよく人影はめだつのだ。
「距離およそ3,000に帝国兵が見えます」
双眼鏡を構え周囲を警戒していたルーナが声をかけてくる。
「斥候?」
「そのようです。さすがにこの距離では狙撃は無理でしょう。遠巻きにこちらを観測しているようです」
なるほど、大砲類の数や壁の高さならばある程度距離が離れていても確認ができる。
斥候が自分の位置から砦までの距離を分かっていればの話だが、それでも情報にはなる。
「撃てないのが歯がゆいわ」
「帝国も長距離からの狙撃に警戒しているのでしょう」
間違いなくそうだろう。
私達は敵斥候をかなり倒してきたから…
「!一人匍匐で近づいてくる敵兵を発見しました」
「どこ!?」
「あの小さい草藪にいます」
私が目を凝らせば確かに小さな人影がある。
「敵に城壁の高さなどの詳細を知られる可能性があるわね…狙うわ」
「ミリア様、距離800、風速3、方位5時です」
私は頷いて銃を構ええる。
棟の石積みの間から銃口を出してアイアンサイトでねらいをつける。
細かな狙いは無理だが、アイアンサイトガードの中に人影をとらえた。
パスッ!
だが、外したらしい。
私はすぐに次弾を装填する。
急遽持たせてもらったライフルにサイレンサーも付けなおしてもらった。
どうやらあれにもダメージが入っていたらしく、新しいものが付いてる。
おかげで銃の癖が前とだいぶ違う。
それでもマスケットに比べれば素直に狙ったところに飛んでいくんだけれど…
「敵逃げていきます」
「大丈夫見えてる!」
サイトから目を離してしまった為、今一度構えなおす。
大きく息を吸い呼吸を落ち着かせてから息を止める。
鼓動がうるさい。
バスッ!!
後方へ逃げようとしていた斥候が倒れる。
だがまだ動いているように見えた。
「下半身に当たったようです」
「止めを刺す」
構えたままで次弾を装填する。
もう少し上か…
バスッ
今度こそ敵斥候は動かなくなった。
「お見事ですミリア様」
「3発も使ったわ…それにスコープと違って狙いにくい」
私が愚痴を言っている間にルーナはスコアを記載していた。
この日、私を含めたコーラシル砦の狙撃チームは帝国軍斥候を砦から500mの距離に一切近づけなかった。
「とはいえ、ミリア様は一度お休みなってください。明日陽が出てからは忙しくなるでしょう」
「そんなに進軍速度が速いかしら?」
「斥候が来る可能性が高いでしょう。それを撃ち漏らさず倒すことも仕事かと」
なるほど、情報を持って帰らせないわけか。
斥候が帰ってこないことが私がいるということの証明になりそうな気もするけれど…
「どちらにせよ帝国軍が砦を攻める位置に来るには最低でも、さらに1日は猶予があるはずです」
「それまでにどれだけ相手を減らせるか…ね」
「ミリア様、とはいえ気楽にいきましょう。ミリア様以外にも腕の立つものがおりますから」
たしかに、この砦にはお母様のおかげでマスケットによる200m程度の狙撃が出来るものがいる。
ライフルを持っていれば500m以上の狙撃だって可能だろう。
それにこっちは砦から撃ち下ろす形になるので余計に有利だ。
むしろ1発外したって再度撃てばいいぐらいの気持ちでいるべきだろう。
私はとにかくこの日の夜は体を休めることに注力した。
*****
翌朝は快晴だった。
雲一つない青空…肉眼では難しいが遠くの方で煙が上がっている。
帝国軍の駐留場所だろうか?
私とルーナは砦の塔の上に陣取り周囲を警戒する。
帝国方面からコーラシル川を超えるためには船かここコーラシル砦しかないので、主戦場はここ以外にあり得ない。
そして、コーラシル砦の対岸は平原が広がっており木々はほとんどない。
大変見晴らしがよく人影はめだつのだ。
「距離およそ3,000に帝国兵が見えます」
双眼鏡を構え周囲を警戒していたルーナが声をかけてくる。
「斥候?」
「そのようです。さすがにこの距離では狙撃は無理でしょう。遠巻きにこちらを観測しているようです」
なるほど、大砲類の数や壁の高さならばある程度距離が離れていても確認ができる。
斥候が自分の位置から砦までの距離を分かっていればの話だが、それでも情報にはなる。
「撃てないのが歯がゆいわ」
「帝国も長距離からの狙撃に警戒しているのでしょう」
間違いなくそうだろう。
私達は敵斥候をかなり倒してきたから…
「!一人匍匐で近づいてくる敵兵を発見しました」
「どこ!?」
「あの小さい草藪にいます」
私が目を凝らせば確かに小さな人影がある。
「敵に城壁の高さなどの詳細を知られる可能性があるわね…狙うわ」
「ミリア様、距離800、風速3、方位5時です」
私は頷いて銃を構ええる。
棟の石積みの間から銃口を出してアイアンサイトでねらいをつける。
細かな狙いは無理だが、アイアンサイトガードの中に人影をとらえた。
パスッ!
だが、外したらしい。
私はすぐに次弾を装填する。
急遽持たせてもらったライフルにサイレンサーも付けなおしてもらった。
どうやらあれにもダメージが入っていたらしく、新しいものが付いてる。
おかげで銃の癖が前とだいぶ違う。
それでもマスケットに比べれば素直に狙ったところに飛んでいくんだけれど…
「敵逃げていきます」
「大丈夫見えてる!」
サイトから目を離してしまった為、今一度構えなおす。
大きく息を吸い呼吸を落ち着かせてから息を止める。
鼓動がうるさい。
バスッ!!
後方へ逃げようとしていた斥候が倒れる。
だがまだ動いているように見えた。
「下半身に当たったようです」
「止めを刺す」
構えたままで次弾を装填する。
もう少し上か…
バスッ
今度こそ敵斥候は動かなくなった。
「お見事ですミリア様」
「3発も使ったわ…それにスコープと違って狙いにくい」
私が愚痴を言っている間にルーナはスコアを記載していた。
この日、私を含めたコーラシル砦の狙撃チームは帝国軍斥候を砦から500mの距離に一切近づけなかった。
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