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本編第七話 村人とヒルメ
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川の流れは数日囂々と荒れ狂い、さすがにどんなに勇気や度胸がある人間でも、この川をつたない橋を頼りに渡ろうとは思わなかっただろう。
ヒルメも、少しばかり食料の在庫を気にしながら、学校に行けない間のタマヨリの勉強を見つつ、機織りを続けていた。
そして三日後、ようやく川の流れはある程度まで落ち着き、ヒルメはじれていたタマヨリと一緒に、村に行く事にしたのだ。
無論用件は、食事の材料を交換する事、それからうわさ話を聞く事である。
彼女とて、外の世界を何も知らない、無知ではいられないと知っていたからだ。
それに……彼女は自分の今までの人生がどんなものかをわかっていて、それゆえに、何も知らない事がどれだけ自分に不利をもたらすのか、も知っていた。
そのため、彼女は籠一杯の布を持って、村に向かったわけである。
「やあ、ヒルメさん。やっと川の流れも落ち着いたのかい」
「こんにちはサガキさん。ええ、やっと川の流れも緩やかになってきたから、タマヨリを学校に行かせられる事が出来るようになったの」
「それにあんたもこうして、物々交換に出られるようになったってわけか」
サガキという村の男の言葉に、ヒルメは頷いた。
「それにしても、あの、小さかったおちび君が学校に行っているなんて、感慨深いものがあるな」
サガキは畑仕事のとちゅうで、休憩がてらヒルメを会話をするつもりらしい。
ヒルメはそれを嫌だと思う事もなく、笑顔で受け答えする。
「ええ、そうですね。前まであんなに小さくて、抱いていなければ危なかった子供が、こんなに大きくなって……学校にまで行くようになって。月日がたつ事はこんなに早い物なのか、と思ってしまう位だわ」
そう、タマヨリは生まれた時、一般的な子供の大きさよりも、ずいぶん小さく生まれたのだ。
そのため、一時は育たないのではないか、と村の産婆さんたちに言われたのだ。
「あの子の名前が、あの子を守ったのかもしれないわ」
「タマヨリってのは、確か異国の、神様に見初められた姫君の名前だったっけか?」
「ええ、その国では、その言霊の呪力にあやかる事も多いと聞いていたので、あの子を守るように祈りを込めて、タマヨリ、と名前を付けたの」
「そんだけ愛されてるってのはいい事だな」
うんうん、と頷いたサガキが問いかけて来る。
「相も変わらず、旦那さんは白の森に入り浸っているのかい?」
「それがあの人の仕事ですもの、おかげで急に必要なものが出来た時も、蓄えのおかげで困らずに済んでいるわ」
サガキの言葉は少しばかり含みがあったのだが、ヒルメはそれに気付かない。
気付かずに、にこにこと受け答えするために、サガキはそれ以上何か含みを持たせた会話が出来なかった。
サガキはヒルメがこの村に来た時から知っている。
そしてヒルメが、白の森のはずれの家に、引っ越すまでの数週間を、はっきりと覚えていた。
遠くの街道からやってきた彼女は、はじめはまあ、何と場違いな娘がやってきたものだ、と思ったのだ。
それは事実でしかない。
ヒルメはやつれてやせ細り、腹は子供がいるからこそ大きく張り出していて、それなのにどこかの名家の育ち、という事が匂い立っている娘だったのだ。
そう思う理由は些細な物が多く、物腰、髪を耳に掛ける時の仕草、笑い声をあげる時の調子、そんな物が、田舎の村の女たちとはかけ離れていたのだ。
抜群に上品、というのが正しいだろう。気取っているととらえられがちなそれらはしかし、ヒルメの全てがそうであったがゆえに、気取っているとさえ思えなかった。
彼女はそれだけ洗練された教育を受けてきたのだ、と村の誰もが思ったに違いない。
田舎の村まで伝えられる、町の貴婦人たちは才媛、美女が多い。
しかしヒルメは顔に痘痕の残る、あまり美人とは言い難い面差しの娘だった。
しかし振る舞いのすべてが、それらを覆すので、痘痕を嘲笑う奴なんて村に一人もいなかった。
村にやってきた彼女は、それだけで精魂尽き果てたように、体を壊し、村の宿屋の一室を借りて、寝込んでばかりだった。
そんな彼女の世話を焼いたのは、村の年寄りたちだった。
彼等は、胎の大きく膨れた、臨月も間近に近いだろう、訳ありの娘に、優しく接したのだ。
若い村人たちが、口さがなくあれこれ詮索するのとは対照的に。
何故ならば、年寄りが若かったころは、こんな田舎にも戦火の炎が迫っていて、訳ありの妊婦なんてものは、吐いて捨てるほどいたのだ。
そのため年寄りたちは、訳ありの娘に優しくするという事が、骨身にしみた習慣だったのだ。
若いのに苦労しているらしい、妊婦。そう思われていたヒルメは、何かにつけて話しに来る彼等に感謝しながら、彼等の長い昔話に付き合っていた物だ。
若い聞き手に飢えていた年寄りたちは、彼女が話を聞いてくれると気付いてからは、宿屋の一室を茶飲み場のようにしていた。
そうして年寄りたちが彼女のもとに入り浸るようになると、意外な所に影響が出たのだ。
それは嫁姑問題など、家族間の軋轢が和らいだ事である。
ヒルメと話をするだけで、年寄りたちは穏やかになったのだ。
その結果、家族が崩壊するのでは、と危ぶまれていた家でさえ、なんだか穏やかな空気が流れる事もあったくらいだ。
正体不明の娘だが、彼女と接すると、年寄が心穏やかに過ごせる。
若い村人たちは、そう気づくと、ヒルメにずっと優しくなった。
そして、ヒルメのもとに来て、話を聞いてもらうと、心が軽くなるという事実に気付いたのだ。
彼女は穏やかな陽だまりのような雰囲気で、皆の声を聞いていたのだ。
そんな彼女が、白の森の入り口に行く、となった時、村の誰もが、そんな危ない所に行くなんてよくない、と反対した。それより村で暮らした方がいい、と。
だがヒルメは決して、彼等の言葉にうんと言わなかった。
「ヒハヤがいるから大丈夫よ」
そう言って、夫とともに移り住んだのだ。
確かにヒハヤは抜群に強い男だった。でもそれとこれとは話が別だ、ヒルメはこれから子供を産んで育てるのだ。
か弱い女があの森の入り口で、周りの助けをほとんど借りずに、赤子と暮らすなんてとんでもない。
村人たちの説得を聞いても、白の森に近いと寿命が縮むと脅されても、ヒルメは決意を変えたりしなかった。
それからもう、七年もたっているのだ。
村人たちは、三年目のあたりで、彼女が子供を置いて死んでしまうのでは、と危ぶんでいたのだが、ヒルメは元気で、タマヨリも活発な子供に育ったわけだ。
白の森の影響を受けない、不思議な親子だ、と村の誰もが口には出さないけれど思っていた。
「さて、そろそろ村の万事屋に行かなくてはね」
ヒルメは籠を持ち直した。
「そうだ、ヒルメさん、うちのかみさんがな、タマヨリと一緒に夕飯を食べて行けって言っていたぞ、今日なんてどうだ?」
「まあ、うれしいお誘い。でもヒハヤがいつ帰って来るかわからないわ。彼が帰ってきた時に、家に私たちがいなかったら大変でしょう? ほら、以前お食事させてもらった時に、火はやったら血相変えて」
彼女がやんわりと断ると、サガキはううん、と唸った。
「残念だ、でも確かにそうだったな、あの時の旦那は、夢にちょっとでも出てきてほしくない」
苦笑いをしたサガキである。彼に手を振って、ヒルメはまた村の中を歩きだす。
そうすると、彼女に誰もが、声をかけてくれるのだ。
「こんにちは、ヒルメ!」
元気のいい村娘が手を振った。
「こんにちは、ヒルメちゃん」
母親として先輩の女性にこやかに声をかけて来る。
「この前の雨はすごかったな、橋は大丈夫だったかい、ヒルメさん」
杖を突く翁が話しかけて来る。
「ヒルメおばさん、タマヨリ兄ちゃんに遊びに来てっていってよ!」
まだ学校に行かない年頃の子供が声をかけて来る。
そんな彼等に、彼女は穏やかな微笑みとあいさつを返すのだ。
この村って何ていい人たちが多いんだろう。
ヒルメは心の底から思いつつ、万事屋へ進んだ。
いつも通り、万事屋は色々なものが物々交換されるため、雑然とした店内であった。
ヒルメも、少しばかり食料の在庫を気にしながら、学校に行けない間のタマヨリの勉強を見つつ、機織りを続けていた。
そして三日後、ようやく川の流れはある程度まで落ち着き、ヒルメはじれていたタマヨリと一緒に、村に行く事にしたのだ。
無論用件は、食事の材料を交換する事、それからうわさ話を聞く事である。
彼女とて、外の世界を何も知らない、無知ではいられないと知っていたからだ。
それに……彼女は自分の今までの人生がどんなものかをわかっていて、それゆえに、何も知らない事がどれだけ自分に不利をもたらすのか、も知っていた。
そのため、彼女は籠一杯の布を持って、村に向かったわけである。
「やあ、ヒルメさん。やっと川の流れも落ち着いたのかい」
「こんにちはサガキさん。ええ、やっと川の流れも緩やかになってきたから、タマヨリを学校に行かせられる事が出来るようになったの」
「それにあんたもこうして、物々交換に出られるようになったってわけか」
サガキという村の男の言葉に、ヒルメは頷いた。
「それにしても、あの、小さかったおちび君が学校に行っているなんて、感慨深いものがあるな」
サガキは畑仕事のとちゅうで、休憩がてらヒルメを会話をするつもりらしい。
ヒルメはそれを嫌だと思う事もなく、笑顔で受け答えする。
「ええ、そうですね。前まであんなに小さくて、抱いていなければ危なかった子供が、こんなに大きくなって……学校にまで行くようになって。月日がたつ事はこんなに早い物なのか、と思ってしまう位だわ」
そう、タマヨリは生まれた時、一般的な子供の大きさよりも、ずいぶん小さく生まれたのだ。
そのため、一時は育たないのではないか、と村の産婆さんたちに言われたのだ。
「あの子の名前が、あの子を守ったのかもしれないわ」
「タマヨリってのは、確か異国の、神様に見初められた姫君の名前だったっけか?」
「ええ、その国では、その言霊の呪力にあやかる事も多いと聞いていたので、あの子を守るように祈りを込めて、タマヨリ、と名前を付けたの」
「そんだけ愛されてるってのはいい事だな」
うんうん、と頷いたサガキが問いかけて来る。
「相も変わらず、旦那さんは白の森に入り浸っているのかい?」
「それがあの人の仕事ですもの、おかげで急に必要なものが出来た時も、蓄えのおかげで困らずに済んでいるわ」
サガキの言葉は少しばかり含みがあったのだが、ヒルメはそれに気付かない。
気付かずに、にこにこと受け答えするために、サガキはそれ以上何か含みを持たせた会話が出来なかった。
サガキはヒルメがこの村に来た時から知っている。
そしてヒルメが、白の森のはずれの家に、引っ越すまでの数週間を、はっきりと覚えていた。
遠くの街道からやってきた彼女は、はじめはまあ、何と場違いな娘がやってきたものだ、と思ったのだ。
それは事実でしかない。
ヒルメはやつれてやせ細り、腹は子供がいるからこそ大きく張り出していて、それなのにどこかの名家の育ち、という事が匂い立っている娘だったのだ。
そう思う理由は些細な物が多く、物腰、髪を耳に掛ける時の仕草、笑い声をあげる時の調子、そんな物が、田舎の村の女たちとはかけ離れていたのだ。
抜群に上品、というのが正しいだろう。気取っているととらえられがちなそれらはしかし、ヒルメの全てがそうであったがゆえに、気取っているとさえ思えなかった。
彼女はそれだけ洗練された教育を受けてきたのだ、と村の誰もが思ったに違いない。
田舎の村まで伝えられる、町の貴婦人たちは才媛、美女が多い。
しかしヒルメは顔に痘痕の残る、あまり美人とは言い難い面差しの娘だった。
しかし振る舞いのすべてが、それらを覆すので、痘痕を嘲笑う奴なんて村に一人もいなかった。
村にやってきた彼女は、それだけで精魂尽き果てたように、体を壊し、村の宿屋の一室を借りて、寝込んでばかりだった。
そんな彼女の世話を焼いたのは、村の年寄りたちだった。
彼等は、胎の大きく膨れた、臨月も間近に近いだろう、訳ありの娘に、優しく接したのだ。
若い村人たちが、口さがなくあれこれ詮索するのとは対照的に。
何故ならば、年寄りが若かったころは、こんな田舎にも戦火の炎が迫っていて、訳ありの妊婦なんてものは、吐いて捨てるほどいたのだ。
そのため年寄りたちは、訳ありの娘に優しくするという事が、骨身にしみた習慣だったのだ。
若いのに苦労しているらしい、妊婦。そう思われていたヒルメは、何かにつけて話しに来る彼等に感謝しながら、彼等の長い昔話に付き合っていた物だ。
若い聞き手に飢えていた年寄りたちは、彼女が話を聞いてくれると気付いてからは、宿屋の一室を茶飲み場のようにしていた。
そうして年寄りたちが彼女のもとに入り浸るようになると、意外な所に影響が出たのだ。
それは嫁姑問題など、家族間の軋轢が和らいだ事である。
ヒルメと話をするだけで、年寄りたちは穏やかになったのだ。
その結果、家族が崩壊するのでは、と危ぶまれていた家でさえ、なんだか穏やかな空気が流れる事もあったくらいだ。
正体不明の娘だが、彼女と接すると、年寄が心穏やかに過ごせる。
若い村人たちは、そう気づくと、ヒルメにずっと優しくなった。
そして、ヒルメのもとに来て、話を聞いてもらうと、心が軽くなるという事実に気付いたのだ。
彼女は穏やかな陽だまりのような雰囲気で、皆の声を聞いていたのだ。
そんな彼女が、白の森の入り口に行く、となった時、村の誰もが、そんな危ない所に行くなんてよくない、と反対した。それより村で暮らした方がいい、と。
だがヒルメは決して、彼等の言葉にうんと言わなかった。
「ヒハヤがいるから大丈夫よ」
そう言って、夫とともに移り住んだのだ。
確かにヒハヤは抜群に強い男だった。でもそれとこれとは話が別だ、ヒルメはこれから子供を産んで育てるのだ。
か弱い女があの森の入り口で、周りの助けをほとんど借りずに、赤子と暮らすなんてとんでもない。
村人たちの説得を聞いても、白の森に近いと寿命が縮むと脅されても、ヒルメは決意を変えたりしなかった。
それからもう、七年もたっているのだ。
村人たちは、三年目のあたりで、彼女が子供を置いて死んでしまうのでは、と危ぶんでいたのだが、ヒルメは元気で、タマヨリも活発な子供に育ったわけだ。
白の森の影響を受けない、不思議な親子だ、と村の誰もが口には出さないけれど思っていた。
「さて、そろそろ村の万事屋に行かなくてはね」
ヒルメは籠を持ち直した。
「そうだ、ヒルメさん、うちのかみさんがな、タマヨリと一緒に夕飯を食べて行けって言っていたぞ、今日なんてどうだ?」
「まあ、うれしいお誘い。でもヒハヤがいつ帰って来るかわからないわ。彼が帰ってきた時に、家に私たちがいなかったら大変でしょう? ほら、以前お食事させてもらった時に、火はやったら血相変えて」
彼女がやんわりと断ると、サガキはううん、と唸った。
「残念だ、でも確かにそうだったな、あの時の旦那は、夢にちょっとでも出てきてほしくない」
苦笑いをしたサガキである。彼に手を振って、ヒルメはまた村の中を歩きだす。
そうすると、彼女に誰もが、声をかけてくれるのだ。
「こんにちは、ヒルメ!」
元気のいい村娘が手を振った。
「こんにちは、ヒルメちゃん」
母親として先輩の女性にこやかに声をかけて来る。
「この前の雨はすごかったな、橋は大丈夫だったかい、ヒルメさん」
杖を突く翁が話しかけて来る。
「ヒルメおばさん、タマヨリ兄ちゃんに遊びに来てっていってよ!」
まだ学校に行かない年頃の子供が声をかけて来る。
そんな彼等に、彼女は穏やかな微笑みとあいさつを返すのだ。
この村って何ていい人たちが多いんだろう。
ヒルメは心の底から思いつつ、万事屋へ進んだ。
いつも通り、万事屋は色々なものが物々交換されるため、雑然とした店内であった。
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