人魚の国

ちょこチョコ

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美しい島

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「美の島」
そう呼ばれていたのが、私の母国だ。
 

真っ赤に燃える太陽と、綺麗な青い海、緑生い茂る中に白い色の平屋根の家が段々と建っている。どこか、貴族の暮らしを彷彿とさせる。
人々は活気溢れ、子供は元気に森に入り、虫や妖精なんかを取ってくる。そのまま飼うのが殆どだ。私も1度だけ飼ったことがあるあの時はクワガタムシだっただろうか?
 そんなことを考え、裏口から家に入る途中に男の人の声がする

「いやはや、この国はいいものですな。何処も彼処も綺麗な島ですね。観光は始めてですが、来るのは2度目でね、前に来たときには仕事が忙しくて見ている暇もありませんでしたよ」

ちらっと、店の方をみると小太りに黒色のハット帽を被った男の人笑っていた。お母さんが「そうですか、ゆっくりしていってくださいね」と言い、注文を受け取る
 私の家は海の近くにある小料理屋だ。お父さんが厨房でお母さんが接客、私もたまに手伝っている。他の従業員の人達は昔お母さんが教師をやっていた頃の教え子達で、まだまだみんな若い。これものおかげなんだろうか

「カノー?ユリちゃん達よー?」

お母さんが裏口から入ってくると、私のいる2階に向けて叫ぶ。今日はユリとヒナの補習が終わったら一緒に遊ぶ約束をしてたのだ

───────────────────────

「カノはさ、魚肉式ギョニクシキの日にち決まった?」
「え?決めてないよ~ヒナ、もう決めたの?」
「ううん、決めてなーい。ンフフ、だって面倒じゃん?ユリは?」

私達3人は、家のすぐ近くの砂浜の近くにある灯台の下でアイス片手に話していた。ここ最近また、気温が上がった気がする。確か、最高気温は30度を超えたらしい

「ウチは決めたよ!来月の9日!今から楽しみなんだー」
「えー嘘~、楽しみだけどさ毎年毎年その日に食べないとなんだよー?あとのこと考えたら大変じゃない?」
「いやいや、だって美味しんだよ?

        人魚の刺身

                    って」

この国では、18になる年に人魚を食べる。人魚は市場で毎朝新鮮なものが売っているから、《魚肉式》ではそれを買って食べるのだ。
《魚肉式》をする意味としてはこの国の美しさを保つためだ。人魚を食べると不老不死になるという噂が外国にはあるらしいが、あながち間違っていない。不老不死とまではいかなくとも、老いの進行を著しく低下させられるのだ。事実、私のお母さんがまわりの男の子達と同じくらいに見えるのも「人魚の刺身」を一年に一回、《魚肉式》の日に食べてるからだ。

「確かにね~、あたしも早めに決めちゃおっかな~」
「絶対その方がいいよ!ね?カノも早めの方がいいよ!」
「うーん、そうかな……」

私は溶け始めたアイスを急いで食べながら、何となくの空返事をした
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