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誤解

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 少し走って、近くの公園で息を整えていたら、さっきの女の子が1人できた。
「あっ、………あやちゃんだっけ?」
「ふん!あんたにあやちゃんなんて呼ばれたくない!」
「ご、ごめんなさい。」
「流唯兄は、優しいからあんたみたいなババアと話してるだけだから!勘違いしないで!!」
「……は、はぁ。」
「二度と流唯兄に近づかないで!!」
「えっと……、それは無理かな。」
「なっ!流唯兄は、私のものなの!あんたなんか、流唯兄が相手にするわけない!」
「そうだね、でも、私にとっても山田さんは、とても大切な人なんだ。だから、近づかないのは、無理かな。」
「……あんたみたいなブスが流唯兄の近くにいるのが許せないの!!どーせ、ふられるんだから、さっさと諦めて二度と会わないで!!」
「あっ……………。」
「えっ?」
 山田さんがあやちゃんのすぐ裏に立っている。
「あやちゃん、陽菜さんを悪く言うのはやめてくれないか?俺にとって、陽菜さんは大切な人なんだ。」
「だ、だって、こんなの流唯兄に釣り合わない!!」
「釣り合うとか、そんな事はどうでもいいんだ。俺は、陽菜さんが好きなんだ。あやちゃんの事は妹みたいに大切に思ってるよ。でも、陽菜さんを苦しめるような事を言うのは許さない。」
「………ごめんなさい。」
「俺じゃなくて、陽菜さんに謝って。」
「ご、ごめんなさい。でも、やっぱり嫌だもん!!流唯兄が他の女といる所なんか見たくないもん!!」
「はははは、それは困るなぁ~。今から陽菜さんに告白しようと思ってるのに。」
「………流唯兄の、バカーーー!!!」

 あやちゃんは、走って行ってしまった。
「追いかけなくていいの?」
「はい、大丈夫です。優しい良い子なんですがひとりっ子だからかわがままな所があって……。俺に関しては、かなりわがままで小学校の頃から学校を休んだ俺にプリントを届けに来てくれた女の子を追い返したり、部活の事で話してたら割り込んで来て邪魔したり……。はぁ~。」
「そうなんだ……。あやちゃんは、山田さんが大好きなんですね。」
「うーん、俺がというか、俺の顔が好きだとずっと言ってたな。」
「まぁ、山田さんカッコイイからわかるけど……。」
「でも、顔が好きって言われても、あんまり嬉しくないかな。初めて会った人に告白されたりした事もあって、俺の何を知ってるんだよ!!って。」
「……カッコイイ人には、そんな悩みがあるんですね……。」
「あの、もぅ暗いし寒いから俺の家に来ませんか?」
「は、はい。じゃあ、お邪魔します。」

 2人で並んで歩いて山田さんの部屋まで行く。
 初めて上がるけど、和室が一部屋と、キッチンダイニングと、お風呂とトイレがある部屋だった。
 
「あ、適当に座っててください。」
「はい。」

 山田さんが珈琲を淹れてくれた。

「あの、俺聞こえてしまって……、陽菜さんが俺の事、大事って言ってくれたの。」
「……あっ、うん。………本当はね、今日たまたまあやちゃんと山田さんが2人で腕組んで歩いてるの見てしまって、なんかモヤモヤして、友達のゆみに相談したんだ。そんなにモヤモヤしてるなら山田さんに直接聞いてきたら?って言われて………だから、急に来てしまって、ごめんなさい。」
「そうだったんですね。あの、俺はあやちゃんにも言ったけど、陽菜さんの事を恋愛対象として好きです。陽菜さんの俺が大切って思いは、恋愛の大切ですか?それとも、友達や弟みたいな大切ですか?」
「………私は、あやちゃんと楽しそうにしてる山田さんを見て、なんだか嫌だった。今まで、あまり気にしてなかったけど、私は山田さんが好きなんだと、今日気付いでしまいました。」
「じゃあ、俺と付き合ってもらえますか?」
「はい……よろしくお願いします。」
「やったーー!!!」

 その後、少しおしゃべりして帰った。
 なんだかふわふわしてて、どうやって帰ったか覚えていない。
 気づいたら、スマホに明日のデート楽しみにしてますと山田さんからメッセージが来ていた。

 あぁ、幸せ~、夢みたい………。

 日曜日、朝待ち合わせをして今日は初めての水族館デートをすることになった。
「こんにちは。」
「…こんにちは。」
「……なんか、照れる。」
「私も…。」
「行こっか!」

 今までも2人で会ってたのに、今日は、ドキドキしてうまく話せない。
 
 途中、人混みではぐれそうになったから山田さんが手を繋いでくれた。顔が熱い!!!
 イルカショーを見たり、ペンギンの餌やりを見たりしながら楽しい時間は、あっと言う間に過ぎてしまった。帰りにお土産ショップに寄ると、山田さんがお揃いにしようとイルカのキーホルダーを買ってくれた。
「こんなおもちゃでごめんね。」
「ううん、すっごく嬉しい!!家の鍵につけよっと!」
 帰りに早速付けて見せた。
「ありがとう。」
「どういたしまして。お揃いとかちょっと憧れてて……。」
「あっ、私も!!」
「じゃあ、陽菜さんまた明日。」
「はい。山田さん、また明日バスで…。」
「あ、あの!!その山田さんじゃなくて、下の名前で呼んでほしいです。」
「あ、あああそそそうかぁ…………、えっと、流唯君。」
「はい!陽菜さん!」
 ニコッと笑ってくれる……、くっ!!眩しい!!キラキラしている!!!鼻血出そうなんですけど!!
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