いきなり異世界って理不尽だ！

救出成功

　次の日、見張りを次々とスタンガンや睡眠薬入りのお茶で眠らせて縛りあげていく。
　働いていた人達を、マンションまで連れて行き、見張り達は外に檻を出して入れておいた。
　もちろん手錠は外してあるし、トイレもある。ご飯もちゃんと用意してある。

　見張り達は、目を覚ますとご飯を美味しい美味しいと食べて、芋よりよっぽど美味しいし、この家は最高だ！とくつろいでいた。

　1人のおじさんが、娘をナダに取られて心配だと言いに来た。
　他の人も納得の可愛い娘さんだったらしく、ナダが一目惚れして無理矢理連れて行ったようだ。

　もぅそろそろ水汲みに来ないと騒いでいる頃だろう。

　何人かの人に集まってもらって、詳しい話しを聞く事にした。

「ナダのお爺さんは、とても優しく王にふさわしい人物だったんだ。ナダの父親は、優し過ぎた。だからナダに騙されて他の場所に追いやられた。ナダはお爺さんが死んでから、やりたい放題だった。」
「それに、人間が1番偉いと勘違いしている。本当は、エルフやドワーフ達の方が知識もあるし、力もあるんだ。」
「あいつが王になってからは、水場を独占して俺達はひたすら働くだけだ。働いても飯もまともに食わしてもらえない。」
「逃げ出した奴が言ってた。ここから2日ほど行った所にエルフが住んでる所があって、エルフ達はとても良い暮らしをしているし、優しく人間も受け入れてくれるって。」
　評判最悪だ。
「じゃあ、もぅ王の下で働くのは嫌？」
「もちろんだ。」
「じゃあ、私と一緒に暮らしませんか？」
「よろしくお願いします！」

　さて、どうしようかな。

　とりあえず、畑作りをしてもらう。手伝いに来てくれた人達に耕運機で耕してもらって、畑作りを教えてもらう。
　広い畑に、沢山の苗が植った。果物の木も沢山ある。

　エルフやドワーフ、オーガ、獣人族に畑作りを教えてもらっていたが、誰も嫌がったり怖がったりしていない。やっぱりナダだけが、勝手に人間が偉いと思い込んでいるだけのようだ。

　家も沢山出した。噴水のある公園まで出した。
　それぞれが頑張って働いてくれ、ハゼドンが料理を教えたり、洗濯を教えてもらったり、暮らしやすいように整えていく。

　今回、牧場から動物達も連れて来ているから、牧場も作った。とてものどかな可愛い村が出来上がった。

　見張りの人達に、まだナダの下で働きたいかと聞くと、ほとんどの人が一緒に暮らしたいと言うので、檻から出して、畑仕事を手伝ってもらった。
　でも、殴ったりしていた最初の畑の見張り5人はナダを崇拝している。ナダの元にいたら遊んで楽しく暮らせると思っているようだ。
　まだまだ檻の中で反省してもらおう。


　皆んなでワイワイと仕事をして、夕方はバーベキュー大会をする事にして準備を進めていた。

　皆んなウキウキだ。ハゼドンが外でカレーを作ってくれているし、おにぎりや、ジュース、ビールや酎ハイなども用意した。

　畑で採れた野菜も少ないけどあったので焼いて食べる事にした。フルーツも切って並べてあるし、お肉もどんどん焼いていく。

　皆んなでワイワイと盛り上がっていると、檻の中の5人がヨダレを垂らしながらこっちを見ている。
　ビールに感動して大喜びする人や、フルーツを食べる事に集中する人など、皆んな楽しそうだ。

　そろそろかな？と思っていたら、やはり来た。
　ナダが、数人のお供を連れてやって来た。

「これは、どーゆー事だ？陽菜とか言ったな！私の民を返してもらおう。」
「嫌です。皆んな、ナダの所に帰りたい？」
「嫌だ！！」
「絶対帰らない！」
「私達は、ここで暮らす。」

「調子に乗るなよ！！私がお前らを管理していたから暮らしてこれたんだ。私の元を去って生活できるはずがない！！」
「そうかもしれませんね。でも、ここで暮らしていきたいそうなので、帰ってもらえますか？」
「そーだそーだ！」
「帰れ！！」
　帰れコールが始まり、悔しそうにしながらナダは帰っていった。

　さて、お腹いっぱい食べたし片付けて解散！

　温泉も出してあるから、汗を流して、ふかふかの布団でぐっすり寝てもらう。

　あちこちに監視カメラを取り付けておいた。夜に多分ナダ達が来るはずだ。

　戸締りはしっかりしてもらい、一軒づつ確認して回った。

　次の日、それぞれに畑仕事や、食堂での仕事など出来る事を探して仕事をしてくれる。子ども達は数人しかいなかったが、公民館に集まって勉強をしてもらう。

　さて、私は監視カメラチェックだ。
　やはり来ていた。檻に近づいて壊そうとしたりしていたが失敗して、畑の物を少しだけ取って帰っていく。檻の中では、帰ったのを見てから隠しておいた晩ご飯を5人で食べていた。取られるのが嫌でトイレに隠していたようだ。

　田んぼを作ったり、小麦畑を作ったりとどんどん広げていく。暑いから休憩所も出して、水分補給をしっかりしながら働いてもらう。

　皆んな、自分達の為に働いているから楽しそうだ。今日は、畑の周りを電気柵で囲っておいた。
　見張りの5人は、皆んなが楽しく働いているのを見て、少し考えが変わってきたようだ。
　夕方に、聞きに行くと謝ってきた。5人を同じ家に案内して、お風呂に入って着替え、皆んなと同じご飯を食べると号泣しながら殴った人に謝っていた。
　受け入れてもらえて、とても感謝しているようだ。