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名付け

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「父さん、少しだけど見つけてきたよ。もう一回行ってくる。」
「バル………、ありがとう。この籠を持って行きなさい。」
「うん。」
 アルは、外に出て畑だった場所の雪を除けて、何か残ってないか探していた。芋が少しと、果物の木があり、それが実をつけている事に気づいて、少しだけ取った。
 前のアルなら全部取ってしまってその日のうちに食べてしまうだろう。少し、現実が見えてきたのかな?

 そこに、ラルが帰ってきた。
「……ごめんなさい。畑仕事手伝うわ。」
 出て行ったけど、行く所もなく帰ってきたようだ。ラルも、何かしないと生きていけないと気づいたんだろう。
 2人で畑を掘り返して残った物を探していた。
 暗くなるまで働いて、バルの持ってきた木をアルの魔力で乾かして火をつける。
 鍋に水と芋を入れて煮て、そこに少し果物の汁を入れて食べていた。
 ずっと不味いと言ってきたのに、働いてお腹も空いていた3人は美味しい美味しいと言いながら夢中で食べていた。
 
 少しは他の人の気持ちも理解できるようになってきたのかな。
 頑張っているから少しだけ助ける事にした。
 3人が寝ている間に、車で近くまで行き、畑だった場所に温室を出してルイ君やサーフ君に野菜の苗や果物の木を植えてもらう。水道も出しておいた。
 洞窟の入り口辺りに、3階建ての家を出しておいて、中には暖炉と薪ストーブも完備。薪小屋も出して、いっぱいに薪が出してある。
 調味料も用意して、冷蔵庫やトイレやお風呂、タオルに作業着、服も数枚づつ出しておく。とりあえず使い方が分かるように絵を描いて貼ったり、写真を出して貼ったりしてある。ナナガとワーガで家の中のを整えてくれた。洗濯物も数枚干してある。
 ベットや布団も出しておいた。
 
 大切に使ったらこの冬は持つだろう。多分。

 そっと帰って、ゆきちゃんと一緒に寝る。ファーナさんがゆきちゃんを見ててくれた。

 朝、監視カメラを確認する。あちこちに監視カメラも増やしてある。3人とも働いたからかぐっすりと寝ていて、私達には全く気付いてなかった。
  
 起きた3人は、外に出てビックリしていた。そーっと家の中に入って、キョロキョロしている。
 アルは温室に入って、食べ物が沢山ある事に涙を流していた。
 家に入って薪が積んである事や、服が用意されている事に感謝しているように見えた。
 それから3人は、作業着に着替えて畑に行き、畑仕事を文句も言わずに頑張っていた。
 これで大丈夫だろう。一冬ここで3人で頑張ったら皆んなと生活できるようになるだろう。
 もしも、この先畑の作物が枯れたり困るような事があったら、夜のうちに少しだけ助けてくれるようにお願いして、私達は先に進む事にした。

 マンションファーナに沢山の食べ物や必要な物を出して昼ごはんの後に出発する。
 道路には水が出るようにしておいたから雪が降っても進める。

 ゆきちゃんは、チャイルドシートに乗ってぐっすり寝ている。
 マンションスミスに寄って、困った事はないか?と聞くと、この前来た人間に名前が無いのが不便だから、名前をつけてほしいと言われた。
 1番苦手なやつだ!困った……。
 あっ、良い事思いついた!

 1列に並んでもらい、名前辞典を男の子用と女の子用と出す。
 パッと開いた所にあった名前をつける事にした。

「あなたの名前は、いつきです。」
「いつき……なんて素敵なんでしょう。ありがとうございます!」
「はい、あなたの名前は、やまとです。」
「おぉ、ありがたい!」
「はい次、あなたは、さくらです。」

 と、勝手につけていき、めちゃくちゃ日本人の名前が増えていった。
 名簿として書き写してもらい、写真も撮って張り出してもらった。ハルー村の人達が頑張ってくれた。
 ひらがなも教えてくれるそうだ。

 次に、エルフのお爺さんがいる公民館に行き、困った事などがないか聞く。
 とても快適で、天国のようだと言っていた。ここにもひらがな表や字を覚えるDVDを出しておく。ドラマのDVDなども出しておいた。
 
 夜だけど、もう少し道路を出して進む事にして30分ほど進んだ所に公民館を出した。
 ゆきちゃんもお疲れだ。

 交代でゆきちゃんのお世話をしながら寝て、朝もゆっくりスタートにした。
 2時間おきにログハウスやガソリンスタンドなどを出して進む。
 夕方、今日は早目に公民館を出して、花火の打ち上げやスカイツリーを出してライトアップする。
 今回も、少し離れた所にログハウスと温泉を出しておいた。
 
 しばらくすると、オーガ達がかなりの人数でやってきた。
 ワーガとナナガに出て行ってもらい話しを聞いてもらう。

 しばらくしてワーガが帰ってきて、山の中で穴を掘って隠れて生活しているオーガ達で、もしもオーガでも受け入れてもらえるのならありがたいと言っているらしい。
 公民館に入る前に温泉で綺麗にしてもらい服も着替えてもらった。
 このオーガ達のリーダー、まだ若い赤鬼のジガが挨拶に来た。
「突然、来て申し訳ない!俺はリーダーをしているジガだ。俺達オーガは、食べ物を食い荒らす危険な魔物だと言われていて、何処に行っても嫌われる。若いやつらばかりで隠れて生活するのが嫌になり里から出て来たんだ。でも、結局怖がられ嫌がられ山に穴を掘って隠れて暮らしていた。俺達オーガは、沢山食べるが食べなくても我慢できるし、力が強い事も理解しているから暴力をふるったりしない。今までエルフや人間などを沢山助けてきたが誰も戻って来なかった……。」
「わかってますよ!オーガが優しい事も、誰とでも仲良くできる事も。安心してください。オーガだからと差別するような事は絶対にしません!」




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