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最悪な一家

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「さぁ、早くして!!アルをこっちに連れて来て!!」
 キンキン声で喚いてる。そっと近付いて来たエルフが教えてくれた。
「あの家族が俺達の里を仕切ってたんすよ!逆らうと魔力で火をつけられたりして、従うしかなかったっす!やりたい放題でしたよ。」
「教えてくれてありがとう。」
「何コソコソ喋ってるの!!早くしろ!!」

 ふぅ、とりあえずアルの縄を解いてやった。
 ニヤリと笑って、
「俺にこんな事をして、タダで済むと思うなよ!お前らも里には戻してやらん!」
 わぁー、いかにも悪役な台詞だ。

「おい!そこの人間の女!偉そうにしやがって、燃やしてやるよ!はははははははっ!!」
 ブワッと炎が襲ってきたけど、すぐに防火の壁を出して防いで、壁を消す。

 全く何もなってない姿を見て、ビックリしている。
「な、なぜ燃えない!!……ま、まさかお前、魔女か!!」
 失礼な奴だ!誰が魔女だ!!
「魔女じゃないです。、ただの人間ですよ。」

 さっと目配せをして、ワーガや他のオーガに合図を送る。
「次は私の番ですねぇー!行きますよぉ~!!」
 火炎放射器を出して、ブワーーーーと火を出す。
「ぅ……………うわぁーーーー!!!」
 腰を抜かして立てなくなったらしい。さらに火炎放射器を構えたまま、自称アルの奥さんに近付いて行く。

「こっ、来ないで!!コイツらを殺すわよ!!」
「そっ、そーだ!!この魔女め!!父さんに何をした!!」
 ふーん、コイツ息子か。なら、遠慮はいらない!!

 催涙スプレーを出して、顔面に噴射!もぅ一本出して慌てている奥さんにも噴射!!
 すぐにワーガ達が人質を助けてくれ、縄で縛る。アルが背後から私に火を放とうとしたらしいが、リリガが飛び蹴りで撃退してくれた。
 目がーー!と騒がしい2人と、気絶したアルを3人まとめて縛り上げて外に放置した。

 今のうちに里にいる家族を連れて来るように言って、オーガ達にも頼んで一緒に行ってもらう。

 しばらくして帰ってきた人達に、温泉付きのマンションを出して入ってもらった。
 ちゃっかり私の出したダウンジャケットを着込んだアルの奥さんと息子と、寒い格好のままのアルの様子を見に行く。
 全く反省している様子はないし、自分達がリーダーだと文句を言っていた。
 自分がいたから他のエルフも生きて来られたんだ!とか、人間やドワーフがこんな良い暮らしをするのは間違っている!全員焼き尽くしてやる!!とか………。

 とりあえず悪魔はいないし、洗脳されてもいない。なんでこんなに歪んだ性格なんだろう。

 他の人達から話しを聞く事にして、とりあえずログハウスの小さいのを出して放り込んでおいた。一応、薪ストーブがあるから大丈夫だろう。
 新しく出したマンションの一階に広い宴会場を出してあり、皆んなに集まってもらった。

「ゆっくりしてもらいたいのに、すみません。アルの事について教えてくれますか?」
 皆んな、顔を見合わせている。
 1人の年配のエルフが立ち上がって話してくれた。
「私はアルの父です。あいつは小さい頃に母親を亡くした事もあって甘やかしてしまった。さらに自分がかなり強い魔力を持っていると分かると魔力を見せつけて威張るようになった。他の子ども達を魔力で脅して好き放題するようになってしまって………。さらに嫁がアルの魔力に惚れたと言い寄ってきて、自分の都合の良いようにアルを動かすようになってしまった。気に入らない事があると魔力を使って傷つける事もよくあった。孫も、そんな2人を見て育ったからか、威張り散らしていて、私達皆んなをバカにしている。」
「結婚するまでは、もう少しマシだったんだけど……。リルが急に里に来てアルにベッタリになってから、どんどん酷くなっていったんだ。」
「リルが来てからは、俺達の言う事は全く聞いてくれなくなって、仲が良かった俺達にも命令したり殴ったり、魔力を俺達に向けて放ったり……。そんな事しなかったのに。」
「そうですか……。皆さんはどうしたいですか?アルと一緒にここで暮らしていけますか?」
「………俺は……無理だ。」
「私も、怖いです。子どもにも平気で酷い事するから……。」
「俺も、嫌だな。俺達、また支配されてしまうよ。」
 他にも嫌だ、無理だ、の声しか聞こえてこない。

 うーん、かなり嫌われているなぁ。どうしようかな。
「わかりました。とりあえずここに一緒に住むのはやめておきましょう。皆さんは、自分達が生活しやすいように家を整えたり必要な物を持って行ったりして今日は、もぅ休んでください。」

 アルのお父さんには残ってもらって、一緒にログハウスに行ってみた。
「おい!親父!!何ぐずぐずしてるんだ、早く縄を解け!ったく、役に立たないなら邪魔するな!!」
「じじい!!俺が困ってるんだぞ!!可愛い孫を助けろよ!!」
「ほんと、使えないわね!なんでそんな女連れて来るのよ!そいつをさっさとやっちゃいなさいよ!!」
「………………すまない。こんな……こんな風に育ててしまって……。」
 涙ながらに言う父親に向かってアルは、うるせー!早くしろ!!などと喚いている。

 ダメだこりゃ。
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