上 下
115 / 185

戦いの終わり

しおりを挟む
 操られている派遣神が、こっちに向かって手をかざす。
 その途端、皆んな崩れ落ちる。
「ふふふ、ふははははは!!お前一人で何ができる?」
「………何をしたの?………何をしたのって聞いてるの!!」
「…た………だ、眠ってい……る……だけ…。」
「派遣の神様!!しっかりして!!悪魔には、あまり力が残ってないから、今ならなんとか……」
「うるさい!!お前も逆らえると思うなよ!!」
 悪魔が派遣神を蹴飛ばした。吹き飛んで動かなくなってしまう。
「調子に乗ってる所悪いが死んでもらう!!魔王様ほど魔力があればお前は一捻りだ!!今、謝るなら仲間にしてやってもいいぞ!」
「ぜっ…………………たいに、嫌!!」
「……死ね!!」

 悪魔が何かしようとするが全く痛くも痒くもない。
「あの………、何かしたの?」
「くっ!!!貴様ーーーーー!!!」
「いや、だって。何も感じないから。」
「もぅ許さんぞっ!!!!」
「いや、許さんのはこっちだし!!」
 悪魔が派遣神を立ち上がらせて、何かを言う。
 すると、悪魔の手の中でハルハちゃんがスヤスヤと眠っている。
 悪魔はニヤリと笑ってこっちを見る。
「魔王様、お食事にしませんか?」
 ハルハちゃんを魔王に渡そうとする。
「お前が大人しくしないから、こんな事になったんだぞ!ほら、土下座して謝れ!お前は殺すが、この子は助けてやってもいい。」
 ニタリと笑ってこっちを見る。

 ブチっ…………。

 キレた。

 派遣神と目が合う。今だと思ったのか、派遣神が皆んなを眠りから覚ましてくれたようだ。
 フツフツと怒りがわいて来て止まらない。
 こいつら許さん!!

 魔王が魔力が多いだと?絶対私の方が魔力は多いはずだ!ここ数日で何匹駆除したことか!!しかもあちこちで皆んなを助けまくったから、魔力もプラスされている。だったら負けるわけがない!!
 なんとなくのイメージで魔力を巨大なハンマーに変えて出した。
 魔力のハンマーだからか片手で持てる。そのままぶんぶん振り回しながら魔王の所まで進む。
 振り回した時に出る風圧で悪魔が飛ばされそうになった隙にワーガがハルハちゃんを取り戻すのが見えた。
 もぅ遠慮はいらない………。
「よくも、大切なハルハちゃんを!!!」
「お前みたいな人間に何ができる?我は魔王!!最強の魔…」
 言い終わる前にハンマーで横殴りにした。
 お腹の部分が吹き飛んで、少し小さくなった。
「ぐはっ!!!」
「最強?はっ?最強ってこんなに弱いの?」
 またハンマーを振り下ろす。風圧で悪魔は倒れて、近くの岩にしがみついている。
「ワーガ、そいつの頭から聖水ぶっかけて!!」
 顎で悪魔を指して指示する。
「わかった!!」
 魔王は、また少し小さくなる。
「な、なぜだ……元に戻ら…」
「ギャーーーーーーー!!!!」
 魔王の言葉と悪魔の悲鳴が重なる。
「ワーガ!!足りない!!聖水で塩を濡らしてそいつを埋めて!!」
「……わ、わかった。」
 ワーガが怯えながら言われた通りにする。
 私は怒りに任せてぶんぶんとハンマーを振り回す。
「ギャーーーーー!!!!」
「グワーーー!!やめろ、我は…」
 ブンッ!!なかなか良い音がした。
「ギャーー、や、やめろ!!我が消え…」
 ブンッ!!
「我が…消えても…」
「えいっ!!」
 ずいぶん小さくなった。
「我が…………き、消えても……魔王は……復活す……」
「うるさい!」
 最後は足で踏み潰しておいた。
 さらに靴でグリグリしておく。その上から聖水をどばーーっとかけた。
 振り返ると、ワーガが人型の塩の像を作り上げていた。

 ちょっと掘ってみたけど、塩の中身は溶けて無くなっていた。
 ルイ君がしっかりとハルハちゃんを抱っこしている。

 派遣神を連れてシェアハウスに戻る事にした。
 その前に、念には念を入れ魔王が消えた場所に塩を山にして聖水で固めておいた。悪魔の人型の塩の塊も丁寧に聖水をかけて徹底的に溶かしておいた。さらにその上から踏みつけておいた!!まだまだ足りないけど、どうしようもないから諦めた。
 皆んなの目がジトーーっと私を見てるし……。

 車で山の下まで降りると3バカトリオが心配そうに待っていてくれた。
 魔王が消えた時に魔物も全部消えたようだ。

 ファーナさんに電話してハルハちゃんの無事を伝えると、安心してへたり込んでしまったらしい。急にベビーベットで寝ていたハルハちゃんが消えてパニックになっていたとルイ君のお父さんが電話を代わって教えてくれた。

 シェアハウスに着いたのは夜だったが、ハルハちゃんが可愛そうだとルイ君とダンドンさんとでハルー村に連れて帰ってもらう事にした。
 
 私達は派遣神と、話しをする。
「もぅ、悪魔も魔王もいませんか?」
「大丈夫です。迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。」
「神様に連絡しますか?」
 と聞いた途端にスマホが鳴った。
『陽菜!!よくやった!!!』
「神様、そっちは大丈夫?」
『あぁ、なんとか。悪魔が消えた事で少し落ち着いたぞ。あの悪魔が1番厄介な奴じゃったから、助かった。そちらの世界で力をつけては地球に来て仲間を増やしていたから、こっちはまだまだ油断出来ん状況じゃ!派遣よ、話しを聞かなくてはならない、こちらに強制送還するぞ。いいな?』
「はい、神様。本当に申し訳ありませんでした。陽菜さんも、勝手にこちらに連れて来てしまいすみませんでした。勝手ですが、陽菜さんがこちらに来てくれて本当に良かった……。心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。」
『では、帰って来い。』
 神様の声がした途端に、派遣神が消えた。
『陽菜、そちらの世界には他にも大陸がある。悪魔は地球から行った余所者だが、魔王は元々そちらにしか存在しない。じゃから、あちこちの魔力が溜まった場所から復活する可能性があるんじゃ!まだまだ機械は直りそうにない。派遣のようにわしの力で連れて帰る事も出来ない。どうか、そちらの世界を救ってほしい!!近いうちに必ず、そちらに行く。新しい神も派遣する予定じゃ。どうか、そちらの世界を頼むぞ!』
「……わかった。こっちにも大切な人達が沢山いるから、頑張ります!でも、やっぱり地球には帰りたいな。」
『そうじゃな、本当にすまん!……そうじゃ!少しなら陽菜の力になれる事があるかもしれんぞ!!何か、ないか??』
「うーん………あっ!!出した建物が邪魔になったり作り直したい所があるんだけど、なんとかできない??」
『………また難しい事を……。いらなくなった建物を無くす事はできる。無くすのにも魔力が必要じゃ!その建物を出す時に使った魔力も戻ってこない。それでもいいか?』
「もちろん!!魔力なら恐ろしい桁数になってるから大丈夫!」
『えっ?!…………な、な、な、なんじゃこりゃーーーーー!!!!!』


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

【完結】私との結婚は不本意だと結婚式の日に言ってきた夫ですが…人が変わりましたか?

まりぃべる
ファンタジー
「お前とは家の為に仕方なく結婚するが、俺にとったら不本意だ。俺には好きな人がいる。」と結婚式で言われた。そして公の場以外では好きにしていいと言われたはずなのだけれど、いつの間にか、大切にされるお話。 ☆現実でも似たような名前、言葉、単語、意味合いなどがありますが、作者の世界観ですので全く関係ありません。 ☆緩い世界観です。そのように見ていただけると幸いです。 ☆まだなかなか上手く表現が出来ず、成長出来なくて稚拙な文章ではあるとは思いますが、広い心で読んでいただけると幸いです。 ☆ざまぁ(?)は無いです。作者の世界観です。暇つぶしにでも読んでもらえると嬉しいです。 ☆全23話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 ☆感想ありがとうございます。ゆっくりですが、返信させていただきます。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

処理中です...