上 下
73 / 185

忘れてる

しおりを挟む
 次の日も、オーガの里に向かいながらスーパーや公民館、駐車場、車などを出していく。家も増やしておいた。
 オーガの里に着いたのは昼だった。

 オーガの里も人が沢山だ。畑や果樹園を広げようと今日も頑張ってくれている。
 車を余るほど出して、ゴーガに足りない物はないか聞くと、やはり食料が不安らしい。
 とりあえず避難所スーパーに日持ちする食料を出しまくり、積み上げておいた。3階を倉庫にして、ここにも食料品や衣料品などを置けるだけ出しておいた。リリガに、管理をお願いして、食堂に行く。
 久しぶりにハゼドンに会った。元気そうだ。
 お母さんとも会えたようだ。2回ほど会って話したと聞いた。

「どう?食堂はなんとかなりそう?」
「あぁ、働きたい人も多くて、なんとかなりそうだ。……それと、ハイドンに…………彼女が……。」
「えっ?ハイドンに彼女?まさかオーガ?」
「そうなんだ。めっちゃ可愛い子なんだよ!!羨ましい!!!」
「そっかぁ、ハゼドンは?」
「俺は………ダメだ。」
「そ、そっかぁ~。まぁ焦らなくても、そのうちハゼドンの魅力が分かる人が現れるよ!」
「俺の魅力ってなんだ?」
「ハゼドンは優しいし、面倒見もいいし、料理上手!」
「そうかなぁ~。えへへ……頑張るよ、俺!」
「うん、頑張って!!」
 単純……。そこが可愛い所だよねぇ~。ハゼドンは、美女を狙いすぎてるからなぁ……。

 食堂にも食料や食器などを出して、また、私がいない時に人が増えたら困るからと、マンションやアパートをかなり出して、ハルー村に帰る。

 運転しながら、もぅこの世界に来て半年ほどになるなぁーと、ここに来てからの事を思い出していた。
 ファーナさんに会って、ルイ君達に会って、どんどん人が増えて……。オーガには毎回イラッとさせられたなぁ。楽しい事もいっぱいあったし、日本では出来なかった事も沢山経験できた。もぅ何年もこの世界にいるような気分だ。

 中間の村に寄って家を追加で多めに出し、ガソリンスタンドも増やしておいた。

 もぅ少しでハルー村に着く頃、スマホが鳴った。
 車を止めて電話に出る。
「もしもし、神様??」
『そうじゃ、陽菜。連絡できず悪かった。やっとその世界に派遣していた奴が見つかった!だが、また逃げられてしまってのぉ~……地球にも色々と悪さをしておって、陽菜がそちらの世界に行ったの……や………。』
 プツッ、ツーツーツー
「えっ?神様??どうしたの?大丈夫?もしもし!!」
 ダメだ…切れてしまってる……。
 あっ、また電話がかかってきた。
「神様?」
『にげっ……』
 プツッ…ツーツー

 え?にげ…って何?逃げろって事?どこに?何から??

「みーつけたぁ!」

 低い不気味な声が聞こえたと思ったら、急に真っ暗になった。

 ん?ここどこ??



 あっ、私の部屋だ。

 えっ?もぅ7時半だ~遅刻する!!

 大急ぎで起きて、お母さんが作ってくれた朝ご飯を食べて身支度を整え、玄関に急ぐ!
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。気をつけてね!」
「はーい!」
 早歩きで、バス乗り場まで行って乗り込み、会社の前まで20分。
 ふぅ、間に合った!
「おはようございます!」
「あぁ、おはよう。今日も元気だなぁ。」
「おはよう。」
「おはよう!三田君、会議用に資料のコピーを頼むよ。」
「はい。分かりました!」
 コピー機を動かしながら、何か忘れてる気がする……と不安な気持ちになる。
 なんだったかなぁ?仕事はコピー頼まれただけで特に急ぎの事は無かったし、他に何かあったっけ?

「コピーできました。会議室に置いて来ます。」
「ありがとう。助かったよ。」

 会議室で資料を配り、自分のデスクに戻る。パソコンに打ち込む資料のファイルを開き、打ち込んでいく。
 うーん、特に何もないよね?何を忘れているんだろう……。
 お昼になり、社食でハンバーグ定食を注文して一口食べる。
 いつもの味じゃない!!あれ?でも私はここのハンバーグ定食が大好きで、ここのハンバーグが1番って思ってたのに……何で??社食のハンバーグはこの味だったのに、何で?

 ずっと違和感を感じて仕事を終え、家に帰る。

 家族でご飯を食べながら話していて、なぜか懐かしいと感じる。

 明日も仕事だから早く寝なきゃ!

 何か忘れてる……と思いながら数日が過ぎた。今日は土曜日、仕事は休みだ。
 久しぶりにゆっくり寝たなぁ、もぅ9時だ。
 起きて部屋から出ようとした時、ベットの下に光る物が見えた。
 なんだろう……。
 拾ってみると、オモチャのブレスレットだ。
 あれ……なんだろう、これは大切な物だと思える。ただのオモチャなのに…。なんだかすごく懐かしい。
 よく分からないけど、ブレスレットを着けてみた。

 ……あれ、何で泣いてるんだろう。

 今日は、友達とランチの約束をしてるからそろそろ出なきゃ!
 駅で待ち合わせて、近くのファミレスに入る。ファミレスでお喋りするのが目的だ。
 高校の時の仲良し4人組で、仕事の話しや彼氏の話し、恋の話しで盛り上がる。
「陽菜は?今年こそ彼氏作って夏祭りデートするって言ってたよね?」
「うん。今年もダメだったぁー!」
「今度、彼の友達紹介しようか?」
「えっ!本当??どんな人?」
「うーん、かなりカッコイイよ!一回しか会った事ないけど、性格も良いって彼が言ってたよ。」
「えぇー、本当?是非紹介してよー!」
 こっちの世界で彼氏が出来たら最高だよね!

 ん?こっちの世界って何?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...