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 あまり時間がない。ユンボを出して運転慣れしているルイ君、サーフ君に川の砂を少しでも取ってもらう。ここで川が決壊してしまうと大変だ!ここをなんとかすれば、多分ナーサさん達が住んでいた辺りで氾濫してもここまでは来ないだろう。

 自分の家にいるより、助け合った方がいい。公民館では入りきれないし、体育館は広いけど何もない。
 うーん、日本でも3階建ての建物が水没したりしてた。丈夫で高い建物が必要だ。

 思い切って10階建てのデパートみたいなのにしたら駐車場もある。中は公民館みたいにすればいいし、スーパーの食料品も運べるだけ運んでしまおう。車に積んだまま駐車場に止めればいいし!体育館の裏に出そう。

 スマホで検索して、とりあえず空っぽの10階建てのデパートを頭に叩き込む!

 近くにいた人達に、車に積めるだけスーパーの物を積んで10階から車を止めてくれるようにお願いする。
 みんな必死で走り回ってくれている。ドワーフがユンボの操作を変わってくれたからと、ルイ君、サーフ君がバスで商品を運んでくれているし、女の人達も家の物を車に積んで運んで来てくれている。
 
 他の事は任せて、私にしか出来ない事をしなくちゃ!

 10階には、畳を敷き詰める。これで布団さえあれば全員寝る事は可能だろう。

 9階には、半分畳を敷き詰め、壁を作り、残りの半分をキッチンスペースにした。もぅ半分は、テーブルと椅子を出して食事スペースにする。そこには、大きなモニターを幾つか出して監視カメラを映す予定だ!川や住宅や、牧場などに付けておけば危険な所に様子を見に行く必要が無くなる。

 8階も半分畳を敷き詰め、壁を作り半分は沢山のシャワールームを出した。もしもの時もしばらく生活できるはずだ!ここには自衛隊も消防もないから自分達でなんとかしなきゃ誰も助けに来てくれない。
 
 一旦外に出て、監視カメラを付けて回る。ついでに自分の家に帰って雨戸を閉め持ち出せる物を軽トラに積んだ。
 大急ぎで戻り、10階に段ボールベッドを沢山出しておく。仕切りもいるかもしれない。とりあえず邪魔になったら下の階に持って行けばいいんだし畳んだら小さくなるから困る事もないだろう。大量に出しておいた。

 私が段ボールを出しまくっている間、スーパーから持ってきた冷蔵、冷凍品を業務用の巨大な冷蔵庫や冷凍庫に運んで、果物や、野菜なども箱を積み上げてくれている。食堂の人達が、食器や調味料を運んで並べてくれていた。

 ライルさんが来て、植木鉢に貴重なハーブを移したいと言うので沢山出して渡し、5階に植木鉢を並べるように言う。

 そうだ!動物達も危ない。
 牛や馬を輸送するトラックをスマホで調べて大量に出して、トランシーバーで牧場担当に車を取りに来るように連絡する。

 4階の駐車場スペースに、囲いを作って動物スペースにした。早く避難させなきゃ逃げる事もできない動物達が可哀想過ぎる!

 少し臭いが気になるけど仕方ない。出来るだけ、雨が吹き込まない所にスペースを作っておく。芝を敷き詰めてコンクリートで足を痛めないように工夫する。 

 外は、だんだんと暗くなってきている。
 餌になる牧草ロールも沢山出したし、鶏小屋も出した。水道も多めに出して後から洗い流すようにしたら片付けも楽になりそうだ。
 沢山の羊を乗せたトラックが入ってきた。羊スペースに降ろしてもらいながら、どの動物をどこに降ろせばいいか伝える。

 他に何か必要な物があるか聞いてみたが、とりあえず今は移動させる事で精一杯だから、後から頼む事があるかもしれないと言われた。
 確かにそうだ。全ての動物を移動させなきゃいけないんだから大変だ!トラックに乗せるのも大変だろう。また次のトラックが来て降ろしている。
 私がここにいても仕方ない!

 屋上に出て、濡れずに外の様子が分かるようにトンネルを出して端にコンクリートの家を出す。トンネルから入り口に入れるようにして、窓も強化ガラスにした。だいたい20畳くらいのスペースに、畳敷き詰めソファーも出し、ここにもモニターを出す。あっ、トイレも作らなきゃ!とトイレを出して思い出した!トイレを全く出してない!シャワーよりトイレが先だった!!

 駐車場からの入り口横に高速道路のサービスエリアのトイレを出す。7階から上全部にトイレを出しておく。

 あっ、靴脱ぐスペースも忘れてた……。デパートを元に出したのでエレベーターがあり、自販機コーナースペースもあったのでそこが玄関代わりに靴を置くスペースにした。

 ドタバタしてたら小さい子連れや、お年寄りが車で避難してきたので10階に靴を脱いで上がってもらう。
 かなりの広さがあるので走れる子どもは歓声をあげて走り回っていた。一緒に荷物を持って来てくれたファーナさんに、段ボールベッドの組み立てを説明して組み立ててもらう。ファーファちゃんも組み立てを手伝ってくれている。ここは任せよう。

 屋上に戻り、窓から外を見ると黒い雨雲が近づいて来ていた。遠くで雷がピカピカしているのも見えた。急いで避難しなきゃ危ない!

『緊急!避難してください!体育館裏に大きな建物があるので1番上まで車で来てください。大切な物だけ持って来てください!』

 呼びかけの放送をすると、続々と車で避難所に来てくれる。
ほとんどの人が避難して、車から布団を下ろし、スペースの確保をしていると、ドーーーンと雷が落ちた音が地響きと一緒に聞こえてくる。駐車場に吹き込む大粒の雨も激しくなってきた。

『皆さん、大丈夫ですか?ここに避難してない人はいませんよね??』

 マイクで呼びかけるとライルさんが青い顔をしてこっちに来た。
「おい!ダンドンがいないぞ!ギリギリまで川の砂を上に上げると言っていたが、まだ来てないぞ!」
「えっ?本当ですか?」 
『ダンドンさん、ここにいたら返事をしてください!!』
「わしが一緒に川の砂を機械で上げていたんだが、わしに先に行くように言ってダンドンはまだ機械に乗っていたぞ!」

 やばい!もしかしたら雨で前が見えないくらいになっているから、川に落ちたりしたのかもしれない。

『ダンドンさん、いませんか??』
 いくら呼びかけても返事はない。

 どーしよう。私がユンボなんて出さなければ良かったんだ。どーしよう……、ダンドンさんに何かあったら………。助けに行かなきゃ!!
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